米中間選挙後の半導体株大売りでキオクシア株価大暴落!理由と今後の見通しを徹底解説

キオクシア(285A)の株価は、10月30日の終値13,470円から11月6日の終値8,511円まで、11月の4営業日で36.8%下げました。下げのきっかけは1つではありません。まず決算で示した10〜12月の見通しが横ばいでした。そこに米中間選挙で大勝した民主党のデータセンター規制への警戒と、世界の半導体株の急落が日を追って重なりました。

選挙の前から下げが始まっていた点は見落とされがちです。1日の下げが最も大きかったのは選挙前の11月2日(−15.78%)で、決算への失望が主な理由と報じられました。今後は、規制の話がどこまで具体的になるか、5,000万株を超える信用買い残がどう減っていくか、データセンター向けの需要が同業と次の決算で確かめられるかが手がかりになります。

先に結論

①11月の下げは4営業日で36.8%。10月2日の終値19,300円からは55.9%安
②最大の下げは選挙前の11月2日。10〜12月の最終利益の見通し1兆3,600億円が、市場予想の1兆6,000億円弱に届かなかった
③選挙後は、民主党が掲げるデータセンター建設の規制への警戒が半導体株全体に広がった
④ほぼ同じ期間(米国株は11月5日まで)の下げは、サンディスク-29.9%、マイクロン-25.8%。キオクシアが最も大きい
⑤信用買い残は11月4日時点で5,282万株、信用倍率38.28倍。売り圧力として残っている
⑥ストップ安にはなっていない。11月6日の安値7,900円は、ストップ安の7,824円まで76円だった

キオクシアの株価はどれだけ下がった?11月の4営業日

キオクシアホールディングス(285A)の2026年8月から11月6日までの日足チャートと出来高
日付 終値 前日比 安値 出来高
(百万株)
10/30 13,470円 −7.14% 13,075円 70.6
11/2 11,345円 −15.78% 11,135円 97.8
11/4 10,735円 −5.38% 9,635円 163.5
11/5 9,324円 −13.14% 9,223円 147.5
11/6 8,511円 −8.72% 7,900円 169.8

株価は10月1日の1対3の株式分割のあとの値です。出来高は11月4日から3日続けて1億4,000万株を超え、8月以降でも多い水準でした。下げのなかで売買が膨らんでいるので、持ち主の入れ替わりが大きかったとみられます。

4日間ともストップ安には届いていません。JPXの制限値幅は、前日の終値が7,000円以上1万円未満なら1,500円、1万円以上1万5,000円未満なら3,000円です。11月6日は前日の終値9,324円からストップ安が7,824円で、安値の7,900円は76円手前でした。仕組みはストップ安とは?で解説しています。

なぜ暴落した?日ごとに見た3つのきっかけ

日付 下げ 主なきっかけ
10月30日(金) −7.14% 決算発表(18時45分)の前の取引時間中。株探は米国ハイテク株の時間外の急落と需給要因の剥落を挙げた
11月2日(月) −15.78% 決算。10〜12月の見通しが前の四半期とほぼ同じで、最終利益は市場予想を下回った
11月4日(水) −5.38% 開票の途中で取引。日本の半導体株が全面安になり、一時1万円を割った
11月5日(木) −13.14% 規制への警戒。前日の米国で同業のサンディスクが急落
11月6日(金) −8.72% 世界の半導体株の急落。前日の米国でSOX指数が12.3%安

決算は10月30日の取引終了後に出ました。株価が反応したのは週明けの11月2日で、この日の下げが最も大きくなっています。同じ日に東京エレクトロンとアドバンテストは上げていて、キオクシアだけが大きく売られました。選挙の結果が伝わり始めた11月4日は下げ幅が小さく、その後の米国市場の急落が5日と6日の下げにつながりました。

理由①決算の見通しが横ばいで、市場予想に届かなかった

7〜9月
(実績)
10〜12月
(会社の見通し)
売上収益 2兆4,800億円 2兆5,000億円
(前の四半期比+0.8%)
最終利益 1兆3,557億円 1兆3,600億円
(同+0.3%)
想定の為替 1ドル=161円
(平均)
1ドル=157円
市場予想
(最終利益)
— 1兆6,000億円弱
(株探の報道)

業績そのものは悪くありません。7〜9月の売上収益は2兆4,800億円で、データセンター向けの需要が旺盛だったと会社は説明しています。問題は伸び方です。会社は10〜12月について「為替の悪化を見込むことなどから」7〜9月と同水準の業績を見込むとしました。売上の一部が7〜9月に前倒しになり、一部は1〜3月にずれ込むとも報じられています。

株価は、今の利益の大きさより、利益がこの先どれだけ伸びるかで動きます。四半期ごとに大きく伸びてきた会社が「横ばい」を出すと、伸びが止まる兆しとして売られやすくなります。キオクシアのように市況で利益が大きく変わる会社は、とくにこの傾向が強く出ます。考え方はシクリカル銘柄とは?にまとめています。

理由②民主党のデータセンター規制への警戒

米中間選挙は民主党が上院と下院の多数派を取りました(開票結果の詳細)。選挙のあと、株式市場で警戒されたのがデータセンターの建設への規制です。NBCは、知事や司法長官、上院・下院の選挙で当選した数多くの民主党の候補が、データセンターの建設を遅らせるか止めると公約していたと伝えています。なかでもテキサス・オハイオ・ミシガン・ジョージアの4州はデータセンターの大きな市場で、懸念が大きいとしています。

出どころ 発言・報道
サンダース上院議員
(無所属・民主党会派、CNBC)
「全国でデータセンターの建設を今すぐ一時停止に」とXに投稿
テキサス州知事に当選したヒノホサ氏
(CNBC)
選挙前の動画で、データセンターの承認をすべて一時停止すると表明
株探(11月6日) 民主党が掲げるデータセンター建設などへの規制強化に警戒感が強まり、前日の米国株はハイテク株を中心に急落

キオクシアの記憶用半導体は、データセンターのSSDが大きな売り先です。データセンターが建たなくなれば需要の伸びが鈍る、という連想が売りにつながりました。

ただし、連邦の規制や新しく当選した知事による州の規制は、まだ公約や発言の段階です。新しい議会が始まるのは2027年1月です。一方でCNBCによると、選挙当日には一部の地域の住民投票でデータセンターの規制が可決され、ペンシルベニア州では8月に知事が開発を遅らせる行政命令に署名しています。規制はすでに地域ごとに少しずつ動いていて、全国でどこまで広がるかはまだ分かりません。NBCは半導体株の売りのきっかけとして、クアルコムとArmの決算も挙げています。規制の懸念だけで説明できる下げではありません。

理由③世界の半導体株が同時に崩れた

10月30日の終値から最新の終値までの下落率を、キオクシアと国内外の半導体株、日経平均で比べた棒グラフ
銘柄 10月30日→最新 最新の日付
キオクシア −36.8% 11月6日
サンディスク(米国) −29.9% 11月5日
マイクロン(米国) −25.8% 11月5日
SKハイニックス(韓国) −20.2% 11月6日
アドバンテスト −19.6% 11月6日
サムスン電子(韓国) −16.1% 11月6日
SOX指数(米国) −15.7% 11月5日
東京エレクトロン −13.1% 11月6日
日経平均 −9.3% 11月6日

米国株とSOX指数は11月5日の終値までの比較で、11月6日の米国の値動きは入っていません。11月5日の米国市場では、SOX指数が12.3%下げ、NBCによると2020年3月以来の大きな下げでした。日本では11月6日に日経平均が3,643円下げ、株探によると歴代3番目の下げ幅になっています。

キオクシアの下げはどの銘柄よりも大きくなりました。同じ記憶用半導体のサンディスクやマイクロンより大きく、半導体製造装置の東京エレクトロンの3倍近い下げです。決算の失望が先に重なっていたことと、次の章の需給の重さが、下げを大きくしたと考えられます。

信用買い残の重さと大株主の動き

日付 信用買い残 信用売り残 信用倍率
10月30日(金) 4,799万株 145万株 33.04倍
11月2日(月) 5,165万株 116万株 44.44倍
11月4日(水) 5,282万株 138万株 38.28倍

株価が下がっているのに、信用買い残は増えています。下げたところで新たに信用で買った人が多いということです。信用で買った株はいずれ売るか、代金を払って引き取るかで決済する必要があるので、買い残は将来の売りの予備軍になります。株探のコラムも、キオクシアについて「今の買い残は重すぎる」と書いていました。

信用で買っている人は、株価が下がると追証(追加の保証金)を求められることがあります。追証を入れられない人の売りが、さらに株価を押し下げる流れも起きやすくなります。仕組みは追証とは?と信用取引とは?で解説しています。

大株主の動きもあります。東芝は11月4日、キオクシア株の保有割合が10月27日までに11.80%から10.46%に下がったと報告しました。今回の急落より前の変化です。株探のコラムは、先に売ったベインキャピタルに続いて大株主の売りが出ることへの懸念を挙げています。大株主の保有がさらに減るかどうかも、需給の重さに関わります。浮動株比率の見直しとTOPIXの関係はキオクシアの浮動株比率の記事にまとめています。

今後の見通し|判断に使う5つのポイント

株価がこの先どうなるかを言い当てることはできません。ただ、どの材料が出れば流れが変わるかは整理できます。

見るもの 何を確かめるか
①規制の中身 どの州が、いつ、どんな規制を決めるか。公約が実際の手続きに進むか。新しい議会は2027年1月から
②信用買い残 5,282万株(11月4日)が減っていくか。株価が下げ止まっても買い残が多いままなら、戻りで売りが出やすい
③大株主の売り 東芝などの大株主の保有割合が、変更報告書でさらに下がるか
④同業の決算 マイクロンやサンディスクの決算と見通しで、データセンター向けの需要が続いているか
⑤次の決算 10〜12月が見通しの売上収益2兆5,000億円を上回るか。1〜3月の見通しが伸びに戻るか

①と④はデータセンター向けの需要という同じ話の両面です。規制の懸念があっても同業の決算で需要の強さが確かめられれば、売りの理由は弱まります。逆に規制が実際に決まり、同業の見通しも鈍れば、10〜12月の横ばいという見通しそのものが下振れする心配が出てきます。

②と③は業績と関係なく株価を動かす需給の話です。信用買い残が多いうちは、良い材料が出ても戻りが鈍くなりがちです。業績の材料と需給の材料を分けて見ると、値動きの理由をつかみやすくなります。

保有している場合に考えておきたいこと

買った日の終値 株価 11月6日の終値での損益
10月2日
(10月で最も高い終値)
19,300円 −55.90%
10月29日
(決算の前日)
14,505円 −41.32%
10月30日
(決算の当日)
13,470円 −36.82%

10月に買った人は、買った日によって3割強から5割台の含み損を抱えています。信用で買っている場合は、追証が出る水準と期限を証券会社の画面で先に確かめておくことが大事です。追証は一度出ると株価が戻っても消えません。

現物で持っている場合は、「なぜ買ったのか」をもう一度確かめると判断しやすくなります。データセンター向けの需要の伸びに期待して買ったのなら、①と④の材料がその前提を崩すかどうかが目安です。値動きだけを見て売り買いを決めると、下げの途中で慌てて売り、戻りで買い直す形になりやすくなります。

キオクシアの8月までの急落と、株式分割・自社株買いの経緯はキオクシアの株価急落の全貌で詳しく扱っています。

まとめ

ポイント 内容
下げ幅 10月30日の終値から11月6日まで4営業日で36.8%安。ストップ安にはなっていない
きっかけ 決算の横ばいの見通し → 民主党のデータセンター規制への警戒 → 世界の半導体株の急落
需給 信用買い残5,282万株・信用倍率38.28倍(11月4日)。東芝の保有割合は10.46%に低下
今後 規制の中身、信用買い残の減り方、大株主の動き、同業の決算、次の決算の5つが手がかり

今回の下げは、業績の伸びが止まる不安と規制で需要が減る不安が、重い需給の上に重なって起きました。どちらの不安も、いまはまだ見通しや公約の段階です。数字と手続きで確かめられるものから順に見ていくと、値動きに振り回されずに済みます。

次に読むなら

8月までの急落と、株式分割・自社株買いの経緯を知りたいなら
→ キオクシアの株価急落の全貌

規制の話の出どころになった選挙の結果を確かめたいなら
→ 米中間選挙2026の結果|民主党が上下両院を奪還、上院7州の内訳と日経平均・ドル円の動き

信用で買っていて、追証の仕組みを確かめたいなら
→ 追証とは?相場が戻っても消えない理由と期限

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