
SMBC日興証券は、三井住友フィナンシャルグループに属する大手証券会社です。ネット取引の「ダイレクトコース」を選ぶと、信用取引の売買手数料が無料になります。
ただし、この会社を検討するなら2022年の相場操縦事件を知らずに判断するべきではありません。
相場操縦を理由とする業務停止命令は、大手証券会社では初めてのことでした。この記事では、サービスの中身と事件の両方を扱います。
この記事でわかること
・信用取引の売買手数料が無料であることの意味
・キンカブと日興フロッギーの違い
・IPOに強いと言われる理由
・2022年の相場操縦事件で何が起きたか
・事件を踏まえてどう判断するか
・デメリットと、他社を選んだほうがよい人
・この会社を選ぶ理由は3つに絞れる
📌 この記事は会社とサービスの評価を扱います。実際の申込手順・必要書類は SMBC日興証券の口座開設 をご覧ください。
目次
SMBC日興証券とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| グループ | 三井住友フィナンシャルグループ |
| 位置づけ | 対面とネットの両方を持つ大手証券 |
| 取引コース | 総合コース(対面)とダイレクトコース(ネット) |
| 最大の特徴 | ダイレクトコースは信用取引の売買手数料が無料 |
| 少額投資 | キンカブ(金額・株数指定取引)と日興フロッギー |
| ポイント | dポイントが貯まる・使える |
| 押さえるべき事実 | 2022年に相場操縦事件で一部業務停止命令を受けた |
ダイレクトコースの手数料
ネット取引を選んだ場合の、国内株式の売買手数料です。
| 約定代金 | 手数料 |
|---|---|
| 10万円 | 137円 |
| 100万円 | 880円 |
| 信用取引 | 売買手数料 0円 |
ここで正直に書いておくべきことがあります。現物株の手数料だけで比べると、SBI証券や楽天証券のほうが安くなります。
| 証券会社 | 国内株の売買手数料 |
|---|---|
| SBI証券(ゼロ革命・2023年9月30日〜) | 0円(条件あり) |
| 楽天証券(ゼロコース・2023年10月1日〜) | 0円(条件あり) |
| SMBC日興証券(ダイレクトコース) | 10万円137円/100万円880円 |
したがって「現物株を安く売買したい」という理由だけなら、この会社を選ぶ積極的な理由はありません。選ぶ理由は別のところにあります。
信用取引の売買手数料が無料であることの意味
これが、この会社を選ぶ最大の理由です。
誰に効くのか
・売買のたびにかかる手数料がゼロになるため、短期売買のコストが構造的に下がる
・⚠️ ただし手数料と金利は別物
・信用取引には買方金利や貸株料がかかり、こちらは無料にならない
・2026年に入って信用金利が段階的に引き上げられている
→ 建玉の金額と保有日数によっては、手数料無料の恩恵を金利が上回ることがある
「手数料無料」という言葉だけで判断せず、金利を含めた総コストで比較してください。とくに建玉を長く持つ人ほど、金利の影響が大きくなります。
信用取引のコスト構造は信用取引とはで解説しています。
キンカブと日興フロッギーの違い
この2つは混同されがちですが、別のものです。
| 項目 | キンカブ | 日興フロッギー |
|---|---|---|
| 正体 | 取引の仕組み(金額・株数指定取引) | 記事から株が買えるサービス(入口) |
| 最低金額 | 100円から | 100円から(dポイントなら100ポイントから) |
| dポイント | 売買約定金額500円ごとに1ポイント貯まる | ポイントで買える |
| 関係 | フロッギーの売買はキンカブの仕組みを使っている(別サービスではなく、入口が違う) | |
単元株(100株)を買うには数十万円かかる銘柄でも、100円から買えるのが利点です。
少額取引で必ず確認すること
・「いくらで買えるか」を見て発注できない点は、通常の株取引と大きく違う
・単元未満のため、議決権はない
・株主優待も原則として受け取れない(単元に達すれば別)
→ 始めやすさと引き換えに、価格のコントロールを手放している
単元株制度そのものは単元株数とはで解説しています。
IPOに強いと言われる理由
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 主幹事を務める案件がある | 主幹事は配分される株数が最も多い。当選確率に直結する |
| 取扱実績が多い | 主幹事以外でも幹事として参加する案件が多い |
| ダイレクトコースの優遇 | 抽選での優遇特典がある |
| 前受金が不要な場合がある | 資金を寝かせずに複数の案件へ申し込める |
最後の行は、IPO狙いの投資家にとって実務上の意味が大きい項目です。申込みのたびに資金を拘束されると、同時に狙える案件の数が限られてしまいます。
IPOの当選確率を上げる考え方はIPOとはとブックビルディングとはで扱っています。
2022年の相場操縦事件で何が起きたか
この章は、他の紹介記事ではほとんど触れられません。しかし投資家が知るべき事実です。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年3月・4月 | 東京地検が金融商品取引法違反(相場操縦)で起訴 |
| 2022年10月7日 | 金融庁が一部業務停止命令(10月7日〜2023年1月6日の3か月) あわせて業務改善命令。相場操縦を理由とする業務停止命令は大手証券で初 |
| 同日 | 親会社の三井住友フィナンシャルグループにも改善措置命令。 三井住友銀行には報告徴求命令(銀証ファイアーウォール規制違反も発覚) |
| 2023年2月13日 | 法人としての東京地裁判決 → 罰金7億円+追徴金約44億円 |
| 2025年7月22日 | 元副社長ら5人に有罪判決(いずれも執行猶予付き) |
何をしたのか
・大株主が保有する大量の株を、市場外で投資家に売りさばく仕組み
・売り出す価格は、直前の市場価格を基準に決まる
・その価格が下がらないよう、市場で買い支えたとされたのが今回の相場操縦
・東京地裁は「社内風土や組織自体が違法な相場操縦を許容していた」と指摘した
・個人の暴走ではなく組織の問題と認定された点が重い
相場操縦がなぜ禁止されているかは、お化粧買い(ドレッシング買い)とはでも扱っています。決算期末に株価を吊り上げる行為も、同じ法律の対象です。
事件を踏まえてどう判断するか
事実を並べたうえで、投資家として何を考えるべきかを整理します。
個人の証券口座の資産は分別管理で保護されており、この事件で預けた資産が危険になったわけではない
勧められた商品をそのまま買わないという基本は、どの証券会社でも同じ
現在、同社は通常どおり営業しています。業務停止命令は2023年1月6日に期間を終えており、口座を持つこと自体に法的な問題はありません。
この記事の立場としては、事件を理由に避けるべきだとも、忘れてよいとも言いません。ただし「知らないまま選ぶ」ことと「知ったうえで選ぶ」ことは違います。
デメリット
| デメリット | 内容 |
|---|---|
| 現物株の手数料は最安ではない | SBI証券・楽天証券は条件を満たせば0円 |
| 信用金利が上がっている | 2026年に段階的な引上げ。手数料無料の恩恵を打ち消すことがある |
| 総合コースは手数料が高い | コース選択を誤ると、ずっと高い手数料を払い続ける |
| キンカブは価格を指定できない | 1日の決まった回数でまとめて約定するため、値段を選べない |
| ポイントはdポイントに限られる | 他の経済圏を使っている人には利点が小さい |
この会社を選ぶ理由は3つに絞れる
逆に、この3つに当てはまらないなら、無理に選ぶ理由はありません。現物株を安く売買したいだけであれば、手数料0円の証券会社のほうが合理的です。
証券会社の比較は株初心者におすすめの証券会社5社を比較をご覧ください。なお証券口座は複数持つことができます。IPO用に開いておく、という使い方も現実的です。
SMBC日興証券に関するよくある質問
まとめ
SMBC日興証券は「万人向けではないが、目的が合えば強い証券会社」です。
この記事のまとめ
・ダイレクトコースの手数料は10万円137円/100万円880円
・現物株だけなら最安ではない(SBI・楽天は条件つきで0円)
・🔵 信用取引の売買手数料は無料。ただし金利は別途かかり2026年に上昇中
・キンカブは取引の仕組み、フロッギーはその入口。100円から買える
・キンカブは価格を指定できない点に注意
・IPOは主幹事案件があり、前受金が不要な場合がある
・🔴 2022年に相場操縦事件で3か月の一部業務停止命令(大手証券で初)
・罰金7億円+追徴金約44億円。2025年に元役員5人へ有罪判決
・選ぶ理由は「信用取引」「IPO」「dポイント」の3つに絞れる
※ 本記事は2026年8月時点の公表情報にもとづく解説であり、特定の金融機関の利用を推奨するものではありません。手数料やサービス内容は変更される場合があります。最新の条件はSMBC日興証券の公式サイトでご確認ください。
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