株式とは、会社の所有権を細かく分けた「持ち分」のことです。株式を持つ人が株主で、持っている株数の割合だけ、その会社のオーナーということになります。
ここを取り違えると先に進めません。株を買うことは、会社にお金を貸すことではありません。会社の一部を買うことです。だから返してもらう約束もなければ、満期もありません。
この記事では、会社法で株主に認められている権利は何か、株主優待はその権利に含まれるのかまで、正確なところを整理します。
この記事でわかること
・会社が株式を発行する理由
・会社法で定められた株主の3つの権利
・株主優待が「権利」ではない理由
・利益が出る3つの経路
・最低いくらから買えるのか
・リスク・税金・NISAの基本
目次
株式とは?まず結論から
株式(読み方:かぶしき)
株式会社が発行する、会社の所有権を細分化した単位です。株式を持っている人を株主といいます。
持株比率は 1万 ÷ 100万 = 1%
・会社の1%を所有している
・株主総会の議決権も1%
・配当を出すなら、その総額の1%を受け取る
持株数の割合が、そのまま会社に対する権利の大きさになります
もう1つ重要な性質があります。株主の責任は、出したお金の範囲までです(有限責任)。会社が倒産して負債が残っても、株主が追加で支払う義務はありません。失うのは投資した金額までです。
会社が株式を発行する理由
会社がお金を集める方法は大きく2つあります。株式と借入です。
| 項目 | 株式で集める(出資) | 借入・社債で集める |
|---|---|---|
| 返済義務 | ない | ある(満期に返す) |
| 利息 | なし(配当は業績次第で任意) | 必ず支払う |
| 会社側のデメリット | 所有権が分散する。経営に口を出される | 財務が悪化する。返せなければ倒産 |
| 出した側のリターン | 上限がない(成長すれば青天井) | 利息だけ(上限がある) |
| 倒産時の順番 | いちばん最後 | 株主より先に弁済される |
会社にとって株式は「返さなくていいお金」です。だから成長投資に向いています。その代わり、会社の一部を渡すことになります。
すでに上場している会社が株式を追加発行して資金を集めることもあります。これが増資です。株数が増えるため既存株主の持分は薄まります(→ 希薄化)。
株主の3つの権利(会社法で定められたもの)
ここは正確に押さえてください。会社法で株主に認められている基本的な権利は3つです。
株主総会で議案に賛否を投じられます。原則として1単元につき1議決権です。取締役の選任、定款の変更、組織再編などが議題になります。
会社が利益を株主に分配するとき、持株数に応じて受け取れます。ただし配当を出すかどうかは会社が決めるもので、必ずもらえるものではありません。
会社を清算したとき、負債をすべて返した後に残った財産を持株数に応じて受け取れます。順番はいちばん最後なので、実際には残らないことがほとんどです。
持株比率が一定を超えると、さらに強い権利が加わります。
| 持株比率 | できること |
|---|---|
| 1%以上 | 株主総会に議案を提案できる(株主提案権) |
| 3%以上 | 帳簿を閲覧できる。株主総会の招集を請求できる |
| 33.4%超 | 特別決議を単独で否決できる(拒否権) |
| 50%超 | 普通決議を単独で可決できる(取締役の選任など) |
| 66.7%以上 | 特別決議を単独で可決できる(組織再編など) |
※ 詳しくは持株比率の記事で解説しています。
株主優待は「権利」ではない
ここは誤解が非常に多い部分です。株主優待は会社法上の株主の権利ではありません。会社が任意で行っているサービスです。
実際、優待の廃止は毎年起きています。優待を目当てに買った銘柄で優待が廃止されれば、その理由で買った根拠は消えます。優待は「もらえたらうれしいおまけ」として位置づけるのが安全です。
株主優待で受け取った物品・金券の経済的利益は、原則として雑所得として課税対象になります。
給与所得者で、給与以外の所得が年20万円以下であれば所得税の確定申告が不要になる場合がありますが、「優待は税金がかからない」というのは正確ではありません。
※ 取扱いは個別事情によります。判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください
詳しくは株主優待の記事で扱っています。
株式投資で利益が出る3つの経路
| 経路 | 内容 | 確実性 |
|---|---|---|
| 値上がり益 (キャピタルゲイン) |
買った価格より高く売ったときの差額 | 不確実。下がれば損失になる |
| 配当金 (インカムゲイン) |
会社の利益から分配されるお金。年1〜2回が一般的 | 業績次第。減配・無配になることもある |
| 株主優待 | 自社製品・割引券・金券など | 会社の任意。廃止されることがある |
3つのうち金額が最も大きくなりうるのは値上がり益です。ただし下落したときの損失も同じ経路で発生します。
① 企業業績:利益が増える見通しなら買われる。EPSとPERの掛け算で理論値を考える
② 金利・為替などの環境:金利が上がると株価は下がりやすい
③ 需給:買いたい人と売りたい人のバランス。決算や増資の発表で急に傾く
最低いくらから買えるのか
上場株式は100株を1単元として売買するのが原則です。2018年10月に、すべての国内上場会社の売買単位が100株に統一されました。
株価 800円 → 100株で 80,000円
株価 3,000円 → 100株で 300,000円
株価 10,000円 → 100株で 1,000,000円
※ 別途、売買手数料がかかる場合があります
「100株はまとまった金額になる」という場合、単元未満株という選択肢があります。1株から買えるサービスで、主要ネット証券が提供しています。数百円〜数千円で始められます。
| 項目 | 単元株(100株) | 単元未満株(1株〜) |
|---|---|---|
| 議決権 | ある | ない |
| 配当 | 受け取れる | 受け取れる(株数に応じて) |
| 株主優待 | 条件を満たせばもらえる | 対象外のことが多い |
| 指値注文 | できる | サービスにより不可。約定タイミングが決まっていることが多い |
株を買う手順
銀行振込やネット入金で証券口座に資金を移します。
取引時間は平日の午前9時から午後3時30分までが基本です(東証。2024年11月に終了時刻が15時30分へ延長されました)。時間外に売買したい場合はPTSという選択肢があります。
株式投資のリスク
デメリットを正面から書きます。株式には元本保証がありません。
| リスク | 内容 | 対処の考え方 |
|---|---|---|
| 価格変動 | 買値より下がれば含み損。市場全体が下げる局面では優良企業も下がる | 分散と時間の分散。損切りルールを先に決める |
| 倒産・上場廃止 | 株式が無価値になることがある。弁済順位は最後 | 財務内容を確認する。継続企業の前提に関する注記の有無を見る |
| 流動性 | 売買が少ない銘柄は、売りたい価格で売れないことがある | 出来高を確認してから買う |
| 減配・無配 | 配当は約束されたものではない。業績悪化で止まる | 配当性向と継続性を見る |
| 希薄化 | 増資で株数が増え、1株の価値が薄まる | 資金調達の開示に注意する |
生活に必要な資金や、近い将来に使う予定のあるお金で株式投資をするべきではありません。価格が下がった局面で売らざるを得なくなるためです。
※ 本記事は制度の説明であり、特定の銘柄や取引を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
税金とNISA
株式の利益には20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の税金がかかります。値上がり益にも配当金にも同じ税率が適用されます。
| 口座の種類 | 課税 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 特定口座(源泉徴収あり) | 20.315%を証券会社が天引き | 原則不要 |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 20.315% | 必要(年間取引報告書が届く) |
| 一般口座 | 20.315% | 必要(自分で損益計算) |
| NISA口座 | 非課税 | 不要 |
NISA口座で株を買っても、配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」以外になっていると、配当は課税されます。
証券会社の設定画面で受取方法を確認してください。これは非常に多い取りこぼしです。
また、NISA口座の損失は他の口座の利益と損益通算できません。非課税である代わりに、損失も税務上は存在しないものとして扱われます。
※ 税制は改正されることがあります。最新の内容は国税庁の情報をご確認ください。
株式に関するよくある質問
まとめ
株式は、会社の所有権を細かく分けたものです。貸したお金ではないので返済はなく、その代わりリターンにも上限がありません。
この記事のまとめ
・会社法上の権利は議決権・剰余金配当請求権・残余財産分配請求権の3つ
・株主優待は権利ではなく会社の任意。廃止されることがある
・優待の経済的利益は原則として課税対象
・利益の経路は値上がり益・配当金・優待の3つ
・売買単位は100株。単元未満株なら1株から買える
・利益には20.315%。NISAは非課税だが損益通算はできない
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