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提携とは
提携(読み方:ていけい)
株式用語としての提携とは、企業の提携することを意味しており、一般に「業務提携」「資本提携」「資本業務提携」いずれかを指しています。
・業務提携
・資本提携
・資本業務提携
いずれの場合も企業の開示情報にて公表されるものとなっています。
▼提携の開示例
業務提携:メルカリ|株式会社NTTドコモとの業務提携に関するお知らせ
資本提携:ジンズホールディングス|日本環境設計株式会社との資本提携に関するお知らせ
資本業務提携:アスカネット|AWL株式会社との資本業務提携に関するお知らせ
また、各提携契約の締結だけでなく、提携が解消される場合においても公表されます。
▼資本業務提携契約を締結後、資本提携のみ解消・業務提携は継続となるケース例
共同ピーアール|株式会社ネタもととの資本提携の解消及び業務提携継続に関するお知らせ
※上記開示情報における株価・チャート情報等はそれぞれ公表時のものとなります
fa-arrow-circle-right業務・資本提携を英語で
Business Alliance(業務提携)
Capital Alliance(資本提携を含む業務提携=資本業務提携)
提携メモ
┗「業務提携」「資本提携」「資本業務提携」各契約締結または解消を意味するもの
次の項目より、業務提携・資本提携・資本業務提携とはどのような提携なのかをそれぞれわかりやすく解説していきます。
業務提携とは
業務提携(ぎょうむていけい)とは、簡単にいうと独立した企業同士が提携契約によって決まった業務について協同業務を行うことを意味しています。
企業同士が協同し合い、スキームやノウハウの導入することにより互いの業務における効率化および付加価値を高める意味合いで、2社間だけではなく3社以上による提携もあります。
業務提携は企業同士の相乗効果(シナジー効果)を目的とした提携で、業務提携を指して「アライアンス」とも呼ばれています。
業務提携の表現に関しては「タイアップ」「コラボ(コラボレーション)とも言われますが、ニュアンスとしては以下のように解釈されています。
タイアップ < コラボ(コラボレーション)< 業務提携(アライアンス)
一般的には「業務提携契約書」をもって、業務提携契約が締結されます。
業務提携の種類
業務提携の種類をまとめると以下表のようになります。
生産提携 | 【生産提携とは】 生産の一部・製造工程の一部をパートナーとなる企業に対して委託する形の業務提携。 |
例)A社とB社が生産提携の場合 A社:設備投資および人員確保せずに生産量を増やすことができる B社:工場の稼働率を引き上げることができる |
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販売提携 |
【販売提携とは】 自社製品やサービスの販売・営業をパートナーとなる企業に委託する形の業務提携。 |
例)製品を持つA社と販路を持つB社が販売提携の場合 A社:製品を販売力が上がることによって収益化を図る B社:販路を活用し収益化を図る |
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技術提携 | 【技術提携とは】 主に技術面で技術開発・技術供与によって互いに協力する業務提携。 スキームやノウハウだけでなく機械等の特許権など具体的な技術開発における相互協力関係のこと。 |
例)A社とB社が技術提携の場合 A社:特許をB社へ供与し、ロイヤリティや業界内地位の確立 B社:A社から供与した技術を活用し生産活動 |
業務提携のメリット・デメリット
業務提携におけるメリットとしては、開発力の向上・リスク分散・技術面において複合化への対応等が挙げられます。
少し極端な例ですが、世に出せばヒットがほぼ間違いないであろう商品を開発するA社、多彩な販売ルート・販路を確保しているB社が業務提携関係となれば、端的にメリットが見込まれるというわけです。
デメリットとして考えられるのは、大きくいうと自社ブランドの毀損にあたる点が挙げられるかと思います。例えば、技術やノウハウ・顧客情報の漏洩や知的財産権の侵害等です。
業務提携と事業提携の違い
業務提携と似たもので、「事業提携」が挙げられます。
業務提携:特定事業において、特定の業務に関してのみ複数の企業が協力関係を締結
事業提携:特定の事業全般に対して複数の企業が協力関係を締結
企業同士が協力関係を結ぶという意味では共通していますが、『一部か全般か』に違いがあります。
提携メモ
・業務提携のメリットは主に開発力向上、リスク分散、技術の複合化対応等
・業務提携のデメリットは主にノウハウや顧客情報の漏洩、知的財産権の侵害等
・業務提携と「事業提携」の違いは『特定事業における一部か全般か』
資本提携とは
資本提携(しほんていけい)とは、提携する相手企業の株式を取得することによって資金提供する形の提携です。
「株式を取得する」というのは、株式譲渡によって発行済株式数を取得する方法と、第三者割当増資を用いて新株取得の手法があります。
資本提携のメリット・デメリット
一般的に資本提携は資本提携契約における企業の公表によって双方の株価が上昇する可能性が高くなると言われています。この点はメリットに挙げられるかと思います。
デメリットとしては、資本を持ち合うことによって経営の自由度が下がる場合があることです。
また、業務提携のように経営が独立していることに対して、一般に資本提携は関係がより強く、簡単に提携解除しにくくなると言われています。
提携メモ
・資本提携のメリットは双方の株価が上昇する可能性が高くなる
・資本提携のデメリットは、資本を持ち合うことによる経営の自由度低下
資本業務提携とは
資本業務提携(しほんぎょうむていけい)とは、業務提携に伴って資金注入することによって企業間の関係をより強固にするための提携です。
わかりやすくいうと、文字通り資本提携と業務提携を合わせたのが資本業務提携ということです。
資本提携・業務提携を行う際、協力関係・内容をより明確なものとするために資本業務提携を締結するというのは一般的なものです。
字体が似ていることから業務提携と混同されることもあるようですが、資本業務提携は業務提携において『資本の参加も伴う業務提携』である場合は資本業務提携ということになります。
資本業務提携のメリット・デメリット
資本業務提携のメリットについては前述した資本提携・業務提携それぞれのメリットを挙げられますが、シナジー効果が大きなメリットだと言えます。
相乗効果を意味するシナジー効果は販売チャネルやブランド力による売上シナジー、物流コストの削減や生産拠点見直し(店舗であれば新たな地域へ出店または既存店舗閉鎖)によるコストエナジー等が挙げられます。
資本提携のメリットで触れましたが、資本業務提携においてもシナジー効果が高い=株価が上昇する可能性が高くなるということです。
資本提携+業務提携=より強固な企業関係が構築される一方で、企業同士に利益が生じた際、利益配分に関して揉めてしまう可能性があるという点は主なデメリットとして挙げられます。
資本業務提携関係で協力関係にあるはずなのに、いざ利益が発生するとその配分で揉めてしまう危険性があるということです。
利益配分でトラブルとならないようにするためには契約の際、資本業務提携契約書に『利益配分に関する事項』といった形で何らか明記しておくことが回避策のひとつだと言われています。
他に、資本業務提携のデメリットとしては、提携関係を解消することが困難であること挙げられます。
提携メモ
・資本業務提携の主なメリットは売上面・コスト面などによるシナジー効果+株価の上昇
・資本業務提携の主なデメリットは利益配分のトラブルや提携解消することが容易ではない点
提携による株価への影響
例えば、上場企業が業務資本提携を実施する場合に『どのように株価へ影響があるのか』、投資家は敏感になっておきたいポイントだと言えます。
上場企業同士が業務資本提携を行う場合、基本的に株価は上昇すると言われています。
投資家が上場企業同士の業務資本提携を好材料として捉える ↓ 興味と期待値から提携企業の株を買う投資家が増える ↓ 買い注文が増え、株価が上昇 |
株価が上昇する流れが明快であることから、『上場企業同士が資本業務提携を行うと株価は上昇する』と言われているのだと考えられます。
ただ、投資家の中には資本業務提携を快く思わない方もいます。
その場合は好材料ではなくマイナス要因として捉えられてしまうことにはなりますが、資本業務提携のメリットでも挙げたようにシナジー効果のメリット等を加味すると、基本的には好材料だと判断されるほうが多いようです。