新しく株主優待を始めた企業10選|100株の実質利回りランキング2026年版

これまで株主優待を出していなかった企業が、新しく優待を始めることがあります。企業は「株主優待制度の導入に関するお知らせ」という開示を出して発表します。

株主優待を出している1,653社の直近の開示をたどったところ、2025年9月以降に優待の新設を開示していたのは72社ありました。そのうち買った年から受け取れて、金額が「◯◯円」と明記されているものを実質利回りで並べています。

ただし、この記事でいちばん伝えたいのは順位ではありません。新しく始まった優待は、そのまま続くとは限らないということです。実際に、一度も実施されないまま廃止された優待があります。その話は記事の後半で扱います。

外したもの 理由
くふうカンパニーホールディングス(4376) ①家計簿サービス1年間無料券から⑤撮影半額券まで5つから選ぶ選択制。③は「結婚関連サービス割引券100,000円相当」、④は「※50%割引」で、額面として横並びにできない
ユカリア(286A) 割引5,000円相当」。24,750円の脳ドックが5,000円引きになるもので、額面ではなく割引額
NE(441A) 自社サービスのユーザー企業の商品を割引価格で買えるクーポン。買わなければ価値が出ない
SBIインシュアランスグループ(7326) XRP 2,500円相当だが、備考に「SBI VCトレードに口座を開設し、アプリのダウンロードが必要」。手続きが前提
花王(4452) 自社製品セットだが内容欄が「抽選でプレゼント」。もらえるとは限らない
エスクリプトエナジー(5721) ビットコイン100,000円相当が50名など、当選者数が決まっている抽選
八十二長野銀行(8359) 電子ギフト500円相当だが「インターネットにて議決権を行使・抽選1,000名」。議決権行使と抽選が条件
笹徳印刷(3958) オリジナルカレンダー1部。ただし申込専用ウェブサイトから期限までに申し込む必要がある
三井住友フィナンシャルグループ(8316) 円定期預金の金利上乗せクーポン。「Olive アカウント」の契約が条件で、額面の記載もない
トランヴィア(545A) 「3,000円相当(内、記念優待1,000円相当)」。記念ぶんを含むため、翌年以降も同額とは限らない

金額が大きく見えても、確実にもらえるとは限らない優待は外しています。新設されたばかりの制度には、抽選や申込制、初回だけの記念優待といった形も混ざっています。ビットコイン100,000円相当のように額面が目を引くものほど、条件を最後まで読んでください。

この記事でわかること

・2025年9月以降に優待の新設を開示した72社から選んだ実質利回り上位10社
・72社のうち8社は、新設のあとすぐに内容を変えていること
・ストライダーズは導入の開示から24日後に拡充を開示していること
一度も実施されないまま廃止された優待があること
・新設された優待でも、買った年にはもらえない23社があること
・新設が多いのはプライム30社・スタンダード17社・グロース25社で、利回りは市場で大きく違うこと
・優待と配当を合わせた総合利回りの計算ツール

※ この記事は制度とデータの解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。優待の内容は変更されることがあるため、購入前に各社のIR情報で確認してください。

今回のランキングの決め方

今回の順位に関しては以下の条件のもとで計算してランキング化した形です。

項目 条件
調べた銘柄数 株主優待を出している1,653社の直近の開示を1社ずつ確認
開示 2025年9月以降に「優待制度の新設・導入」を開示したものだけ(72社)
株数 100株(最低単元)でもらえるものだけ
保有期間 買ったその年からもらえるものだけ
優待の性質 「◯◯円」と金額が明記されていて、購入額に連動しないもの
除外 抽選・申込制・選択制・割引率だけのもの
実質利回り 年間の額面 ÷(株価×100株)×100
株価 2026年9月1日の終値

72社という数字は、各社の直近の開示をたどって確認できた社数です。古い開示までさかのぼれていない企業があるため、実際にはこれより多い可能性があります。判定の内訳は次のとおりです。

判定 社数 扱い
「◯◯円」と金額が明記されている 38社 上から順に目視で検算
継続保有が条件 23社 買った年はもらえない
内容が特定できない・選択制 5社 個別に読み直して振り分け
「◯%割引」としか書かれていない 2社 使う金額で変わるため対象外
抽選・申込制 4社 確実にもらえないため除外

他の株主優待サイトの一覧と最も違うのは、新設された時期と、そのあとの開示まで追っている点です。優待は始まったあとに変わることがあるため、開示日をそのまま表に載せています。

新しく株主優待を始めた企業10選

実質利回りの上位10社です。すべて100株・買ったその年から受け取れる・金額が明記されているという条件を満たしています。

銘柄(コード) 開示日 投資額 年間の額面 実質利回り 権利確定
① ストライダーズ(9816) 2026/02/06 25,400円 2,000円 7.87% 3月、9月
② エディア(3935) 2026/02/13 70,800円 5,000円 7.06% 2月
③ コレックホールディングス(6578) 2025/11/13 47,100円 2,000円 4.25% 2月、8月
④ ビートレンド(4020) 2025/09/18 84,900円 3,000円 3.53% 12月
⑤ リップス(373A) 2025/10/15 146,000円 5,000円 3.42% 8月
⑥ Schoo(264A) 2026/08/14 30,100円 980円 3.26% 9月
⑦ 光フードサービス(138A) 2025/10/14 310,500円 10,000円 3.22% 5月、11月
⑧ ソケッツ(3634) 2026/02/06 60,100円 1,500円 2.50% 3月
⑨ エクスモーション(4394) 2026/07/03 65,300円 1,500円 2.30% 11月
⑩ 和心(9271) 2026/02/13 96,700円 2,000円 2.07% 12月

ここは先に強調しておきたいところです。利回りが高い銘柄が、良い銘柄とは限りません。利回りの高さは「優待が手厚い」ではなく「株価が安い」ことの裏返しである場合が多く、なかには優待そのものを取りやめる企業もあります。

この10社にプライム市場の企業は1社もありません。内訳はスタンダード4社、グロース6社です。理由は記事の後半で数字とあわせて整理しています。

【1位】ストライダーズ(9816)7.87%

25,400円で年2,000円分(1回1,000円分 × 年2回)
スタンダード/不動産業 権利確定:3月、9月 新設の開示:2026年2月6日

ストライダーズは不動産業に分類される企業です。優待はECサイト「北陸マルシェ」と自社ホテル(成田ゲートウェイホテル、ホテル・アローレ)で使える割引クーポン券で、3月末と9月末の年2回、1回1,000円相当が届きます。

導入を開示したのは2026年2月6日ですが、その24日後の3月2日に「株主優待制度拡充のお知らせ」を出しています。新設された直後の優待は、内容が固まりきっていないことがあります。この記事の金額は2026年9月1日時点のものです。

ホテルで使う場合は事前に各ホテルへの電話予約が必要とされています。贈呈は毎年6月下旬と12月下旬の予定です。使い道が自社グループに限られるため、成田周辺や北陸の商品を利用する機会があるかどうかで価値が変わります。

【2位】エディア(3935)7.06%

70,800円で年5,000円分
スタンダード/情報・通信業 権利確定:2月 新設の開示:2026年2月13日

エディアは情報・通信業の企業で、優待は自社が運営するオンラインくじサービス「まるくじ」「くじコレ」の決済に使えるクーポンです。1年未満の保有でも5,000円相当がもらえます。

1年以上保有すると10,000円相当(5,000円相当×2枚)に増えますが、買ったその年から5,000円分を受け取れる点が、今回の条件に合っています。権利確定は2月末です。

注意したいのは使い道です。1回の会計につき利用できるクーポンは1枚のみで、有効期限もあります。自社サービスの中でしか使えないため、くじを引く予定がなければ額面どおりの価値にはなりません。

【3位】コレックホールディングス(6578)4.25%

47,100円で年2,000円分(1回1,000円分 × 年2回)
スタンダード/サービス業 権利確定:2月、8月 新設の開示:2025年11月13日

コレックホールディングスはサービス業の企業です。優待はQUOカードで、2月末と8月末の年2回、1回1,000円相当(年間2,000円相当)が届きます。

今回の10社のなかでは、9位のエクスモーション(4394)のデジタルギフトと並んで使い道が広い優待です。QUOカードはコンビニや書店、ドラッグストアなどで使えるため、その企業の商品やサービスに関心がなくても額面どおりに使い切れます。

内容欄に「1,000円相当(年間 2,000円相当)」と年間の金額まで併記されているのも親切な点です。贈呈は各基準日から3カ月以内とされています。

【4位】ビートレンド(4020)3.53%

84,900円で年3,000円分
グロース/情報・通信業 権利確定:12月 新設の開示:2025年9月18日

ビートレンドは情報・通信業の企業で、優待はデジタルギフトです。1年未満の保有で3,000円相当、1年以上で4,000円相当、2年以上で5,000円相当と段階が付いています。権利確定は12月末です。

導入の開示は2025年9月18日ですが、2026年8月14日に「株主優待制度の変更に関するお知らせ」を出しています。導入から1年たたないうちに内容が変わった例です。ここに載せているのは2026年9月1日時点の内容です。

継続保有の条件については、2026年12月31日時点の株主名簿に載っている株主から新規適用で、過去の保有期間は計算に含めないと明記されています。受け取りはWeb上で品目を選ぶ方式で、選択期間を過ぎると手続きができなくなります。

【5位】リップス(373A)3.42%

146,000円で年5,000円分
グロース/化学 権利確定:8月 新設の開示:2025年10月15日

リップスは化学に分類される企業で、優待は公式ECサイト「LIPPS Online」で使えるクーポンコード5,000円相当です。権利確定は8月末で、毎年11月上旬発送の定時株主総会招集通知に同封されます。

クーポンは1回の買い物につき1枚利用できます。5,000円という額面は今回の10社のなかで上位ですが、投資額も146,000円と大きめです。

使えるのは自社のECサイトだけです。そこで扱う商品を買う予定がなければ、額面がそのまま自分の価値になるとは限りません。優待の金額換算は、自分が実際に使う前提で見積もってください。

【6位】Schoo(264A)3.26%

30,100円で年980円分
グロース/サービス業 権利確定:9月 新設の開示:2026年8月14日

Schooはサービス業の企業で、優待はオンライン学習サービス「Schoo for Personal」プレミアムプランの月額会費980円相当が1か月無料になるクーポンです。権利確定は9月末です。

額面980円は今回の10社で最も小さいのですが、投資額が30,100円と最も少ないため、利回りでは6位に入ります。利回りは額面の大きさではなく、額面と投資額の比で決まります。

新設の開示は2026年8月14日で、今回の10社のなかで最も新しい開示です。案内は毎年12月発送の定時株主総会招集通知に同封されます。ただし有料プランを使う予定がなければ、実質的な価値はゼロに近くなります。

【7位】光フードサービス(138A)3.22%

310,500円で年10,000円分(1回5,000円分 × 年2回)
グロース/小売業 権利確定:5月、11月 新設の開示:2025年10月14日

光フードサービスは小売業に分類される企業で、優待は居酒屋事業で使える電子チケットの食事券です。5月末と11月末の年2回、1回5,000円相当(年間10,000円相当)が届きます。

年10,000円相当は今回の10社で最大の額面です。ただし投資額も310,500円と最大で、10社のなかで唯一30万円を超えます。額面が大きい優待は、投資額も大きいことがほとんどです。

贈呈は5月末確定分が8月、11月末確定分が翌年2月とされています。使えるのは居酒屋事業だけなので、通える範囲に店舗があるかを先に確認してください。

【8位】ソケッツ(3634)2.50%

60,100円で年1,500円分
スタンダード/情報・通信業 権利確定:3月 新設の開示:2026年2月6日

ソケッツは情報・通信業の企業です。優待はギフトカードですが、保有期間で品目そのものが変わります。1年未満はタワーレコード・ギフトカード1,500円相当、1年以上はTOHOシネマズ・ギフトカード3,000円相当です。

金額だけでなく、届くものの種類が変わるのは珍しい形です。3年以上になると両方がもらえます。買ったその年は1,500円相当のタワーレコード・ギフトカードになります。

権利確定は3月末で、贈呈は毎年6月の定時株主総会終了後の予定です。1年目と2年目でもらえるものが違うため、どちらが自分にとって使いやすいかで判断が変わります。

【9位】エクスモーション(4394)2.30%

65,300円で年1,500円分
グロース/情報・通信業 権利確定:11月 新設の開示:2026年7月3日

エクスモーションは情報・通信業の企業で、優待はデジタルギフト1,500円相当です。権利確定は11月末で、進呈は翌年2月下旬の予定です。

導入の開示は2026年7月3日です。同じ日に「AI成長戦略に基づく積極的株主還元策について」という開示も出しています。優待の新設が、株主還元の方針転換とあわせて発表されることがあります。

受け取りは、送られてくる案内に従って特設ウェブサイトで複数の電子マネーやポイントから選ぶ方式です。交換先が選べるタイプは、使い道が自社サービスに限られる優待より額面どおりに使いやすくなります。

【10位】和心(9271)2.07%

96,700円で年2,000円分
グロース/小売業 権利確定:12月 新設の開示:2026年2月13日

和心は小売業の企業で、優待は自社の「和心商品券」2,000円相当です。権利確定は12月末で、贈呈は基準日から3カ月以内とされています。

導入の開示は2026年2月13日です。投資額は96,700円で、10万円をわずかに下回ります。

商品券が使えるのは自社の商品だけです。今回の10社を見ると、QUOカードやデジタルギフトのように使い道が自由なものと、自社の商品にしか使えないものがはっきり分かれています。額面が同じでも、価値は人によって変わります。

新設された優待は、そのあと動くことがある

ここからがこの記事の本題です。新しく始まった優待は、始まった時点の内容のまま続くとは限りません。

今回の72社について、新設を開示したあとに出した開示をすべて確認しました。8社が、新設からおよそ1年以内に変更または拡充を開示していました。およそ9社に1社の割合です。

銘柄(コード) 新設の開示 そのあとの開示 間隔 内容
大阪油化工業(4124) 2025/09/01 2026/03/17 197日 中間配当の導入及び配当予想の修正並びに株主優待制度の変更
くふうカンパニーホールディングス(4376) 2025/09/09 2026/08/14 339日 株主優待制度の拡充
関通ホールディングス(9326) 2025/09/12 2026/07/14 305日 株主優待制度の変更
ブッキングリゾート(324A) 2025/09/12 2026/04/23 223日 株主優待制度の仕様変更(拡充)
ビートレンド(4020) 2025/09/18 2026/08/14 330日 株主優待制度の変更
TENTIAL(325A) 2025/10/15 2026/04/14 181日 株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更並びに株主優待制度の変更(拡充)
くろがね工作所(7997) 2025/10/27 2026/05/12 197日 株主優待制度の変更
ストライダーズ(9816) 2026/02/06 2026/03/02 24日 株主優待制度拡充

ストライダーズ(9816)は導入を開示した24日後に拡充を開示しています。1か月も経っていません。優待の内容を見て買うつもりなら、開示日だけでなく、そのあとに出た開示まで確認してください。

ここでの「変更」は必ずしも悪い意味ではありません。拡充のほうが多く、株主にとっては有利に働きます。ただし、動く方向は企業が決めます。拡充と同じ理屈で、縮小や廃止も起こりえます。

一度も実施されないまま終わった優待がある

もっとも極端な例を挙げます。REVOLUTION(8894)は2024年10月に、2,000株以上の保有でQUOカードPay 6万円分(年2回で年間12万円分)という優待の新設を発表しました。

ところが2025年3月11日に廃止を開示しています。権利確定は4月末と10月末だったため、一度も実施されないまま終わりました。新設の発表を見て買った人は、優待を1回も受け取っていないことになります。

「優待を新設した」という発表は、その企業が今後も優待を続けることを約束するものではありません。株主優待は法律で義務づけられた制度ではないため、企業が「やめます」と発表すれば、その時点で終わります。

今回集めた開示のなかだけでも、優待の廃止・見送りを開示していた企業が9社ありました。直近では次のとおりです。

開示日 銘柄(コード) 開示のタイトル
2026/08/24 コンヴァノ(6574) 株主優待制度の廃止に関するお知らせ
2026/06/19 CRAVIA(6573) (経過開示)2026年6月30日基準日の株主優待制度の見送りに関するお知らせ
2026/05/15 ライトアップ(6580) 株主優待制度の変更(一部廃止)に関するお知らせ
2026/05/08 AIAIグループ(6557) 株主優待制度の廃止に関するお知らせ
2026/03/23 unbanked(8746) 株主優待の実施見送りに関するお知らせ
2026/02/13 ザ・パック(3950) 株主還元方針の変更及び株主優待制度の廃止に関するお知らせ

CRAVIA(6573)にいたっては、2024年12月20日に廃止を開示したあと、2026年6月19日にも見送りを開示しています。優待をやめたり、また見送ったりを繰り返す企業もあります。

だからといって新設された優待をすべて避ける必要はありません。新設そのものを買う理由にしないこと、そして買ったあとも開示を見続けること。この2つで十分です。

新設が多いのはどの市場か

72社を市場区分で分けました。社数はプライムが最も多いのに、利回りの上位10社にプライムは1社も入っていません。

市場区分 新設した社数 金額が明記 平均の実質利回り 平均の投資額 うち無配
プライム 30社 12社 0.92% 256,667円 1社
スタンダード 17社 10社 2.85% 122,500円 0社
グロース 25社 16社 2.70% 135,669円 8社

プライムは平均0.92%、グロースは平均2.70%です。差が出るのは優待の手厚さではなく、投資額です。プライムの平均投資額は256,667円で、グロースの135,669円のおよそ2倍あります。同じ3,000円のQUOカードでも、投資額が30万円なら1%、10万円なら3%になります。

ただしグロースは、金額が明記されている16社のうち8社が無配でした。利回りが高く見える市場ほど、配当が出ていない企業の割合も高くなります。優待だけを見て比べると、この差は見えません。配当と合わせた総合利回りで判断してください。

投資額はいくら必要か

金額が明記されている38社を、投資額の帯で分けました。

投資額(100株) 社数 分布
3万円以下 3社 ■■■
3万円超〜10万円 11社 ■■■■■■■■■■■
10万円超〜30万円 17社 ■■■■■■■■■■■■■■■■■
30万円超 7社 ■■■■■■■

最も多いのは10万円超〜30万円の帯です。3万円以下で買えるものは3社しかありません。新設された優待は、少額で買える銘柄に偏っているわけではないということです。投資額を先に決めてから探すほうが、結果として選びやすくなります。

買った年にはもらえない23社がある

新設された優待でも、買ったその年からもらえるとは限りません。72社のうち23社が継続保有を条件にしていました。これは約32%にあたります。

書かれ方 意味
【1年未満保有】3,000円 /【1年以上保有】4,000円 買った年から3,000円分もらえる
【1年以上保有】2,000円相当 買った年は対象外
【半年以上保有】1,500円相当 買った年は対象外(基準日を2回またぐ必要がある)
備考に「◯年以上継続保有した株主に限る」 内容欄ではなく備考にしか書かれていないことがある

見分け方は「未満」または「初年度」という言葉があるかどうかです。これがなければ、買った年は対象外だと考えてください。仕組みは長期保有優遇とは?で解説しています。

新設の場合はもうひとつ確認したい点があります。継続保有の期間を、いつから数え始めるかです。今回4位のビートレンド(4020)は「2026年12月31日時点の株主名簿に記載された株主から新規適用であり、過去の保有期間は計算に含めません」と明記していました。制度が始まる前から持っていても、期間には数えられないという意味です。

権利確定月は3月に集中している

72社を権利確定月で数えました。年2回の企業は両方の月で数えています。

権利確定月 社数 分布
3月 29社 ■■■■■■■■■■■■■■
9月 19社 ■■■■■■■■■
12月 11社 ■■■■■
2月 8社 ■■■■
8月 7社 ■■■
11月 4社 ■■
6月 3社
4月 3社
5月 2社
10月 1社

3月が29社で最も多く、次いで9月が19社です。3月期決算の企業が多いためで、これは優待全体の傾向と同じです。

3月末は優待銘柄が最も集中する時期でもあります。権利付最終売買日に向けて株価が上がり、権利落ち日に下がる動きが出やすくなります。いつ買えばよいかは権利確定日とは?で整理しています。

ほかの条件で株主優待を探す

この記事で扱ったのは、2025年9月以降に新設を開示した72社から選んだ10社です。新設かどうかではなく、優待の種類や投資額から探したい場合は、検索ページで絞り込めます。

条件で絞り込む

100株で買える株主優待の検索ページ
優待の種類・投資額・権利確定月・業種で絞り込めます。
投資額の上限を決めてから種類を選ぶと、買える範囲だけが残ります。

優待の種類ごとにまとめた記事もあります。クオカード優待株10選高利回りの株主優待30選長期保有優遇の株主優待10選のほか、投資額を10万円以下に限定したい場合は投資金額10万円以下の株主優待もあります。

自分の条件で総合利回りを計算する

株価は毎日動くので、この一覧の利回りも日々変わります。いま検討している銘柄の数字を入れて計算できるツールを置いておきます。配当も合わせた総合利回りが出ます。

株主優待の総合利回り計算ツール

株価と優待額を入れると、優待利回り・配当利回り・その合計を同時に計算します。数値を変えるとその場で計算し直します。





投資額 60,100円
年間の優待額 1,500円
年間の配当額(税引前) 600円
優待利回り 2.50%
配当利回り 1.00%
総合利回り 3.49%

優待と配当を合わせた総合利回りが3%を超えると、高めの水準にあたります。

※ 優待利回り=年間の優待額÷投資額×100 / 配当利回り=1株あたり配当×株数÷投資額×100
※ 配当は税引前です。実際には約20.315%が源泉徴収されます。優待の金額換算は自分にとっての価値で見積もってください。

初期値には8位のソケッツ(3634)の株価と、買った年にもらえる額面1,500円を入れてあります。保有期間で金額が変わる銘柄では、いま自分がもらえる金額のほうを入れてください。2年目以降の金額を入れると、利回りが実際より高く出ます。

新設された優待で失敗する4つの理由

ここまで実質利回りで並べてきましたが、新設されたという事実と利回りの高さだけで銘柄を選ぶと外します。理由は4つあります。

理由① 新設は「続ける約束」ではない

優待の新設は企業からの発表であって、契約ではありません。REVOLUTION(8894)のように、新設を発表しながら一度も実施せずに廃止した例があります。

今回の72社でも、8社が1年以内に内容を変更・拡充していました。変わること自体は珍しくないと考えてください。新設されたから買うのではなく、いまの内容で買う価値があるかで判断します。

理由② 実質利回りは株価が下がると自動的に上がる

実質利回りは「年間の額面 ÷ 投資額」で計算します。優待の金額は固定なので、株価が下がるほど利回りは自動的に上がります。

株価 投資額(100株) 年2,000円の優待の利回り
1,000円 100,000円 2.00%
500円 50,000円 4.00%
250円 25,000円 8.00%
100円 10,000円 20.00%

優待の内容は何も変わっていないのに、株価が10分の1になれば利回りは10倍に見えます。優待をもらうために、株価の下落でそれ以上を失っては意味がありません。利回りが極端に高い銘柄を見つけたときは、まず「なぜ株価がここまで下がっているのか」を業績で確認してください。

理由③ 額面と、自分にとっての価値は別

今回の10社を見ると、優待の中身は大きく2つに分かれます。

種類 実際の価値
使い道が自由 QUOカード、デジタルギフト(電子マネーやポイントから選べる) 額面がほぼそのまま価値になる
自社の商品・サービスだけ 自社ECのクーポン、自社商品券、食事券、自社サービスの無料利用券 使う予定がなければ価値はゼロに近い

利回りの数字は、どちらも同じ計算で出ています。3位のコレックホールディングス(6578)のQUOカードと、5位のリップス(373A)の自社ECクーポンでは、同じ「◯円相当」でも使い切れる確率が違います。自分が実際に使う前提で見積もり直してください。

理由④ 優待は原則として課税の対象になる

株主優待は税務上、原則として雑所得として扱われます。「優待は非課税」という説明を見かけることがありますが、正確ではありません。

給与所得者の場合、給与以外の所得の合計が年20万円以下であれば確定申告が不要という基準があります。優待だけで年20万円を超えることはまれなので、結果として申告不要になっている人が多い、というのが実態に近いです。

ただし他に副収入がある場合は合算で判定されます。また住民税には20万円の基準がないため、自治体によって扱いが異なります。優待の金額換算については優待利回りとは?でも触れています。

新しく始まった株主優待に関するよくある質問

株主優待の新設とはどういうことですか。
それまで優待を出していなかった企業が、新しく優待制度を始めることです。企業は「株主優待制度の導入に関するお知らせ」「株主優待制度の新設に関するお知らせ」といった開示を出します。今回、株主優待を出している1,653社の直近の開示をたどったところ、2025年9月以降に新設を開示していたのは72社でした。
優待が新設された銘柄を買えばよいですか。
新設されたことだけを理由に買うのは危険です。優待は法律で義務づけられた制度ではないため、企業の判断でいつでも変更・廃止できます。REVOLUTION(8894)は2024年10月に優待の新設を発表しましたが、2025年3月11日に廃止を開示し、一度も実施されないまま終わりました。
新設された優待は、すぐに内容が変わることがありますか。
あります。今回の72社のうち、新設を開示したあとに変更・拡充を開示していた企業が8社ありました。ストライダーズ(9816)は2026年2月6日に導入を開示し、24日後の3月2日に拡充を開示しています。新しい制度ほど、内容が動きやすいと考えておいてください。
新設の情報はどこで見られますか。
企業の適時開示(IR情報)です。各社のウェブサイトのIRページか、日本取引所グループの適時開示情報閲覧サービスで確認できます。優待情報サイトの一覧は反映が遅れることがあるため、金額や条件は必ず企業の開示で確認してください。
新設された優待は、買った年からもらえますか。
もらえないことがあります。今回の72社のうち23社が継続保有を条件にしていました。「【1年以上保有】2,000円相当」のように書かれていて「◯年未満」の区分がなければ、買った年は対象外です。この記事の10社は、すべて買った年から受け取れるものだけを選んでいます。
どの市場の企業が新設していますか。
72社の内訳はプライム30社、スタンダード17社、グロース25社でした。ただし金額が明記されている38社で利回りを比べると、プライムは平均0.92%、グロースは平均2.70%と差が出ます。この記事の上位10社にプライム市場の企業は1社もありません。
利回りが高い銘柄を選べばよいですか。
おすすめしません。実質利回りは「年間の額面 ÷ 投資額」で計算するため、株価が下がるほど自動的に上がります。利回りの高さは、その企業の業績が良いことを意味しません。優待利回りとは?で計算式と落とし穴を整理しています。
優待は課税の対象になりますか。
株主優待は税務上、原則として雑所得として扱われます。給与所得者の場合、給与以外の所得の合計が年20万円以下であれば確定申告が不要という基準があるため、結果として申告不要になっている人が多いのが実態です。ただし他に副収入がある場合は合算で判定されます。

まとめ

2025年9月以降に優待の新設を開示していたのは72社でした。そのうち買った年から受け取れて金額が明記されているのは38社です。ただし新設という事実そのものは、買う理由にはなりません。

この記事のポイント

・2025年9月以降に新設を開示したのは72社(金額が明記されているのは38社)
・1位はストライダーズの7.87%。ただし導入の24日後に内容を変えている
・72社のうち8社が1年以内に変更・拡充を開示
REVOLUTIONは新設した優待を一度も実施せずに廃止した
・優待の廃止・見送りを開示した企業は9社
・買った年にはもらえないものが23社
・上位10社にプライム市場の企業は1社もない(グロースは16社中8社が無配)
利回りが高い銘柄が、良い銘柄とは限らない

新設された優待は情報が新しいぶん、まだ実績がありません。1回も実施されていない制度もあります。まずいまの内容で買う価値があるかを確かめて、そのうえで買ったあとも開示を見続けてください。

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