新株予約権とは

新株予約権(読み方:しんかぶよやくけん)

新株予約権とは、あらかじめ定められた条件で、その企業の株式の交付を受けることができる権利です。
あらかじめ定められた条件は「株式を取得する際の価格(行使価格)」や「権利を行使できる期間(行使期間)」などがあります。

具体的な数字を出してわかりやすく砕いて説明すると、「2020年1月1日~2020年3月31日までの間(行使期間)に新株予約権を使えば、1株100円(行使価格)で株を買える権利」というような形です。
実際の株価が150円の場合でも、行使価格の100円で株式を取得することができます。

そのため、投資家は株価が行使価格を上回った時点で権利行使をし、株式を取得した後に売却すれば利益を得ることができます。

つまり、新株予約権は通常より有利に株式を取得することができる権利ともいえます。

なお、権利行使の有無は投資家の判断に委ねられるので、株価の下落時は行使せずに放棄することもできます。

新株予約権メモ

・新株予約権はあらかじめ決められた条件で、その企業の株式の交付を受けることができる権利
・通常より有利に株式を取得することができる
・権利行使の有無は投資家の自由なので下落時は放棄もできる

新株予約権の種類や目的

新株予約権を発行する目的はいくつか挙げられます。

ストックオプション
・資金調達
・買収防衛策

それでは1つずつ確認していきましょう。

ストックオプション

ストックオプションとは、自社の役員や従業員に付与される新株予約権のことで、従業員等の意欲などを高めるために導入される制度です。

新株予約権は前述したように、株価が行使価格を上回った時に権利行使をして、株式取得後に売却すれば利益を得ることができます。
つまり、ストックオプションを付与された従業員等は、将来の株価の値上がりによって利益を得られる可能性があるのです。

そのため、従業員等は業績向上意欲が高まり、結果として会社へ貢献してくれるようになります。

資金調達

新株予約権は資金調達の手段として用いられることもあります。

活用方法は色々とありますが、以下のように他の資金調達の手段と組み合わせて利用されることもあります。

・新株予約権付融資
・新株予約権付社債
転換社債型新株予約権付社債(新株予約権付社債の一種)
MSワラント

通常の借入や公募増資では資金が集めるのが難しいため、MSワラントのように引受先に有利な条件を付けて新株予約権を発行するケースもあります。

買収防衛策

買収には「友好的買収」と「敵対的買収」があります。
友好的買収は双方合意のうえで買収を進めているので問題ありませんが、敵対的買収の場合は経営陣から同意を得ずに買収をするものです。
企業にとっては好ましいものではありませんからこれを防止するために防衛策を取ることがあります。

防衛策には色々とありますが、新株予約権を活用する方法として「ポイズンピル」と呼ばれる防衛策があります。
ポイズンピルとは、友好的な既存株主に新株予約権を発行しておくことで、敵対的買収から身を守るものです。

仮に敵対的買収をされそうになった場合、友好的な既存株主に新株予約権を行使してもらい、敵対的買収者の議決権を希薄化させることで買収を防ぐことができます。

このように新株予約権は様々な目的をもって発行されています。

新株予約権メモ

・新株予約権は従業員等の意欲を高めるためにストックオプションとして付与することがある
・資金調達に用いられることもあり、通常より株主に有利な条件を付けて発行されることもある
・敵対的買収から身を守るために、友好的な既存株主に新株予約権を発行しておくこともある

新株予約権のメリットとデメリット

新株予約権は様々な目的があるように、メリットやデメリットも色々とあります。

企業側からすると資金調達ができたり、買収防衛策に役立つというメリットがあります。
また、ストックオプションにより従業員の意欲が高まり、結果的に業績向上につながる可能性もあります。
業績向上は「=株価の値上がり」につながるので、この点は既存株主にとってもメリットになる可能性があります。

新株予約権の引受先は、通常より有利に株式を取得できるメリットがあります。
株価が下落した場合は権利を放棄すれば良いだけなので大きな損をすることもありません。

このように色々とメリットはありますが、デメリットもいくつかあります。
その中で既存株主に大きなデメリットになるのが「株式の希薄化」です。

新株予約権を行使されたとき、自己株式を割当てることもありますが、新株発行による割当てが多いです。
そうなると発行済み株式数が増加することになるので、1株あたりの価値が低下してしまいます。
これは株主からすると好ましいことはではありませんから、株価の下落につながることもあります。

新株予約権メモ

・新株予約権には様々なメリットもあるが、既存株主にとって「株式の希薄化」という大きなデメリットがある

新株予約権による株価の動向

新株予約権の発行による株価の動向は様々です。

たとえばストックオプションとして、新株予約権を発行する場合はポジティブに捉えられることもあります。
ストックオプションを発行するということは、比較的業績も安定し、今後の株価の上昇を見込んでいるからです。
そのため、株価も上昇につながることがあります。

一方で下落するケースもあります。
先ほどデメリットで紹介したように新株予約権の行使により「株式の希薄化」が起こります。
1株あたりの価値が低下してしまうと売りが入りやすくなるため、株価の下落にもつながるわけです。

MSワラントなどは投資家からするとあまり好ましいものではありませんから、大幅に下落することもあります。

ですから新株予約権を発行する目的や種類などにも注目しましょう。

新株予約権メモ

・新株予約権の発行により株価は下がることもあれば上がることもある
・新株予約権を発行する目的や種類などにも注目

新株予約権に関してよくある質問

新株予約権は個人投資家でも普通に買えるのですか?
基本的にできません。新株予約権は通常、企業が特定の相手(従業員、役員、提携先、証券会社、投資ファンドなど)に割り当てるもので、一般の個人投資家が証券会社で自由に購入できる商品ではありません。市場で取引されているケースは極めて稀です。
新株予約権が行使されると、どれくらいの希薄化が起きる可能性がありますか?
発行規模によりますが、行使可能株数が発行済株式数の10〜30%を超えるケースも珍しくありません。特にMSワラントのような修正条項付きの場合、株価が下がるほど行使価格も下がり、大量行使される可能性が高まるため、希薄化率が想定以上に膨らむリスクがあります。
新株予約権の行使が始まると、株価はいつ頃から影響を受け始めますか?
行使開始日の前後ではなく、行使が可能になることが市場に知れ渡った時点(適時開示やIR発表後)から警戒売りが入り始めます。実際に大量行使が始まる前から株価が下押しされる「先回り売り」がよく見られるため、行使開始日よりもかなり早い段階で影響が出やすいです。
企業が新株予約権を大量に発行している場合、倒産リスクは高まりますか?
必ずしも倒産リスクが高まるわけではありませんが、資金繰りが極端に厳しく、通常の増資や社債発行ができない状態で新株予約権(特にMSワラントなど)を乱発している場合は、財務状況がかなり悪化しているサインと考えた方が安全です。市場でも「最後の手段」と見なされやすいです。
新株予約権の行使で得たお金は、企業にとって本当にメリットがありますか?
短期的に見れば現金が入るのでメリットですが、株価が大きく下がると企業価値自体が毀損し、結果的に調達額以上の価値を失うケースが少なくありません。過去には行使で得た資金よりも株価下落による時価総額減少の方がはるかに大きくなった事例も存在します。
最近は新株予約権をあまり見かけなくなった気がしますが、理由は何ですか?
2020年代に入ってから、投資家からの反発が強くなったことと、東証の市場再編やコーポレートガバナンス改革の影響で、希薄化を伴う資金調達が敬遠される傾向が強まっています。特にMSワラントは「株価を意図的に下げて利益を抜く」手法として批判されやすく、発行件数が激減しています。
新株予約権の行使が進むと、信用取引の規制(増担保など)はかかりやすくなりますか?
はい、かかりやすいです。行使による新株発行で流通株式が増え、株価が急落すると、信用取引の過熱(特に空売り)が進みやすくなり、増担保規制や貸借銘柄指定の対象になりやすい傾向があります。過去にも新株予約権行使後に増担がかかった銘柄は複数あります。
スポンサーリンク
おすすめの記事