上場廃止とは何か?わかりやすく解説

上場廃止とは

上場廃止(読み方:じょうじょうはいし)

 

上場廃止とは、簡単にいうと証券取引所が上場している株式に対し、適格でないと判断した場合に取引対象から外すことをいいます。

例えば企業の経営危機・不祥事が原因の場合や、上場している企業自ら廃止を希望する場合(ゴーイングプライベート)もあります。
上場廃止基準については後述しますが、上場廃止の事実を株主等に知らせるために一定期間、「監理銘柄」 ⇒ 「整理銘柄」として割り当てられます。

整理銘柄・監理銘柄についてはどちらも売買は行われます。
整理銘柄は一定期間、整理銘柄は猶予期間(原則として1ヶ月)を経て上場廃止となりますが、その期間内は整理銘柄として売買が可能です。

上場廃止における基本的な流れとして、

・上場廃止基準に該当するおそれがある場合
・発行者が上場廃止を申請した場合

証券取引所は審査を行います。

審査中の銘柄は「監理銘柄」として指定され、審査の結果、上場廃止と決定した場合に「整理銘柄」に指定される流れとなっています。

≪参考≫

出典:JPX【上場廃止基準】

 

上場廃止メモ

・上場廃止とは、株式を非公開化するもの
・上場廃止となるまでには証券取引所は審査を行う
審査中は「監理銘柄」として割り当てられる
上場廃止と決定した場合には監理銘柄から「整理銘柄」となる
・監理銘柄も整理銘柄も売買は可能

 

上場廃止基準

上場廃止基準として定められている項目は数多くありますが、JPX(日本取引所グループ)の上場廃止基準を参考に一部を引用抜粋してまとめると以下のような基準となっています。

東証一部・二部の上場廃止基準

▼株主数
400人未満(猶予期間1年)
▼流通株式数
2,000単位未満(猶予期間1年)
▼流通株式時価総額
5億円未満(猶予期間1年)
▼流通株式比率
5%未満(所定の書面を提出する場合を除く・猶予期間なし)
▼時価総額
10億円未満である場合において、9か月以内に10億円以上とならないとき(所定の書面を3か月以内に提出しない場合は3か月)または叙情株式数に2を乗じて得た数値未満である場合において、3か月以内に当該数値以上とならないとき
▼売買高
最近1年間の月平均売買高が10単位未満または3か月間売買不成立
▼上場契約違反等
上場会社が上場契約に関する重大な違反を行った場合、新規上場申請等に係る宣誓事項について重大な違反を行った場合又は上場契約の当事者でなくなることとなった場合

他にも有価証券報告書等の虚偽記載・銀行取引の停止や破産手続き・事業活動の停止や不適当な合併・反社会的勢力の関与等も上場廃止基準項目として含まれています。

マザーズ・JASDAQにおいても、簡潔に引用抜粋します。

マザーズ上場廃止基準

▼株主数
400人未満(上場後10年間は150人未満・猶予期間1年)
▼流通株式数
2,000単位未満(上場後10年間は1,000単位未満・猶予期間1年)
▼流通株式時価総額
5億円未満(上場後10年間は2.5億円未満・猶予期間1年)
▼流通株式比率
5%未満(所定の書面を提出する場合を除く・猶予期間なし)

JASDAQ上場廃止基準

▼株主数
150人未満(猶予期間1年)
▼流通株式数
500単位未満(猶予期間1年)
▼流通株式時価総額
2.5億円未満(猶予期間1年)
▼株価
株価が10円未満となった場合において、3か月以内に10円以上とならないとき

新型コロナウイルス感染拡大による上場廃止基準緩和

2020年3月18日、東京証券取引所は新型コロナウイルス感染拡大の影響による上場廃止基準を緩和する措置を発表しています。

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要約すると通常、債務超過を1年間で解消できない場合に上場廃止となるところを、新型コロナウイルスが原因となる債務超過については2年間の猶予を与えるというものです。

 

上場廃止メモ

・上場廃止基準の簡易まとめ
┗株主数、流通株式数が基準を下回る
┗時価総額、売買高が基準を下回る
┗倒産等の経営破綻
┗書面等の虚偽

 

上場廃止のメリット・デメリット

上場廃止の主なメリット・デメリットについて、それぞれわかりやすく箇条書きでまとめると以下のように考えられます。

メリット

上場維持のためのコスト削減
各種規制(情報開示など)からの開放
運営(経営)の円滑化
買収対策

など。

デメリット

資金調達手段が限られる
社会的信用力低下

など。

基本的には上場廃止というとネガティブなイメージがありますが、中には上場企業自ら株式の非公開化を希望するケースもあります。
これをゴーイングプライベート(株式非公開化)といい、簡単にいうと上場企業が積極的に上場廃止を希望する・選ぶことです。

ゴーイングプライベートは発行済株式を大量に自社株買いして金庫株にしたり、ペーパーカンパニーによるTOB(株式公開買い付け)等を行い、上場廃止申請を狙うものです。
経営難の上場企業を買収後に経営再建を狙う場合や、上場廃止したほうがメリットの恩恵がある場合等に実施されます。

また、上記メリットにも書いたように買収のターゲットとなりにくくなります。
過去には吉本興業、すかいらーく等がゴーイングプライベートを実施しています。

 

上場廃止になった株はどうなる?

冒頭でも触れましたが、上場廃止が決まった銘柄は、上場廃止の事実を株主等に知らせるために整理銘柄に指定され、猶予期間(原則として1ヶ月)を経て上場廃止となります。

もしも上場廃止になったとしても

・議決権
・利益配当請求権
・残金財産分配請求権

などの株主としての権利を失うことはありません。

ただ上場廃止になると、その銘柄(企業)には価値がないと投資家が判断し、一斉売出しによって株価の暴落が考えられます。(企業が減資をする場合は暴落しないケースも)

逆に上場廃止によって株価が上昇するケースもあります。(主にMBOや完全子会社化の場合)

MBOとは?
Management Buyout(マネジメント・バイアウト)の略称。
日本語では「経営陣買収」に当たるもので、M&Aの一種。
完全子会社化とは
株式所有比率100%未満の子会社や資本関係のない他企業を買収企業株式と被買収企業株式の交換によって100%子会社にすること
上場廃止となった銘柄は、既存の株主や一部のデイトレーダーからすると投機性が強い・利益になるとして見られ、取引(売買)が行われたりもしています。

 

上場廃止メモ

・上場廃止となっても株主の権利(議決権等)は残る
・上場廃止になった株は、株価暴落または上昇するケースが見られる
・既存株主や一部デイトレーダー等により上場廃止銘柄を狙って取引が行われる

 

上場廃止銘柄一覧(2020年5月30日時点)

直近での上場廃止銘柄をいくつかピックアップしました。

銘柄名(コード) 上場廃止日 市場区分
日立ハイテク(8036) 2020年5月18日 東証第一部
ヤマハモーターロボティクスホールディングス(6274) 2020年5月25日 東証第一部
ツヴァイ(2417) 2020年6月1日 東証第二部
豆蔵ホールディングス(3756) 2020年6月2日 東証第一部
オーデリック(6889) 2020年6月5日 JASDAQスタンダード
大都魚類(8044) 2020年6月18日 東証第二部
レナウン(3606) 2020年6月16日 東証第一部

上場廃止銘柄に関して、JPXのサイト上で『上場廃止銘柄一覧』をチェックすることができます。

同一覧では

・上場廃止日
・銘柄名
・コード
・市場区分
・上場廃止理由

を閲覧することができます。

また、同サイトでは整理銘柄・監理銘柄においても閲覧することができ、

・監理銘柄(確認中)
・監理銘柄(審査中)
・整理銘柄
・監理銘柄(確認中)に係る経過情報

上記が『監理・整理銘柄一覧』として掲載されていますので、気になる方はチェックしてみると良いでしょう。

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