無配でも株主優待がもらえる企業10選|100株の実質利回りランキング2026年版

無配とは、企業が株主に配当を支払っていない状態のことです。配当は法律で義務づけられたものではないため、出していない企業があります。そのなかに、配当は出していないのに株主優待は出している企業があります。

株主優待を出している企業のうち、株価と配当の実績が確認できた1,119社を1社ずつ調べたところ、直近12か月に配当の支払いがなかったのは133社ありました。そのうち買った年から受け取れて、金額が「◯◯円」と明記されているものを実質利回りで並べています。

ただし、この記事でいちばん伝えたいのは順位ではありません。優待の利回りが高い銘柄ほど、配当が出ていないという関係があることです。利回り0〜1%では無配が3%なのに、10%以上では76%になります。数字は記事の後半で出します。

外したもの 利回り 理由
ナイル(5618) 689.66% 定額カルモくんに申込みをした株主様」が対象。カーリースの申込みが前提で、基準日ごとに利用できるのは1名のみ
ニチリョク(7578) 307.69% 額面30,000円は「堂内陵墓購入の販売価格優待」。お墓を買わないと使えない
ジェリービーンズグループ(3070) 294.12% 20,000ポイントだが、備考に「クーポンの利用は、商品ご購入価格の50%が上限
タメニー(6181) 227.27% 入会時登録料無料優待券」「挙式披露宴 最大20万円割引」。入会や契約が前提
ヴィア・ホールディングス(7918) 74.77% 8,000円相当の割引券だが「会計1,000円毎に500円割引」。購入額に連動する
ANAPホールディングス(3189) 49.59% 3,000ポイントだが「ポイントの利用:商品ご購入価格の50%を上限
地域新聞社(2164) 46.88% 1万円以上購入で使える3,000円引き割引券」。購入額に連動する
ラクサス・テクノロジーズ(288A) 42.11% ブランドバッグのサブスクリプションの月額利用料に充当するもの。契約が前提
日産自動車(7201) 31.49% 株主紹介特典。新車を買うか、買う人を紹介しないと何も届かない
SDエンターテイメント(4650) 26.02% 7,000ポイントで選ぶ中身に「値引きクーポン券」「施設入会特別割引券」が含まれる選択制
関門海(3372) 18.18% 2,000円券だが「4,000円以上のコース料理すべて(1コース毎に1枚限り)」。実質的に利用額の半分が上限
くふうカンパニーホールディングス(4376) 11.38% ①家計簿サービス無料券から⑤撮影半額券までの5つから選ぶ選択制。③④は割引券

利回りの上位に並んでいたものは、ほとんどが「追加の支払いをしないと使えない優待」でした。689%や307%という数字は、額面だけを機械的に拾うと出てしまいます。額面が大きく見えても、買い物や契約が前提のものは外しています。

この記事でわかること

・配当の実績が確認できた1,119社のうち133社が直近12か月は無配だったこと
・そのなかで金額が明記されている72社から選んだ実質利回り上位10社
優待利回りが高い銘柄ほど無配が多い(3%→76%)こと
グロース市場は52%が無配(プライムは2%)であること
投資額3万円以下は78%が無配であること
・配当がある優待株と総合利回りで並べるとどうなるか
・出ていた配当が止まった12社があること
・優待と配当を合わせた総合利回りの計算ツール

※ この記事は制度とデータの解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。優待や配当の内容は変更されることがあるため、購入前に各社のIR情報で確認してください。

今回のランキングの決め方

今回の順位に関しては以下の条件のもとで計算してランキング化した形です。

項目 条件
調べた銘柄数 株主優待を出している1,653社のうち、株価と配当の実績が確認できた1,119社
配当 直近12か月に実際に支払われた配当の合計が0円のもの(133社)
株数 100株(最低単元)でもらえるものだけ
保有期間 買ったその年からもらえるものだけ
優待の性質 「◯◯円」と金額が明記されていて、購入額に連動しないもの
除外 抽選・申込制・選択制・割引率だけのもの
実質利回り 年間の額面 ÷(株価×100株)×100
株価 2026年9月1日の終値

この記事の「無配」は、実際に支払われた実績で判定しています。企業が発表している予想配当は含んでいません。今期から配当を始めると発表している企業が、この中に混ざっている可能性があります。気になる銘柄を見つけたら、必ず各社のIR情報で最新の配当予想を確認してください。判定の内訳は次のとおりです。

判定 社数 扱い
「◯◯円」と金額が明記されている 72社 上から順に目視で検算
継続保有が条件 18社 買った年はもらえない
内容が特定できない・選択制 18社 個別に読み直して振り分け
「◯%割引」としか書かれていない 12社 使う金額で変わるため対象外
「◯枚」としか書かれていない 9社 金額が出せないため対象外
抽選・申込制 4社 確実にもらえないため除外

他の株主優待サイトの一覧と最も違うのは、配当の支払い実績を1社ずつ突き合わせている点です。優待利回りだけを並べた一覧では、その銘柄に配当があるのかどうかが分かりません。

無配でも株主優待がもらえる企業10選

実質利回りの上位10社です。すべて100株・買ったその年から受け取れる・金額が明記されている・直近12か月の配当は0円という条件を満たしています。

銘柄(コード) 投資額 年間の額面 配当 実質利回り 権利確定
① フィスコ(3807) 8,700円 13,200円 0円 151.72% 6月、12月
② ジーイエット(7603) 4,100円 2,000円 0円 48.78% 2月、8月
③ マーキュリー(5025) 58,300円 24,000円 0円 41.17% 2月、8月
④ アトラグループ(6029) 18,500円 4,800円 0円 25.95% 12月
⑤ KOZOホールディングス(9973) 2,000円 500円 0円 25.00% 12月
⑥ ファンデリー(3137) 20,600円 5,000円 0円 24.27% 3月
⑦ エム・エイチ・グループ(9439) 23,000円 3,500円 0円 15.22% 6月
⑧ 山喜(3598) 16,700円 2,000円 0円 11.98% 3月、9月
⑨ メディア工房(3815) 42,900円 4,000円 0円 9.32% 2月、8月
⑩ CaSy(9215) 99,500円 8,000円 0円 8.04% 11月

ここは先に強調しておきたいところです。利回りが高い銘柄が、良い銘柄とは限りません。利回りの高さは「優待が手厚い」ではなく「株価が安い」ことの裏返しである場合が多く、なかには優待そのものを取りやめる企業もあります。

この10社にプライム市場の企業は1社もありません。内訳はスタンダード6社、グロース4社です。理由は記事の後半で数字とあわせて整理しています。

【1位】フィスコ(3807)151.72%

8,700円で年13,200円分(1回6,600円分 × 年2回)/配当は0円
グロース/情報・通信業 権利確定:6月、12月 クラブフィスコのIPOナビ(リミテッド)無料クーポン

フィスコの優待は、同社が運営する「クラブフィスコ」のIPOナビを1か月間無料で使える権利です。1回6,600円相当で、権利確定が6月末と12月末の年2回あるため、年間では13,200円相当になります。

投資額8,700円に対して年13,200円相当なので、利回りは151%を超えます。ただしこれは株価が87円まで下がっていることが最大の理由です。優待が手厚くなったわけではありません。

直近12か月に支払われた配当はありません。この銘柄を持っていて受け取れる現金はゼロで、優待もIPOの情報を実際に使う人にとっては額面どおりですが、使わない人にとってはゼロに近くなります。利回りの数字と、手元に残るものが最も離れやすい形です。

【2位】ジーイエット(7603)48.78%

4,100円で年2,000円分(1回1,000円分 × 年2回)/配当は0円
スタンダード/小売業 権利確定:2月、8月 買物優待券

ジーイエットは衣料品店を展開する企業で、優待はマックハウスやアウトレット-J、NAVYなどで使える買物優待券です。2月末と8月末の年2回、1回1,000円相当(年間2,000円相当)が届きます。

投資額4,100円は今回の10社で2番目に少ない金額です。株価が41円まで下がった結果でもあります。3年以上保有すると年間4,000円相当に増えます。

内容欄に「1,000円相当(年間 2,000円相当)」と年間の金額まで併記されているのは親切な点です。使えるのは自社グループの店舗だけなので、近くに店舗がなければ額面どおりの価値になりません。

【3位】マーキュリー(5025)41.17%

58,300円で年24,000円分(1回12,000円分 × 年2回)/配当は0円
グロース/情報・通信業 権利確定:2月、8月 「Realnetマンションサーチ」利用クーポン

マーキュリーの優待は、不動産情報サービス「Realnetマンションサーチ」を6か月間無料で使えるクーポンです。1回12,000円相当で、2月末と8月末の年2回あるため年間24,000円相当になります。

額面24,000円は今回の10社で最大です。6か月ぶんが年2回なので、実質的に1年をまるごと無料で使える形になります。マンションの価格や相場を調べるサービスです。

利用にはインターネットに接続できる環境が必要とされています。額面は大きいものの、マンションを調べる予定がなければ使い道はありません。配当は出ていないため、この銘柄で現金として受け取れるものはありません。

【4位】アトラグループ(6029)25.95%

18,500円で年4,800円分/配当は0円
スタンダード/サービス業 権利確定:12月 自社オリジナル商品(ヘルスケア)

アトラグループはサービス業の企業で、優待はホットマッサージジェル「ほねつぎHOT」1箱(4,800円[税込]相当)です。権利確定は12月末で、贈呈は翌年3月頃とされています。

今回の10社のなかで、現物が届くのはこの1社だけです。クーポンやポイントと違って使い方を考える必要がありませんが、毎年同じ商品が届くことになります。

金額が「4,800円[税込]相当」と明記されているため利回りは計算できます。ただし自分で買う予定のない商品なら、額面どおりの価値にはなりません。現物の優待はここが判断の分かれ目です。

【5位】KOZOホールディングス(9973)25.00%

2,000円で年500円分/配当は0円
スタンダード/小売業 権利確定:12月 優待券(アプリ)

KOZOホールディングスは「小僧寿し」を展開する企業です。優待は500円相当の優待券で、「小僧寿しアプリ」を介して提供されます。権利確定は12月末、贈呈は毎年3月中旬です。

株価は20円で、100株なら2,000円です。今回の10社で最も少ない投資額になります。額面500円は10社で最も小さいのですが、投資額が小さいため利回りは25%になります。

使えるのはグループ各店舗(店舗限定)とECサイトです。アプリの利用が前提になります。1,000株なら1,000円相当、10,000株なら2,000円相当と株数で段階がありますが、投資額あたりで最も有利なのは100株です。

【6位】ファンデリー(3137)24.27%

20,600円で年5,000円分/配当は0円
スタンダード/小売業 権利確定:3月 食事クーポン

ファンデリーの優待は5,000円相当の食事クーポンです。国産ハイブランド冷食『旬をすぐに』で利用できます。権利確定は3月末で、6月発送の定時株主総会招集通知に同封されます。

500株で8,000円相当、1,000株で12,000円相当と株数によって増えますが、投資額あたりの利回りが最も高いのは100株です。500株にすると投資額が5倍になるのに額面は1.6倍にしかならないためです。

優待の株数区分は、多く買うほど有利になるとは限りません。100株で区切ったときに最も利回りが高くなる設計の企業が多く、この銘柄もその形です。

【7位】エム・エイチ・グループ(9439)15.22%

23,000円で年3,500円分/配当は0円
スタンダード/サービス業 権利確定:6月 「MHG-WEBSTORE」オンラインストアで利用可能な優待券

エム・エイチ・グループはサービス業の企業で、優待は「MHG-WEBSTORE」オンラインストアで使える優待券です。3年未満の保有で3,500円相当が1枚、3年以上で4,500円相当に増えます。権利確定は6月末です。

この企業は2025年6月27日に配当を支払っていますが、そのあとの12か月には支払いがありません。無配は固定された状態ではなく、出ていたものが止まることもあります。

300株なら3,500円相当が2枚、500株なら3枚と、株数に応じて枚数が増える形です。使えるのは自社のオンラインストアだけなので、そこで買うものがあるかどうかで価値が変わります。

【8位】山喜(3598)11.98%

16,700円で年2,000円分(1回1,000円分 × 年2回)/配当は0円
スタンダード/繊維製品 権利確定:3月、9月 自社直営店 買物優待券

山喜はワイシャツを手がける企業で、優待は自社直営店で使える買物優待券です。3月末と9月末に1回1,000円相当ずつ、年間2,000円相当になります。

この企業も2025年3月28日に配当を支払っていますが、そのあとの12か月には支払いがありません。今回の10社のうち2社が、この「止まった」形です。

内容欄には「1,000円相当(年間 2,000円相当)」と書かれています。ワイシャツを定期的に買い替える人であれば、額面どおりに使い切りやすい優待です。

【9位】メディア工房(3815)9.32%

42,900円で年4,000円分(1回2,000円分 × 年2回)/配当は0円
グロース/情報・通信業 権利確定:2月、8月 デジタルギフト

メディア工房の優待はデジタルギフトです。1年未満の保有で1回2,000円相当、2月末と8月末の年2回で年間4,000円相当になります。1年以上保有すると1回2,500円相当に増えます。

今回の10社のなかでは、交換先を自分で選べる唯一の優待です。自社の商品やサービスに縛られないため、額面をそのまま使い切りやすい形になっています。

受け取りには手続きが必要です。「株主優待のご案内」に沿ってWeb上で品目を選ぶ方式で、選択期間を過ぎると受取手続きができなくなります。また継続保有の判定に使われるのは8月31日の名簿だけです。

【10位】CaSy(9215)8.04%

99,500円で年8,000円分/配当は0円
グロース/サービス業 権利確定:11月 自社サービス優待ギフト券

CaSyは家事代行とハウスクリーニングのサービスを手がける企業です。優待はCaSyギフト券8,000円相当で、権利確定は11月末、有効期限は翌年2月末までとされています。

利用後の残高は次回以降のサービスに充当できます。またサービスの地域対象外の場合はギフトとして贈ることもできると明記されています。使えない人への逃げ道が用意されているのは珍しい形です。

投資額99,500円は今回の10社で最大です。家事代行を実際に使う予定があるかどうかで、額面8,000円の価値が大きく変わります。有効期限が翌年2月末までと短めな点にも注意してください。

優待利回りが高い銘柄ほど、配当が出ていない

ここからがこの記事の本題です。優待利回りの高さと、配当が出ていないことには、はっきりした関係があります。

金額が明記されている560社を、優待利回りの帯で分けて、それぞれの無配の割合を出しました。

優待利回り 社数 うち無配 無配の割合 分布
0〜1% 294社 9社 3%
1〜3% 169社 17社 10% ■■
3〜5% 34社 11社 32% ■■■■■■
5〜10% 34社 13社 38% ■■■■■■■■
10%以上 29社 22社 76% ■■■■■■■■■■■■■■■

利回り0〜1%では無配が3%なのに、10%以上では76%です。優待利回りが上がるほど、配当が出ていない企業の割合が増えていきます。

理由は計算式にあります。実質利回りは「年間の額面 ÷ 投資額」で出すので、優待の金額が同じでも、株価が下がれば利回りは上がります。そして株価が下がっている企業は、配当も出しにくい状況にあることが多くなります。

つまり高い優待利回りは、優待が手厚いことの証明ではなく、株価が安いことの結果として出ている場合が多いということです。配当と合わせた優待利回りの見方は、ここを踏まえておく必要があります。

グロース市場は半数が無配

同じことを市場区分で見ると、さらにはっきりします。1,119社を市場別に分けました。

市場区分 優待を出している社数 うち無配 無配の割合 分布
プライム 534社 13社 2%
スタンダード 467社 59社 13% ■■■
グロース 118社 61社 52% ■■■■■■■■■■■■■

グロース市場では52%、つまり半数以上が無配でした。プライム市場は2%です。グロース市場は成長途上の企業が集まる市場で、利益を配当に回すより事業への投資を優先する企業が多くなります。

ただしそれだけではありません。配当を出せるだけの利益が出ていない企業も含まれます。どちらなのかは市場区分では判断できないため、その企業が利益を出しているのか、出した利益をどう使っているのかを個別に見る必要があります。目安になる指標は配当性向とは?で解説しています。

投資額が少ない銘柄ほど無配が多い

投資額の帯でも同じ関係が出ます。

投資額(100株) 社数 うち無配 無配の割合 分布
3万円以下 32社 25社 78% ■■■■■■■■■■■■■■■■
3万円超〜10万円 139社 32社 23% ■■■■■
10万円超〜30万円 262社 13社 5%
30万円超 127社 2社 2%

3万円以下で買える32社のうち78%が無配でした。30万円超の127社では2%です。

少ない資金で買える優待株を探すと、結果として無配の銘柄に集まります。これは偶然ではなく、株価が下がったから投資額が小さくなっている銘柄が多いためです。「安く買える優待株」と「株価が下がっている優待株」は、多くの場合で同じものを指しています。

配当がある優待株と並べて比べる

無配の優待株と、配当が出ている優待株を、同じ条件で並べました。金額が明記されている560社の内訳です。

項目 無配 配当あり
社数 72社 488社
優待利回り(中央値) 4.50% 0.82%
配当利回り(中央値) 0.00% 2.41%
総合利回り(中央値) 4.50% 3.52%
投資額(中央値) 53,200円 198,500円
優待の額面(中央値) 3,000円 1,500円

総合利回りで比べても、無配のほうが高く出ます。4.50%と3.52%です。ただし中身がまったく違います。

投資額の中央値は無配が53,200円、配当ありが198,500円で、およそ3.7倍の差があります。優待の額面は無配のほうが大きいのに投資額は小さい。これが利回りの差を作っています。

もうひとつ決定的な違いがあります。配当は現金で受け取れますが、優待は現金ではありません。配当ありの2.41%は、そのまま口座に入る金額です。無配の4.50%は、その優待を使い切れた場合にだけ額面どおりの価値になります。

出ていた配当が止まった12社がある

無配は固定された状態ではありません。今回の133社のうち12社は、2年前には配当を支払っていたのに直近12か月は支払いがありませんでした。

市場区分 配当が止まった社数
プライム 2社
スタンダード 7社
グロース 3社

プライム市場の企業も2社含まれています。市場区分は、配当が続くことの保証にはなりません。

この記事の7位エム・エイチ・グループ(9439)と8位山喜(3598)も、この12社に入っています。どちらも2025年には配当を支払っていました。買ったときに配当があったからといって、翌年もあるとは限りません。

逆に、いま無配の企業が配当を始めることもあります。この記事の133社は「いまの実績」で分けたものであって、将来の方針を示すものではありません。

多いのは小売業・情報通信業・サービス業

無配で金額が明記されている72社を業種で分けました。

業種 社数 分布
小売業 23社 ■■■■■■■■■■■■■■
情報・通信業 18社 ■■■■■■■■■■■
サービス業 17社 ■■■■■■■■■■
卸売業 2社
化学 2社
その他金融業 2社
輸送用機器 1社
繊維製品 1社
ガラス・土石製品 1社
食料品 1社
建設業 1社
不動産業 1社
鉄鋼 1社
電気・ガス業 1社

上位3業種で58社、全体の約81%を占めます。いずれも消費者に直接ものを売る、またはサービスを提供する業種です。

理由ははっきりしています。自社の商品やサービスを優待にできる業種だからです。現金の配当と違い、自社の商品を配るなら企業の負担は原価ぶんで済みます。配当を出す余裕がない企業でも優待なら出せる、という構図がここに現れています。

これは株主にとって不利とは限りません。その商品やサービスを実際に使う人なら、額面どおりの価値を受け取れます。使わない人にとってだけ、価値がゼロに近くなります。

ほかの条件で株主優待を探す

この記事で扱ったのは、直近12か月の配当が0円だった72社から選んだ10社です。配当の有無ではなく、優待の種類や投資額から探したい場合は、検索ページで絞り込めます。

条件で絞り込む

100株で買える株主優待の検索ページ
優待の種類・投資額・権利確定月・業種で絞り込めます。
投資額の上限を決めてから種類を選ぶと、買える範囲だけが残ります。

優待の種類ごとにまとめた記事もあります。クオカード優待株10選高利回りの株主優待30選配当ももらえる株主優待10選のほか、投資額を10万円以下に限定したい場合は投資金額10万円以下の株主優待もあります。

自分の条件で総合利回りを計算する

株価は毎日動くので、この一覧の利回りも日々変わります。いま検討している銘柄の数字を入れて計算できるツールを置いておきます。配当も合わせた総合利回りが出ます。

株主優待の総合利回り計算ツール

株価と優待額を入れると、優待利回り・配当利回り・その合計を同時に計算します。数値を変えるとその場で計算し直します。





投資額 20,600円
年間の優待額 5,000円
年間の配当額(税引前) 0円
優待利回り 24.27%
配当利回り 0.00%
総合利回り 24.27%

優待と配当を合わせた総合利回りが3%を超えると、高めの水準にあたります。

※ 優待利回り=年間の優待額÷投資額×100 / 配当利回り=1株あたり配当×株数÷投資額×100
※ 配当は税引前です。実際には約20.315%が源泉徴収されます。優待の金額換算は自分にとっての価値で見積もってください。

初期値には6位のファンデリー(3137)の株価と額面、配当は0円を入れてあります。比べたい有配の銘柄の配当を入れ直すと、現金で受け取れる部分がどれだけ違うかが見えます。優待の額面は、自分が実際に使い切れる金額に直して入れてください。

無配の優待株で失敗する4つの理由

ここまで実質利回りで並べてきましたが、この数字だけで銘柄を選ぶと外します。理由は4つあります。

理由① 無配は「配当を出さない方針」とは限らない

配当を出していない理由は企業によって違います。成長のための投資に回している場合もあれば、配当に回せる利益が出ていない場合もあります。前者と後者では、株を持ち続けたときの結果がまったく変わります。

市場区分だけでは判断できません。グロース市場の52%が無配ですが、その全部が成長投資を優先しているわけではありません。売上と利益が伸びているか、増資を繰り返していないかを、決算で確認してください。

理由② 実質利回りは株価が下がると自動的に上がる

実質利回りは「年間の額面 ÷ 投資額」で計算します。優待の金額は固定なので、株価が下がるほど利回りは自動的に上がります。

株価 投資額(100株) 年2,000円の優待の利回り
500円 50,000円 4.00%
200円 20,000円 10.00%
87円 8,700円 22.99%
41円 4,100円 48.78%

この記事の1位と2位の株価は、実際に87円と41円です。優待の内容は何も変わっていないのに、株価が下がるだけで利回りは何倍にもなります。優待をもらうために、株価の下落でそれ以上を失っては意味がありません。

理由③ 優待は現金ではない

配当と優待の最も大きな違いは、現金かどうかです。配当は口座に振り込まれますが、優待は自分で使わないと価値になりません。

観点 配当 株主優待
受け取り方 口座に振り込まれる 商品券・クーポン・現物が届く
使い道 自由 発行元の店やサービスに限られることが多い
使わなかった場合 残る 有効期限が切れてゼロになる
手続き 不要(自動で入金) 受取手続きや品目の選択が必要なことがある
金額の確実性 1株あたりの金額が決まっている 「◯円相当」であって、実際にその価値になるとは限らない

無配の銘柄では、この違いがそのまま効いてきます。配当がない以上、その企業から受け取れるのは優待だけです。その優待を使い切れなければ、受け取ったものは実質的にゼロになります。

今回の10社を見ても、使い道が自社の商品やサービスに限られるものが大半でした。買う前に「自分は1年でこれを使い切るか」を先に決めてください。

理由④ 優待は企業の判断でいつでも廃止できる

株主優待は法律で義務づけられた制度ではありません。企業が「やめます」と発表すればその時点で終わります。

極端な例もあります。REVOLUTION(8894)は2024年10月に優待の新設を発表しましたが、2025年3月11日に廃止を開示し、一度も実施されないまま終わりました。

配当が止まることがあるように、優待も止まります。この記事の12社は配当が止まった例ですが、同じことが優待にも起こりえます。無配の銘柄で優待まで廃止されると、その企業から受け取れるものは何も残りません。

無配の株主優待に関するよくある質問

無配とはどういう意味ですか。
企業が株主に配当を支払っていない状態のことです。配当は企業が利益の一部を株主に現金で分配するものですが、法律で義務づけられたものではありません。株主優待を出している1,119社を調べたところ、直近12か月に配当の支払いがなかったのは133社(約12%)でした。
配当を出していないのに、なぜ優待は出すのですか。
理由は企業によって違いますが、大きく3つに整理できます。①配当に回せる利益が出ていない、②利益を成長のための投資に回している、③自社の商品やサービスなら現金より少ない負担で株主に渡せる、という形です。③は企業にとって都合がよい一方、株主にとっては現金より使い道が狭くなります。
この記事の「無配」はどうやって調べたのですか。
直近12か月に実際に支払われた配当の合計が0円だった企業を無配として扱っています。企業が発表している予想配当は含んでいません。そのため、今期から配当を始めると発表している企業がこの中に含まれている可能性があります。購入前に必ず各社のIR情報で最新の配当予想を確認してください。
優待利回りが高い銘柄ほど無配が多いのはなぜですか。
実質利回りは「年間の額面 ÷ 投資額」で計算するため、株価が下がるほど自動的に上がるからです。株価が下がっている企業は業績が振るわないことが多く、配当も出しにくくなります。実際に利回り0〜1%の294社では無配が3%なのに対し、10%以上の29社では76%でした。
無配の優待株は買わないほうがよいですか。
無配というだけで避ける必要はありませんが、優待の額面だけで判断しないでください。配当がない分、その企業から受け取れるのは優待だけになります。その優待を自分が実際に使い切れるかどうかが、そのまま損得になります。使わない優待は、金額換算するとゼロです。
無配だった企業が配当を出すことはありますか。
あります。逆に、出していた配当が止まることもあります。今回の133社のうち12社は、2年前には配当を支払っていたのに直近12か月は支払いがありません。うち2社はプライム市場の企業でした。配当は固定された条件ではありません。
無配の優待株は投資額が少なくて済みますか。
結果としてそうなっています。今回の72社の投資額は中央値で53,200円、配当が出ている488社は198,500円でした。ただしこれは「安く買える」ではなく「株価が下がっている」ことの裏返しでもあります。
優待は課税の対象になりますか。
株主優待は税務上、原則として雑所得として扱われます。給与所得者の場合、給与以外の所得の合計が年20万円以下であれば確定申告が不要という基準があるため、結果として申告不要になっている人が多いのが実態です。配当とは課税の仕組みが異なる点にも注意してください。

まとめ

配当の実績が確認できた1,119社のうち、直近12か月に配当の支払いがなかったのは133社でした。そのうち金額が明記され、買った年から受け取れるのは72社です。ただし高い優待利回りは、優待が手厚いことの証明ではありません。

この記事のポイント

・優待を出している1,119社のうち133社が直近12か月は無配(金額が明記されているのは72社)
優待利回り0〜1%は無配3%、10%以上は無配76%
グロース市場は52%が無配(プライムは2%)
投資額3万円以下は78%が無配。安く買えるのは株価が下がった結果
・1位はフィスコの151.72%。ただし株価が87円まで下がった結果
・配当は現金だが、優待は使い切れなければゼロ
・出ていた配当が止まった企業が12社(うちプライム2社)
利回りが高い銘柄が、良い銘柄とは限らない

無配だからという理由だけで避ける必要はありません。その優待を自分が使い切れるなら、額面どおりの価値を受け取れます。逆に使わないなら、配当がないぶん受け取れるものは何も残りません。利回りの数字ではなく、届くものを自分が使うかどうかで判断してください。

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