20代のNISA買付額が17倍|平均いくら積み立てているか

20代のNISAを使った年間の買付額が、2025年に1兆2,648億円となり、制度が始まった2014年と比べて約17倍に増えました。

金融庁のまとめとして2026年8月21日に報じられた数字です。同じ期間にNISA全体は約6倍なので、20代の伸びはその3倍近いペースということになります。

ただし、この「17倍」という数字だけを見て焦る必要はありません。実際に20代がいくら積み立てているのかを見ると、印象はかなり変わります。

この記事でわかること

・17倍という数字の中身
・なぜ20代が投資を始めたのか
・20代が実際に月いくら積み立てているか
・国会で議論された「NISA貧乏」
・積立額の決め方と、20代だけが持つ武器

20代のNISA買付額が17倍になった

まず報じられた数字を整理します。

区分 2014年 2025年 倍率
20代 1兆2,648億円 約17倍
30代 3兆2,866億円 約14倍
NISA全体 2兆9,769億円 18兆7,487億円 約6倍

出典:金融庁のまとめ(共同通信 2026年8月21日配信)。倍率は2014年比。

20代の買付額は2024年に初めて1兆円を超え、2025年もさらに積み上がりました。

全体  約6倍     30代 約14倍    20代 約17倍
若い世代ほど伸び率が高い、という順番になっている

20代が占める割合はまだ小さい

倍率のインパクトが大きいので見落とされがちですが、金額そのものはまだ全体の一部です。

区分 2025年の買付額 全体に占める割合
20代 1兆2,648億円 約6.7%
30代 3兆2,866億円 約17.5%
20代+30代 4兆5,514億円 約24%
40代以上 残り 約76%

割合は上表の買付額からの単純計算。

NISAで動いているお金の4分の3は、いまも40代以上のものです。「若者がどんどん投資している」という印象と、実際の金額規模には差があります。

なお、NISA口座の総数は2025年12月末時点で約2,826万口座です(金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果」2026年7月3日公表)。政府は2027年12月末までに3,400万口座という目標を掲げています。

なぜ20代が投資を始めたのか

短期間でここまで増えた背景には、はっきりした理由が3つあります。

① 2024年に制度が大きく変わった
年間の投資枠が広がり、非課税で持てる期間が無期限になった
② 物価が上がった
現金で置いておくだけでは実質的な購買力が目減りするという意識が広がった
③ 年金への不安
自分で備えるしかない、という前提で行動する層が増えた

報道でも、若い世代ほど物価高や年金制度に不安を感じることが多く、投資で将来に備える動きが強まっているとされています。

とくに①の影響は大きく、2024年は20代の買付額が初めて1兆円を超えた年でもありました。

2024年に何が変わったのか

いまのNISAは、2023年までの制度とは別物といっていいほど変わっています。

項目 現在のNISA
つみたて投資枠 年間120万円
成長投資枠 年間240万円
年間の合計 360万円(2つの枠は併用できる)
生涯で使える上限 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
非課税で持てる期間 無期限
売却したとき 翌年に買った値段の分だけ枠が復活する

20代にとって決定的なのは「無期限」です。以前は非課税で持てる年数に上限があったため、20代で始めても40代になる前に期限が来ていました。

制度の細かい仕組みはNISAとはで解説しています。

「17倍」という数字を冷静に見る

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

17倍を正しく読むための3つの注意
① 出発点が小さいと倍率は大きく出る
2014年の20代の買付額は、単純計算で700億円台。小さい数字を基準にすれば倍率は簡単に膨らむ
② 買付額は「いくら買ったか」であって「いくら儲かったか」ではない
増えているのは投じた金額であって、成果ではない
③ 1人あたりが増えたのか、人数が増えたのかは別の話
この数字だけでは区別できない。口座を開く人が増えれば合計額は自然に増える

とくに②は誤解されやすいところです。「20代の資産が17倍になった」わけではありません。17倍になったのは、20代が1年間に買った金額の合計です。

むしろ、投じている金額が急増しているという事実は、次の下落局面での影響も大きくなっているという意味でもあります。

20代は実際に月いくら積み立てているのか

「1兆2,648億円」と言われてもピンときません。ここからが本題です。

日本証券業協会の調査によると、つみたて投資枠での年間の購入金額は次のようになっています。

年代 年20万円未満の割合 月あたりの目安
20代 51.5% 月1万7千円未満
30代 43.7% 同上

出典:日本証券業協会「新NISA開始後の利用動向に関する調査」(2026年)。月あたりの目安は年20万円を12で割った単純計算。

20代のつみたて投資枠の利用者は、半数以上が月1万7千円未満です。

金融庁の調査でも、20代・30代の年間投資額のボリュームゾーンは「0円超〜60万円以下」とされています。

ニュースの見出し → 1兆2,648億円・17倍
1人あたりの実態 → 月1万円〜2万円くらいが中心

つまり、「みんなすごい金額を投資しているらしい」という印象は、実態とかなりずれています。月1万円から始めている人が多数派です。

平均に合わせる必要はない

平均額や周りの金額を基準に決めると、必ず無理が出ます。

よくある考え方 何が起きるか
平均が月3万円らしいから3万円にする 収入も家賃も違うので、自分にとって適正とは限らない
枠が360万円あるから埋めたい 生活費を削ることになる
早く始めたほうが得だから最大額で 続かず途中でやめると、時間の効果を失う

NISAで最も大事なのは金額ではなく、やめないことです。途中でやめると、20代が持っている唯一かつ最大の武器である「時間」を捨てることになります。

国会でも議論された「NISA貧乏」

投資額を増やしすぎて生活が苦しくなる状態を指す「NISA貧乏」という言葉が広まり、2026年3月の衆議院財務金融委員会でも取り上げられました。

財務大臣は、金融経済教育やライフプランニングの重要性を指摘しています。制度を使う側の知識が追いついていない、という問題意識です。

NISA貧乏になる典型的な流れ
「枠を埋めないと損」と考える
 ↓
生活費を削って積立額を上げる
 ↓
急な出費(引っ越し・冠婚葬祭・通院)に対応できない
 ↓
値下がりしている最悪のタイミングで取り崩す
 ↓
損を確定させて、投資そのものをやめる

この流れの怖いところは、最後に「投資は危ない」という結論だけが残ることです。制度の問題ではなく、金額設定の問題で失敗しています。

積立額の決め方

順番を守れば、NISA貧乏はほぼ避けられます。積立額は「余ったお金」ではなく「引き算の結果」で決めます。

① 生活防衛資金を先に確保する
生活費の3か月〜6か月分を、投資しない現金として置いておく
② 5年以内に使う予定のお金を除く
資格取得・引っ越し・結婚・車。値動きする商品に置かない
③ 残った中から、なくても困らない額を出す
ここで初めて積立額が決まる
④ 半年続けてから増額を検討する
最初から上限を狙わない。増やすのはいつでもできる

①を飛ばして始める人が非常に多いのですが、生活防衛資金は投資のブレーキではなく、投資を続けるための土台です。

現金があれば、株価が下がっても売らずに済みます。売らずに済むことが、そのまま成績になります。

20代だけが持っている武器は「時間」

20代の強みは金額ではありません。使える年数です。

同じ1,000万円を65歳までに作るとして、始める年齢によって必要な月額がどれだけ変わるかを見てみます。

始める年齢 積立期間 必要な月額
25歳 40年 約10,800円
35歳 30年 約17,200円
45歳 20年 約30,500円
55歳 10年 約71,600円

年率3%で運用できたと仮定した単純計算。税金・手数料は考慮していません。運用成果を保証するものではありません。

25歳と45歳では、必要な月額が約3倍違います。逆にいえば、20代は月1万円台でも同じ地点にたどり着ける立場にあるということです。

月1万円を積み立てた場合の推移も見ておきます。

経過年数 積み立てた元本 年率3%での評価額
10年 120万円 約140万円
20年 240万円 約328万円
30年 360万円 約583万円
40年 480万円 約926万円

同じく年率3%と仮定した単純計算。実際の運用成果は変動します。

差が開くのは後半です。10年目では元本との差が20万円ですが、40年目では446万円になります。だから「やめないこと」が金額より効きます。

20代がやりがちな5つの失敗

失敗 なぜ問題か
生活防衛資金なしで始める 急な出費で、下がっている時に売る羽目になる
枠を埋めることが目的になる 枠は「使わなければならないノルマ」ではない
下落したときにやめる 安く買えるはずの局面で買うのをやめている
SNSで見た商品をそのまま買う 自分の期間とリスク許容度に合っているとは限らない
毎日評価額を見る 短期の値動きの大きさが気になり、長期で持てなくなる

3つ目がとくに多くなっています。積立は下がったときに口数を多く買える仕組みです。この考え方はドルコスト平均法で詳しく解説しています。

2つの枠をどう使い分けるか

買えるもの 向いている人
つみたて投資枠 条件を満たした投資信託など まず始める人はここだけで十分
成長投資枠 個別株・ETF・投資信託など 自分で銘柄を選びたい人

20代で始めるなら、つみたて投資枠だけで問題ありません。成長投資枠は、投資に慣れてから使えばよい枠です。

市場全体に連動する商品を選ぶ考え方はインデックス投資、複数の資産に分ける考え方はポートフォリオで解説しています。

個別株を成長投資枠で買う場合は、条件で絞り込むスクリーニングや、高配当株の選び方もあわせて確認してください。銘柄の選び方の考え方にはバリュー投資グロース投資という2つの流れがあります。

見落としやすい設定が1つある

NISAで株やETFを持つ場合、受取方法の設定を間違えると配当金が非課税になりません。

配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にしていないと、
NISA口座で持っていても配当金には課税されます

証券会社の口座設定で変更できます。詳しくは配当金とはで解説しています。

なお、投資信託だけを積み立てる場合はこの設定の影響を受けません。

これから始める人の手順

① 生活防衛資金を確保する 生活費の3〜6か月分
② 証券会社を決める 証券会社の比較維持費は原則無料
③ 口座を開く 開設にかかる日数は最短で即日
④ 月1万円から始める 最初から上限を狙わない
⑤ 半年は見ない 毎日確認しても成績は変わらない。見直すなら年1回のリバランスで十分

NISA口座は1人1口座で、金融機関の変更は年単位でしかできません。取扱商品が多いところを選んでおくと後から困りません。

NISA以外の口座の種類については証券口座の種類特定口座を参照してください。

※ 本記事は制度と統計の解説であり、特定の商品や売買を推奨するものではありません。試算は一定の利回りを仮定した単純計算であり、運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

20代のNISAに関するよくある質問

20代は月いくら積み立てればいいですか?
正解の金額はありませんが、実態としては月1万円台から始めている人が多数派です。日本証券業協会の調査では、つみたて投資枠を使う20代の51.5%が年20万円未満、つまり月1万7千円未満でした。生活防衛資金を確保したうえで、なくても困らない額から始めてください。
17倍というのは資産が増えたということですか?
違います。17倍になったのは20代が1年間にNISAで買った金額の合計です。運用成績ではありません。買付額はあくまで「いくら投じたか」を示す数字で、「いくら儲かったか」とは別のものです。
なぜ20代だけ倍率が大きいのですか?
出発点が小さかったためです。2014年の20代の買付額は単純計算で700億円台にすぎず、母数が小さいほど倍率は大きく出ます。金額そのものは、2025年でもNISA全体の7%弱にとどまっています。
枠を使い切らないと損ですか?
損ではありません。生涯で使える1,800万円の枠に期限はなく、使わなかった分が消えるわけでもありません。生活費を削ってまで埋める必要はなく、無理に埋めた結果として途中で売却すれば、かえって不利になります。
NISA貧乏とは何ですか?
投資に資金を回しすぎて、日々の生活が苦しくなっている状態を指す言葉です。2026年3月の衆議院財務金融委員会でも取り上げられ、金融経済教育やライフプランニングの重要性が指摘されました。積立額を上げすぎたことが原因で、制度自体の問題ではありません。
生活防衛資金はいくら必要ですか?
一般には生活費の3か月分から6か月分が目安とされます。収入が安定しているか、家族構成はどうか、実家を頼れるかによって必要額は変わります。この資金は値動きする商品には置かず、すぐ引き出せる預金で持っておいてください。
値下がりしたらどうすればいいですか?
積立を続けるのが基本です。価格が下がっている局面は、同じ金額でより多くの口数を買える局面でもあります。ただしこれは、生活防衛資金を確保していて、売らずに待てる状態にあることが前提です。生活が回らなくなるなら、積立額を下げてでも継続を優先してください。なお積立投資では、個別株のような損切りのルールは通常あてはまりません。
途中で積立額を変更できますか?
できます。多くの証券会社で毎月変更でき、一時的に停止することも可能です。停止しても口座やそれまでの資産がなくなるわけではありません。収入が減ったときは、やめるより先に減額を検討してください。

まとめ

20代のNISA買付額が17倍になったのは事実ですが、1人あたりで見れば月1万円台から始めている人が多数派です。数字の大きさに合わせる必要はありません。

この記事のまとめ

・20代の2025年の買付額は1兆2,648億円(2014年比 約17倍)
・30代は約14倍、NISA全体は約6倍
・ただし20代が占める割合は全体の7%弱
・倍率が大きいのは出発点が小さかったから
・買付額は「いくら投じたか」で、成績ではない
・20代の半数以上は年20万円未満の積立
・生活防衛資金を先に確保する。順番を間違えるとNISA貧乏になる
・20代の武器は金額ではなく時間。やめないことが最優先

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