高配当株の選び方|配当利回りランキングの罠

高配当株とは、株価に対して受け取れる配当金の割合(配当利回り)が高い銘柄のことです。一般に3%を超えると高配当と呼ばれます。

ただし、この記事で最初に伝えたいことがあります。配当利回りランキングの上位には、買ってはいけない銘柄が必ず混ざっています。利回りは株価が下がるだけで上がるからです。

この記事は、ランキングを見て終わりにせず、自分で持続性を判断できるようになることを目的にしています。数字は時間とともに変わりますが、判断の手順は変わりません。

この記事でわかること

・配当利回りの計算と、何%から高配当なのか
・利回りランキング上位に潜む3つの罠
・配当性向で「続くかどうか」を測る
・DOEと累進配当という新しい判断軸
・減配を事前に見抜くチェックリスト
・権利確定日と配当落ちの実務
・NISAで配当を非課税にする設定(見落とし注意)
・自分でスクリーニングする手順

高配当株とは?何%からが高配当か

配当利回り(読み方:はいとうりまわり)

配当利回りの計算式
1株あたり年間配当金 ÷ 株価 × 100

例:株価2,000円 / 年間配当80円 → 80 ÷ 2,000 × 100 = 4.0%
※ 株価は日々動くので、利回りも毎日変わります

「高配当」に明確な定義はありませんが、目安は次のとおりです。

配当利回り 位置づけ 確認すべきこと
1〜2%台 平均的〜低め 成長投資に回している可能性。悪いことではない
3〜4%台 高配当と呼ばれる水準 配当性向が適正か
5〜6%台 かなり高い なぜこの水準なのかを必ず調べる
7%以上 異常値 特別配当か、減配が織り込まれている可能性が高い

数字を確認する場所は、企業のIRページ、決算短信、証券会社の銘柄詳細ページです。「予想配当利回り」は会社が出した配当予想がもとになっており、業績修正で変わります。

利回りは株価が下がるだけで上がる

ここが最大の落とし穴です。式をもう一度見てください。

良い理由で利回りが上がる
株価 2,000円のまま
配当 80円 → 100円に増配

利回り 4.0% → 5.0%

悪い理由で利回りが上がる
配当 80円のまま
株価 2,000円 → 1,600円に下落

利回り 4.0% → 5.0%

利回りの数字だけを見ると、この2つは区別がつきません。ランキングは利回りの高い順に並べるので、株価が急落した銘柄ほど上位に来やすいという構造になっています。

そして株価が下がっているということは、市場が「この配当は続かない」と判断している可能性があるということです。この見立てが当たれば、減配と株価下落を同時に受けることになります。

ランキング上位に潜む3つの罠

1

記念配当・特別配当が含まれている
来年は消える配当

創立◯周年、資産売却益、一時的な特益などを原資にした配当です。翌期には普通配当だけに戻るため、利回りは大きく下がります。決算短信の配当の内訳(普通配当・記念配当・特別配当)を必ず見てください。

2

業績悪化がすでに始まっている
株価だけが先に反応している

市場は決算より早く動きます。株価が下がって利回りが上がっている銘柄は、次の決算で減配が発表される可能性を織り込んでいることがあります。

3

利益を超えて配当している(タコ足配当)
配当性向100%超

利益で賄えず、過去の内部留保を取り崩して配当している状態です。続けられる年数には限りがあります。

🔴 古いランキング記事に注意

配当利回りのランキングは数か月で内容が変わります。更新日が数年前のランキング記事は、掲載されている利回りも銘柄も現状と一致しません。
なかには合併や社名変更で既に存在しない銘柄が載っていることもあります。

ランキングを見るときは、必ず更新日と、証券会社・取引所の一次情報でのつき合わせを行ってください。

配当性向で持続性を測る

利回りの高さではなく、その配当が来年も出せるかを見る指標が配当性向です。

配当性向の計算式
配当金総額 ÷ 当期純利益 × 100

1株ベースなら「1株配当 ÷ EPS × 100」でも計算できます。

配当性向 意味 減配リスク
20%未満 余裕は大きいが還元に消極的な可能性 低い
30〜40% 一般的な目安。増配余地も残っている 低い
50〜70% 還元に積極的。利益が減ると余裕がなくなる 中程度
80%超 利益のほとんどを配当に回している 高い
100%超 利益を超えた配当(タコ足配当) 非常に高い

「利回り5%・配当性向30%」と「利回り5%・配当性向95%」は、まったく別の銘柄です。前者は増配余地がありますが、後者は次の減配候補です。

詳しくは配当性向の記事でも扱っています。

DOEと累進配当(減配しにくい会社の見分け方)

近年、配当の基準を「利益」から別の指標に切り替える企業が増えています。これが減配リスクの判断に直結します。

配当方針 基準 業績が落ちたとき
配当性向◯% その期の純利益 利益が減れば配当も減る(連動する)
DOE(株主資本配当率) 株主資本(積み上がった資本) 株主資本は急に減らないので配当は安定しやすい
累進配当 前期の配当額 減配しない(維持か増配)と宣言している
安定配当 一定額 維持を目指すが、明確な約束ではないことが多い
DOEの計算式
配当金総額 ÷ 株主資本 × 100

「DOE 3%以上を目安とする」といった形で方針が示されます。
利益が一時的に赤字になっても、株主資本が残っていれば配当を続けられるのがDOEの性質です。

探し方:企業のIRサイトの「株主還元方針」「配当方針」のページ、または決算説明資料を見てください。累進配当を掲げる企業は「減配は行わない」と明記しています。これは強い意思表示です。

ただし方針は変更されることがあります。方針そのものが撤回・見直しされる可能性はゼロではありません。

減配を事前に見抜くチェックリスト

買う前に確認する項目を並べます。すべて公開情報で調べられます。

確認項目 危険信号 どこで見るか
配当性向 80%超、または100%超 決算短信・証券会社の指標欄
過去10年の配当推移 減配・無配の年がある IRサイトの配当実績ページ
配当の内訳 記念配当・特別配当が含まれている 決算短信の配当の状況
営業キャッシュフロー マイナス、または配当総額を下回る 決算短信のキャッシュフロー計算書
自己資本比率 同業他社と比べて著しく低い 決算短信の貸借対照表
業績予想の修正 直近で下方修正している TDnetの適時開示
継続企業の前提 GC注記・重要事象の記載がある 有価証券報告書・決算短信
配当方針 方針が示されていない、直近で変更された IRサイトの株主還元方針

配当を出す原資は現金です。会計上の利益が黒字でも、営業キャッシュフローが配当総額を下回り続けている会社は、いずれ配当を維持できなくなります。ここは利益よりも先に見る価値があります。

権利確定日と配当落ち

配当をもらうには、権利確定日に株主名簿に載っている必要があります。

1

権利付最終売買日
権利確定日の2営業日前

この日の取引終了時点で株を持っていれば配当がもらえます。買うのはこの日までです(→ 権利確定日)。

2

翌営業日

配当の権利がなくなるので、理論上は配当額の分だけ株価が下がります。この日に売っても配当はもらえます。

3

配当金の支払い
決算から2〜3か月後

株主総会での承認を経て支払われます。中間配当がある会社は年2回受け取れます。

権利日の直前に買うのは有利ではない

権利落ち日には配当分だけ株価が下がるのが理論値です。直前に買って権利落ち後に売れば、配当をもらっても株価の下落で相殺されます。さらに配当には税金がかかるため、実際には手取りが減ることもあります。

配当狙いは「保有し続けること」が前提です。短期の権利取りは、値動きに賭けているのと変わりません。

配当金の税金とNISA

配当金には20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が課税されます。

課税方式 特徴 向いている人
申告不要 源泉徴収で完結。手続き不要 手間をかけたくない人
申告分離課税 上場株式等の譲渡損と損益通算できる 売却損が出ている人
総合課税 配当控除が使える。所得が低いほど有利になりやすい 課税所得が少ない人

※ 配当控除は上場株式の配当が対象です。J-REITの分配金や、外国株の配当には適用されません。有利不利は個別の所得状況によって変わります。判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

🔴 NISAで配当を非課税にするには設定が必要

NISA口座で株を買っても、配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」以外になっていると、配当には20.315%が課税されます。

受取方法は4つあります。
株式数比例配分方式 … 証券口座で受け取る(NISAで非課税になるのはこれだけ
・配当金領収証方式 … 郵便局などで受け取る
・登録配当金受領口座方式 … 指定の銀行口座で全銘柄まとめて受け取る
・個別銘柄指定方式 … 銘柄ごとに銀行口座を指定する

証券会社の設定画面で今すぐ確認してください。高配当株をNISAで持つ意味が、この設定ひとつで消えます。

自分でスクリーニングする手順

ランキング記事に頼らず、証券会社のスクリーニング機能で自分の条件に合う銘柄を探せます。

条件 設定の例 狙い
予想配当利回り 3.0%以上 〜 6.0%以下 上限を切ることで異常値を外す
配当性向 20%以上 70%以下 タコ足配当と消極還元の両方を除く
自己資本比率 40%以上 財務の余力を確保する(業種により調整)
ROE 8%以上 資本効率が極端に低い会社を除く
時価総額 500億円以上 売買が成立しにくい銘柄を除く
売上高・営業利益の推移 直近3期で減少が続いていない 減配予備軍を除く

※ 数値は考え方の例です。業種によって適正な水準は異なります(金融・不動産は自己資本比率が低くなるのが通常です)。

絞り込んだあとは、1銘柄ずつIRサイトで配当方針と過去の配当推移を確認します。ここを省くとスクリーニングの意味がありません。

権利確定月を分散させる

日本企業は3月期決算が最も多く、次いで9月・12月です。同じ月に集中させると、配当の入金が年に1〜2回にまとまります。
1月・2月・4月・5月……と権利確定月の違う銘柄を組み合わせれば、受け取りを分散できます。
ただし権利確定月を優先して銘柄の質を落とすのは本末転倒です。あくまで最後の調整に使ってください。

※ 本記事は指標と手順の説明であり、特定の銘柄への投資を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

高配当株に関するよくある質問

配当利回りは何%以上あれば高配当ですか?
明確な定義はありませんが、3%を超えると高配当と呼ばれることが多いです。ただし7%を超えるような水準は、特別配当が含まれているか減配が織り込まれている可能性が高く、理由の確認が必要です。
利回りランキングの1位を買えばいいのですか?
おすすめできません。利回りは株価が下がるだけで上がるため、ランキング上位には株価が急落した銘柄や一時的な特別配当を出した銘柄が集まりやすい構造になっています。配当性向と過去の配当推移を必ず確認してください。
権利確定日の直前に買えば配当だけもらえますか?
権利付最終売買日までに買えば配当は受け取れます。ただし権利落ち日には配当分だけ株価が下がるのが理論値で、税金も引かれるため、短期売買で得をするとは限りません。
NISAなら配当は必ず非課税ですか?
受取方法を「株式数比例配分方式」に設定している場合だけです。他の方式のままだと、NISA口座で保有していても20.315%が源泉徴収されます。証券会社の設定画面で確認してください。
DOEを採用している会社のほうが安全ですか?
利益ではなく株主資本を基準にするため、業績が悪化した年でも配当が維持されやすい傾向があります。ただし方針は変更されうるものであり、絶対の保証ではありません。
累進配当を掲げていれば減配しませんか?
「減配せず維持または増配する」という会社の方針表明であり、法的な義務ではありません。実際に長期間守られている例は多いものの、経営環境が大きく変われば方針そのものが見直される可能性はあります。
配当は毎年もらえるものですか?
保証されていません。業績悪化で減配・無配になる例は珍しくなく、震災後に長期の無配が続いている企業もあります。配当は会社が決めるもので、株主の権利として金額が約束されているわけではありません。
高配当株とREITはどちらがいいですか?
目的によります。REITは利益のほぼ全額を分配する仕組みのため利回りは高くなりやすいですが、借入比率が高く金利上昇に弱い性質があります。分配金には配当控除も使えません。どちらか一方ではなく、性質の違う資産として組み合わせる考え方もあります。

まとめ

高配当株選びは、利回りの高さを競うものではありません。その配当が来年も再来年も続くかどうかを、配当性向・キャッシュフロー・配当方針で確かめる作業です。

この記事のまとめ

・配当利回り=1株配当 ÷ 株価。株価が下がるだけで利回りは上がる
・ランキング上位の罠は①記念・特別配当②業績悪化の織り込み③タコ足配当
・配当性向80%超は減配リスクが高い。30〜40%が目安
・DOEと累進配当は「減配しにくさ」を示す方針
・営業キャッシュフローが配当総額を下回っていないか見る
・権利付最終売買日は権利確定日の2営業日前
・NISAの非課税は「株式数比例配分方式」の設定が必須
・利回りの上限も設けてスクリーニングすると異常値を外せる

あわせて読みたい:配当金とは配当性向とは権利確定日とは配当落ち日とは中間配当とはNISAとはディフェンシブ銘柄とはREITとは自社株買いとは優待利回りとは株主優待ランキング

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