増担保規制とは

増担保規制(読み方:ましたんぽきせい)

増担保規制とは、信用取引に関する規制のひとつです。

信用取引を行う場合、委託保証金が必要です。
この委託保証金が普段より多く必要になる規制が増担保規制となります。
委託保証金とは、簡単に言うと信用取引を行うために必要な担保のことです。
つまり担保が多く必要となるので、信用取引による注文が普段よりやりにくくなります。

増担保規制は相場の過熱感を冷ます目的で行われます。
信用取引の利用が増えすぎた場合などに、新たな信用取引による売買を減らすために委託保証金率の引き上げ等を行うことで相場を落ち着かせる意図で行われます。

増担保規制メモ

・増担保規制とは信用取引に関する規制のこと
委託保証金が通常よりも多く必要となる
・増担保規制は相場の過熱感を冷ます目的

増担保規制の条件

増担保規制には、日々公表銘柄に指定されている銘柄内から、定められている条件を満たした銘柄が規制実施されるように決まっています。
日々公表銘柄とは信用取引による売買が過熱している銘柄に対して、日本証券業協会が信用取引残高の公表を毎日行うように指定した銘柄です。

日々公表銘柄に指定されている銘柄から、以下の4つのいずれかの基準に該当した銘柄が増担保規制となる可能性があります。

・残高基準
・信用取引売買比率基準
・売買回転率基準
・特例基準

条件の詳細をひとつずつ説明します。

残高基準

次のいずれかに該当する場合に規制がかかる可能性があります。

1.売残高の対上場株式数比率が15%以上で、かつ、売残高の対買残高比率が70%以上である場合

2.買残高の対上場株式数比率が30%以上で、かつ、3営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が30%以上(各営業日の株価が各営業日時点における25日移動平均株価を超過している場合に限る。)である場合

3.当取引所が「信用取引残高が継続的に増加している銘柄」として公表した日の翌月の応当日以降において、売残高の対上場株式数比率が15%以上又は買残高の対上場株式数比率が30%以上である場合

信用取引売買比率基準

まず第一条件として、

3営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が30%以上

この条件を満たしつつ、次のいずれかに該当する場合(各営業日の売買高が1,000売買単位以上である場合に限る。)

1.3営業日連続して信用取引の新規売付比率が20%以上である場合(各営業日の株価が各営業日時点における25日移動平均株価未満である場合に限る。)

2.3営業日連続して信用取引の新規買付比率が40%以上である場合(各営業日の株価が各営業日時点における25日移動平均株価を超過している場合に限る。)

売買回転率基準

まず第一条件として、

一営業日の株価と当該営業日時点における25日移動平均株価との乖離が40%以上

この条件を満たしつつ、次のいずれかに該当する場合。

1.当該営業日の売買高が上場株式数以上であり、かつ、当該営業日の信用取引の新規売付比率が30%以上である場合(当該営業日の株価が当該営業日時点における25日移動平均株価未満である場合に限る。)

2.当該営業日の売買高が上場株式数以上であり、かつ、当該営業日の信用取引の新規買付比率が60%以上である場合(当該営業日の株価が当該営業日時点における25日移動平均株価を超過している場合に限る。)

特例基準

上記3つの基準のいずれにも該当しない場合でも、日本取引所グループ(JPX)が信用取引の利用状況や銘柄の特性を考慮し必要と判断した場合にも特例として増担保規制となる場合もあります。

つまり、この特例基準があることより、条件に関係なく規制が発生する場合があります。
結局は東証の裁量次第とも言えるでしょう。

増担保規制メモ

・日々公表銘柄が条件を満たすと増担保規制となる
・増担保規制には4つの条件の内いずれかが該当することで規制対象となる
・最終的には東証の裁量次第

増担保規制の解除条件

続いて、既に増担保規制となった銘柄が、規制を解除される条件を説明します。

増担保規制の解除条件は、以下の3つ全ての条件を満たした場合に規制が解除されます。

・残高基準
・株価基準
・特例基準

上記の条件も、詳細をひとつずつ説明します。

残高基準

以下の二つの条件を満たす必要性があります。

・5営業日連続で、売残高の対上場株式数比率が12%未満である場合
・5営業日連続で、買残高の対上場株式数比率が24%未満である場合

株価基準

5営業日連続で、各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が15%未満である場合。

特例基準

上記の基準を全て該当している場合でも、取引所が信用取引の利用状況や銘柄の特性を考慮し、必要と判断した期間は措置を解除しないことができる。

つまり解除時も最後は東証の裁量次第ですので、東証の許しを得る事が最後の条件となります。

増担保規制メモ

・増担保規制の解除には3つの条件を満たす必要がある
・条件は残高基準と株価基準と特例基準
・最終的には東証の裁量次第

増担保規制による株価の動向

増担保規制は株価にも影響を与える場合があります。
基本的に増担保規制はあくまで規制ですので、会社の本質が変わったわけではありません。
そのため中長期的に見れば誤差の範疇の動きではありますが、やはり加熱感があると東証に判断されて規制させれている以上、短期的には株価は調整する場合が多いです。

例えば以下の【3624】アクセルマークを例に見てみましょう。

3624

勢い良く株価を伸ばしていましたが、12月12日より増担保規制開始。
その後は右肩下がりに株価を下げる展開となりました。

増担保規制は条件がわかっているので、事前にある程度いつ頃から増担保規制となるかがわかります。
そのため悪材料での株価下落と違い、規制がかかる少し前から増担警戒の売りが出る場合も多いです。

今回は規制きっかけで下げたパターンをご紹介しましたが、これはあくまで一例です。
増担保規制となっても関係なく株価を伸ばし続ける銘柄もありますので、その時の状況や銘柄次第と言えます。

増担保規制メモ

・増担保規制はあくまで規制なので会社の本質が変わったわけではない
・それでも短期的には株価に影響を与える場合がある

増担保規制に関してよくある質問

増担保規制になると信用取引ができなくなるのですか?
いいえ、完全にできなくなるわけではありません。ただし、必要な委託保証金率が通常の30%前後から50%〜100%(銘柄により異なる)に引き上げられるため、信用取引のコストが大幅に上がります。新規の信用買い・売りはハードルが高くなり、既存の建玉も維持が難しくなるケースが多いです。
増担保規制は誰が決めるのですか?
日本取引所グループ(JPX)や日本証券業協会が基準を設け、該当する銘柄を決定します。日々公表銘柄のうち、残高基準・信用売買比率基準・売買回転率基準・特例基準のいずれかに該当すると適用されます。取引所の裁量で特例適用されることもあります。
増担保規制になると株価はどうなりますか?
下落圧力が強まりやすいです。理由は以下の通り:
信用取引の新規参入が減る(特に信用買いが減る)
既存の信用買いポジションの解消売り(強制決済や自主決済)が増える
事前に「増担警戒売り」が入るため発表前から下落しやすい
短期的に調整が入り、株価が10〜30%程度下落するケースがよく見られます。
増担保規制はいつ解除されるのですか?
基準を満たさなくなった場合に解除されます。主な解除条件は:
売残高・買残高比率が基準以下になる
株価が25日移動平均株価に近づく(乖離が縮小)
売買回転率が低下する
取引所の判断で特例解除
解除されると通常の保証金率に戻り、信用取引がしやすくなります。
増担保規制の銘柄はどこで確認できますか?
日本証券業協会の「日々公表信用取引残高」ページや、株探の「増担保規制銘柄一覧」、Yahoo!ファイナンスの個別銘柄ページなどで最新情報を確認できます。毎日更新されるので、信用取引をする人は定期的にチェックするのがおすすめです。
増担保規制は良い銘柄にはかからないのですか?
必ずしもそうとは限りません。人気急騰銘柄や材料で急騰した銘柄(例: テーマ株や低位株)で信用取引が過熱すると、優良銘柄でもかかることがあります。逆に業績悪化で売りが殺到しても、信用取引の過熱がなければ適用されません。あくまで「信用取引の需給バランス」が基準です。
増担保規制がかかっている銘柄を買うのは危険ですか?
リスクは高いと言えます。信用買いの解消売りが出やすく、下落が加速しやすいためです。ただし、規制解除の見通しが立ったり、根本的な好材料がある場合は反発のチャンスになることもあります。初心者は避けるか、少額で様子見するのが無難です。
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