持分法適用関連会社とは、議決権の20%以上を保有するなどして重要な影響を与えられる会社のことです。

決算書を読むうえで、ここには独特の仕組みがあります。売上はまったく合算されないのに、利益だけが取り込まれます。

この記事では、その「一行連結」という考え方を整理します。

この記事でわかること

・持分法適用となる基準
・一行連結という考え方
・売上が増えない理由
・損益計算書のどこに載るか
・子会社化に移行すると何が変わるか

持分法適用関連会社とは

議決権 区分 会計処理
50%超 子会社 連結(全額を合算)
20%以上50%以下 関連会社 持分法(利益だけ取り込む)
20%未満 単なる投資先 有価証券として保有するだけ

分かれ目は「支配しているか、影響力があるだけか」です。支配していれば子会社、影響力にとどまれば関連会社になります。

なお15%以上20%未満でも、役員を派遣しているなど重要な影響を与えられる場合は関連会社と判定されることがあります。

持分法=一行連結

ここがこの記事で最も重要な部分です。持分法は「一行連結」と呼ばれます。

連結(子会社)
売上・費用・資産・負債を
すべて合算
→ 決算書が丸ごと合体する
持分法(関連会社)
利益の持分相当額を
1行だけ取り込む
→ 売上は一切増えない
取り込む金額 = 関連会社の当期純利益 × 持株比率
これを「持分法による投資利益」として計上する

30%を保有する関連会社が100億円の利益を出せば、30億円が取り込まれます。しかし、その会社の売上は1円も合算されません。

数値で比較する

前提 内容
自社 売上1,000億円・当期純利益50億円
相手先 売上500億円・当期純利益30億円/持株比率30%
  持分法を適用 (参考)連結した場合
連結売上高 1,000億円(変わらない) 1,500億円
営業利益 影響しない 合算される
営業外収益 +9億円(30億×30%)
経常利益 9億円分増える 合算される

売上は1,000億円のままで、利益だけが9億円増える——これが持分法の特徴です。

損益計算書のどこに載るか

利益 持分法の影響
売上高 影響しない
営業利益 影響しない
経常利益 影響する(営業外損益に計上)
当期純利益 影響する

「持分法による投資利益」は営業外収益に計上されます。本業の成果である営業利益には含まれません。この位置づけが、持分法の性格をよく表しています。

関連会社が赤字なら利益が減る

当然ながら、逆方向にも働きます。

関連会社の業績 計上される項目 経常利益
黒字 持分法による投資利益(営業外収益) 増える
赤字 持分法による投資損失(営業外費用) 減る

「本業は好調なのに経常利益が伸びない」という決算では、持分法による投資損失が原因のことがあります。営業利益と経常利益の差が大きいときは、この項目を確認してください。

子会社化に移行すると何が変わるか

持株比率を引き上げて子会社にすると、決算の見え方が一変します。

項目 持分法適用 子会社化後
売上高 合算しない 全額を合算(大幅増収に見える)
営業利益 影響なし 合算される
のれん 原則として表面化しない 計上される(将来の減損リスク)
負債 合算しない 合算される(自己資本比率が下がることも)

子会社化の発表があると、翌期の売上が跳ね上がります。ただしそれは既存事業の成長ではなく、会計上の変化にすぎません。

持分法から外れる場合

状況 起きること
持株比率を売却で下げた 単なる投資有価証券に戻る。売却益が出ることも
相手が第三者に買収された 影響力を失い、持分法から外れる
相手が上場した 保有株の価値が可視化される

関連会社が上場すると、保有株の時価が明確になります。親会社の株価が「保有株の価値」を織り込んで動くことがあり、材料として注目されます。

非上場の関連会社をどう見るか

関連会社が非上場の場合、その会社単体の業績は開示されません。間接的に推測するしかありません。

推測する方法 内容
投資損益の推移 数年分並べれば、その会社が伸びているか分かる
持株比率から逆算 投資利益 ÷ 持株比率=相手の当期純利益の概算
関係会社の状況 有価証券報告書に資本金・事業内容が記載される

投資利益を持株比率で割れば、相手の当期純利益をおおまかに逆算できます。数年分並べると、その関連会社が成長しているのか停滞しているのかが見えてきます。

投資家としての見方

確認する項目 見る場所
持分法による投資損益 損益計算書の営業外損益
関連会社の一覧 有価証券報告書の関係会社の状況
持株比率の推移 同上。買い増しの動きが分かる
営業利益と経常利益の差 差が大きければ持分法の影響を疑う

持分法による投資損益が経常利益の大半を占めている会社もあります。その場合、本業の実力を測るには営業利益を見る必要があります。

持分法適用会社を見るときの注意点

① 売上と利益の関係が崩れる

売上が増えていないのに経常利益が増えることがあります。本業が伸びたのか、関連会社の利益を取り込んだだけなのかを区別してください。

② 現金は入ってこない

持分法による投資利益は会計上の取り込みであって、現金が振り込まれるわけではありません。実際に受け取るのは配当だけです。キャッシュ・フロー計算書では調整されます。

③ 関連会社の業績は見えにくい

非上場の関連会社なら、その会社の詳細な業績は分かりません。有価証券報告書の関係会社の状況で、名称と持株比率を確認するのが限界です。

④ 子会社化で数字が跳ねる

持分法から連結に変わると売上が一気に増えます。前年比の増収率だけを見て「急成長した」と判断しないでください。

※ 本記事は用語と会計の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

持分法適用関連会社に関するよくある質問

何%保有すると持分法適用になりますか?
原則として議決権の20%以上50%以下です。ただし15%以上20%未満でも、役員を派遣しているなど重要な影響を与えられる場合は関連会社と判定されることがあります。50%を超えれば子会社になります。
なぜ売上が合算されないのですか?
支配していないためです。持分法は「一行連結」と呼ばれ、利益の持分相当額だけを取り込みます。支配下にある子会社は事業を一体として運営できるため全額を合算しますが、関連会社は影響力があるだけなので売上は取り込みません。
持分法による投資利益はどこに載りますか?
損益計算書の営業外収益に計上されます。したがって営業利益には影響せず、経常利益から下に効きます。関連会社が赤字の場合は「持分法による投資損失」として営業外費用になります。
現金は入ってくるのですか?
入ってきません。会計上、利益の持分相当額を取り込むだけです。実際に現金として受け取れるのは関連会社から支払われる配当のみで、キャッシュ・フロー計算書では調整項目として処理されます。
子会社化すると何が変わりますか?
売上・費用・資産・負債のすべてが合算されるようになります。売上が大幅に増えて見えますが、既存事業が成長したわけではありません。またのれんが計上され、将来の減損リスクを抱えることになります。
営業利益は好調なのに経常利益が伸びません。なぜですか?
持分法による投資損失が計上されている可能性があります。関連会社が赤字だと営業外費用として経常利益を押し下げます。損益計算書の営業外損益の内訳を確認してください。
関連会社の業績はどこで分かりますか?
上場していれば決算短信などで確認できます。非上場の場合は詳細な業績を知る手段が限られ、有価証券報告書の「関係会社の状況」で名称・所在地・持株比率などを確認するにとどまります。
関連会社が上場すると親会社の株価は動きますか?
動くことがあります。保有株の時価が明確になり、親会社の純資産価値が可視化されるためです。株式市場ではこれを材料として、親会社が割安と評価されることがあります。

まとめ

持分法は「利益だけを1行で取り込む」という独特の処理です。売上と利益の動きが噛み合わない決算に出会ったら、まずこの項目を確認してください。

この記事のまとめ

・持分法適用関連会社=議決権20%以上50%以下で影響力を持つ会社
・持分法は「一行連結」。利益の持分相当額だけを取り込む
・売上は一切合算されない
・持分法による投資損益は営業外損益に計上される
・営業利益には影響せず、経常利益から下に効く
・関連会社が赤字なら投資損失として利益を押し下げる
・子会社化に移行すると売上が一気に合算される

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