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カタリストとは

カタリスト(読み方:かたりすと)

 

カタリストとは、もともと英語の「Catalyst」のことで、触媒という意味を持つ言葉になります。
触媒とは、簡単に言うと化学反応を促進させる物質のことです。

金融・証券用語においては、相場や株価を動かすきっかけになるイベントや材料のことをいい、海外の市場関係者の間でよく使われる言葉となります。

カタリストは「相場を動かすきっかけ」全般のことをいいますが、一般的には上昇のきっかけになる場合に使われることが多いです。
例えば、企業がある材料を発表して株価が急騰した場合、その「ある材料」がカタリストになったと言えます。

何かしらのカタリストがあると長らく放置されていた割安銘柄が突然動き出すというケースもあります。反対にカタリストがないと株価が割安でも長らく放置されることがあるので、株式投資にとってカタリストの有無は非常に重要なポイントになります。

そのため、株式投資を行う際は「今後カタリストが現れそうな銘柄かどうか」を見極めることも大切です。

 

カタリストメモ

・カタリストとは、もともと英語の「Catalyst」のことで、触媒という意味を持つ
・金融・証券用語においては、相場や株価を動かすきっかけになるイベントや材料のこと
・一般的には上昇のきっかけになる場合に使われることが多い

 

カタリストになり得る要因とは

ひと言で「カタリスト」といっても、様々な要因が考えられます。
それでは、具体的にどういったものがカタリストになり得るのでしょうか。

政策や経済統計(経済指標)

政策や経済統計(経済指標)は色々とありますが、代表的なもので「日銀の金融政策」や「GDP(国内総生産)」「米雇用統計」などがあります。

日銀の金融政策として「ETF」の買い入れなどがありますが、相場が下落するといわゆる日銀買いが期待されて反発することもよくあります。
また、金融政策の内容次第で相場は大きく動くこともあるので、注目ポイントの1つとなります。

GDPとは、日本国内において一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計金額のことをいいます。
GDPは国の経済力の目安にされたり、その国の景気動向や経済成長を推定する時に使われたりします。
そのため、GDPが前年より良ければ相場は上昇し、悪ければ相場が下落することもあります。

米雇用統計は、言葉の通り、米国の雇用情勢を示す経済統計となります。
米国の景気の実体を表す数値として注目されており、結果次第で金融市場全体に影響を与えることもあります。
基本的に予想値を上回ると相場は上昇し、下回ると相場は下落する傾向にあります。

このように政策や経済統計(経済指標)の内容次第で相場を動かすことになるので、カタリスト候補として意識しておくと良いかもしれません。

企業業績(業績予想の修正)

株価は業績によって左右されやすいので、企業業績はカタリストになることが多いです。

上場企業は決算時に「次期の業績予想」を発表することが多いです。
この内容でも株価が動くことはありますが、特に大きなきっかけとなるのが「業績予想の修正」となります。

業績予想の修正とは、言葉の通り、業績予想の内容を修正することです。
いわゆる「上方修正」や「下方修正」のことをいいます。

修正内容にもよりますが、修正幅が大きいほど株価に与える影響力も大きくなります。
基本的に上方修正が発表されると株価は上昇し、下方修正が発表されると株価は下落することになります。

MBOやTOB

株式の非公開化(上場廃止)を目的とした「MBO(経営陣買収)」や、企業買収を目的とした「TOB(株式公開買付け)」は株価を動かすきっかけになることが多いです。

TOB(株式公開買付け)とは、事前に買付価格などを公開した上で、不特定多数の投資家から市場外で株式を買い付ける制度のことです。
MBOは経営陣による買収のことですが、株式の買付けは「TOB」によって行われます。

TOBの買付価格は「株価(市場価格)にプレミアムを上乗せした価格」で設定されることが多いため、TOBの実施が発表されると株価は買付価格水準まで急騰することが多いです。

そのため、MBOやTOBはカタリスト要因の1つと言えます。

自社株買い

自社株買いとは、企業が自社の発行済み株式を市場から買い戻すことです。

自社株買いを行うことで発行済み株式数が減少し、1株あたりの利益(価値)が増加するので好感されて株価上昇につながることがあります。
また、個別銘柄の中には需給面で株価が停滞しているケースもありますが、自社株買いによって需給バランスが改善されると株価上昇のきっかけになることもあります。

自社株買いの規模にもよりますが、カタリストになり得る要因の1つです。

株式分割

株価上昇につながるきっかけとして「株式分割」もあります。

株式分割とは1株を複数株に分割することをいいます。
株だけでなく株価も分割されることになるので、1株を2株に分割した場合、株価は今までの半分になります。

つまり、株価が安くなるので今まで高すぎて買えなかった投資家も買えるようになり、需要が増加して株価が上昇しやすくなります。

また、株式分割は流動性を高めることを目的として行われますが、次に説明する「指定替え(市場変更)」を目指して株式分割を行うケースもあります。

指定替え(市場変更)

指定替え(市場変更)とは、現在の市場から他の市場へ移動することをいいます。
市場とは、東証1部や東証2部、マザーズ、JASDAQなどのことです。

基本的に上位市場に変更する場合(主に東証1部へ昇格する場合)は好感されることが多く、株価の上昇につながることがあります。

提携

提携には「業務提携」や「資本提携」などいくつか種類がありますが、いずれにしても企業が協力関係を築くために行われます。

提携の種類によってメリットは異なりますが、シナジー効果(相乗効果)が生まれたり、他社と共同で新事業を立ち上げたりするのでリスク分散なども期待できます。

提携は企業が成長するきっかけになることもあるので、提携が発表されると株価が大きく動く要因になることもあります。

世の中の話題(テーマ株)

企業単体で好材料がなくても、テーマ株として循環物色されることがあります。
そのため、刻々と変化する「いま話題になっているモノや出来事」もカタリストになり得ます。

例えば、コロナウイルスの流行によって「マスク関連株」や「バイオ関連株」などが大きく注目を集めました。

コロナウイルスは相場全体を大きく動かした(下落させた)カタリストになりますが、マスク関連株にとっては「マスクの需要が一気に増えたこと」がカタリストとなり株価を大きく伸ばしました。
また、新薬期待で買われたバイオ関連株にとっては「コロナウイルスが新種のウイルスだったこと」がカタリストとなります。

このように刻々と変化する世の中の話題もカタリストになる可能性が高いものと言えます。

ここで紹介した「カタリストになり得る要因」はあくまで一例となります。
さまざまな要因がカタリストになり得るので、日ごろから企業が発表する情報や経済ニュースなどを確認して、どのようなものがカタリストになり得るのかチェックすると良いでしょう。

また、上記の要因についても確実にカタリストになるわけではありません。
相場次第のところもあるので、その点は理解しておくようにしましょう。

カタリストを見つけるには

カタリスト要因を見つけるだけなら簡単にできます。
経済ニュースや企業の開示情報をチェックするだけです。

ただし、全ての材料やイベントがカタリストになるわけではありません。

材料の内容次第で株価の反応は限定的で終わることもありますので、公表された材料は株価にどれくらいの影響を与えるものかを精査する必要があります。
こういう分析能力は一朝一夕で身に付くものではないですが、日ごろから情報収集や企業分析を行うことで少しずつ身に付けることはできます。

また、分析能力や情報収集能力を身に付けることで、「今後カタリストが現れそうな銘柄」を判断することもできるようになります。
例えば、事業内容や直近の決算、月次情報から上方修正に期待ができる銘柄を見つけたりできます。

考えなしに飛び乗って「イナゴトレード」すると、その後の下落によって損失を被ることもあるので注意しましょう。

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