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売上高営業利益率とは

売上高営業利益率(読み方:うりあげだかえいぎょうりえきりつ)

 

売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合のことです。
本業の収益力をはかるときに使われる指標となります。

売上高は、会社の主な事業による売上のことで、商品の販売やサービスの提供によって得られた収益のことです。
一言でいうと「本業による収益」が売上高となります。

営業利益は、売上高から売上原価や販売費及び一般管理費を差し引いた利益となります。
売上原価は販売した商品の原価、販売費及び一般管理費は通常の営業活動でかかる費用のことです。
通常の営業活動でかかる費用は、広告宣伝費や人件費、家賃や光熱費などさまざまな費用があります。

つまり、営業利益とは企業の営業力によって稼ぎ出した利益のことです。
一言でいうと「本業による利益」が営業利益となります。

売上高営業利益率が何を表しているかと言うと「売上高に対してどれくらいの営業利益が残ったのか」を表しています。
営業利益が沢山残るほど、売上高営業利益率は高くなり、本業の収益力が強いと判断されます。

例えば、同じ売上高1000万円でも人件費等の諸々の費用が「800万円かかった会社」と「300万円かかった会社」では、営業利益に大きな差が生まれます。
当然後者のほうが営業利益は大きくなり、効率的に本業で儲けを出しているというのがわかります。

反対に、売上高営業利益率が低い場合は営業利益が少ないということなので、本業があまりうまくいっていなかったり、コストなどがかかりすぎている可能性があると判断できます。

売上高営業利益率の求め方

売上高営業利益率は、営業利益を売上高で割ることで求めることができます。
計算式は次の通りです。

営業利益 ÷ 売上高 × 100 = 売上高営業利益率

例えば、売上高が10億円、営業利益が1億2千万円だったとします。
その場合は次のように計算することができます。

1億2千万円 ÷ 10億円 × 100 = 12

つまり、売上高営業利益率は「12%」であることがわかります。
営業利益が大きくなるほど、売上高営業利益率も高くなり、企業の収益力が強いことがわかります。

 

売上高営業利益率メモ

・売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合のこと
・売上高に対してどれくらいの営業利益が残ったのかを表している
・本業の収益力を知ることができ、数値が高いほど収益力が強いと判断できる
・売上高営業利益率は「営業利益 ÷ 売上高 × 100」で求めることができる

 

売上高営業利益率の目安や平均

売上高営業利益率は高いほうが良いと解説してきましたが、それはあくまでその企業単体を見てのことです。

それでは市場全体で見た場合、売上高営業利益率はどれくらいが良いと言えるのでしょうか。

景気などにもよりますが、1つの目安として5%を超えると良いとされています。

但し、一概に「5%を超えると良い」「5%以下なら悪い」と判断するのは危険です。
なぜかと言うと、売上高営業利益率は業種により平均の格差があるからです。

例えば、不動産業の売上高営業利益率は平均で10%超となっており、目安である5%を上回ります。
一方で、卸売業の売上高営業利益率は平均で2%以下となっており、目安である5%を下回っています。

このように業種によって売上高営業利益率に違いがあることを理解しておくようにしましょう。

売上高営業利益率の業種別平均

売上高営業利益率の業種別平均は次のようになっています。

以下、日本取引所グループの調査レポート「決算短信集計結果:2020年3月期」から抜粋したものになります。

(単位:%)

全産業 製造業 非製造業 水産・農林業
5.23 5.30 5.15 2.41
鉱業 建設業 食料品 繊維製品
4.75 6.99 5.44 5.84
パルプ・紙 化学 医薬品 石油・石炭製品
5.12 7.91 11.74 -0.63
ゴム製品 ガラス・土石製品 鉄鋼 非鉄金属
3.89 7.8 -1.49 3.07
金属製品 機械 電気機器 輸送用機器
4.35 6.4 6.89 4.42
精密機器 その他製品 電気・ガス業 陸運業
7.18 8.8 4.72 9.59
海運業 空運業 倉庫・運輸関連業 情報・通信業
2.23 4.74 4.74 9.12
卸売業 小売業 不動産業 サービス業
1.78 3.55 12.01 4.07

また、売上高営業利益率は、単にその数値を見るだけでなく、過去と比較して伸びているかどうかを確認することも重要です。
例えば、利益率が平均を下回る場合でも、毎年利益率が上昇している場合は企業の成長に期待ができます。

 

売上高営業利益率メモ

・売上高営業利益率の目安は市場全体で見ると「5%」を超えるかどうか
・但し、業種による格差もあるため、5%が絶対ではない
・10%を超える業種もあれば、5%を下回る業種もある

 

売上高営業利益率とよく比較される用語

売上高営業利益率とよく比較されるものとして、次のような利益率があります。

・売上高総利益を使った「売上高総利益率」
・経常利益を使った「売上高経常利益率」
・当期純利益を使った「売上高当期純利益率」

損益計算書」を見るとわかるように、利益は段階ごとに区分されています。
各段階の利益を売上高で割ることで、売上高に対する各利益の比率を見ることができます。

この利益率を総称して「売上高利益率」と呼ぶこともあります。
売上高利益率は英語で「Return on Sales」といい、略して「ROS」とも呼ばれています。

基本的に利益率が高いほうが企業の収益力が強いと判断できますが、売上高営業利益率は本業の収益性、売上高経常利益率は企業の事業活動全体の収益性をはかる指標といったように細かい違いがあります。

また、各利益率を比較することでわかることもあります。

例えば、売上高営業利益率よりも売上高経常利益率が高い場合は、営業外損益(本業以外の損益)がプラスであったことを示します。
つまり、本業以外の活動もうまくいっているという見方ができます。

反対に、売上高営業利益率よりも売上高経常利益率が低い場合は、本業以外の損益がマイナスであったことを示します。
これは営業外収益よりも、借入金の支払利息などの営業外費用が大きいことを意味します。
支払利息の負担が重しになっていたり、資金運用がうまくできていないと考えることができます。

売上高営業利益率ランキング

東証一部に上場している企業のうち、売上高営業利益率の高い企業と低い企業を10社ずつ見てみましょう。
こちらのランキングは、楽天証券のスクリーニング機能(スーパースクリーナー)の検索結果を基に作成しています。

売上高営業利益率が高い企業10社

(単位:%)

銘柄コード 企業名 利益率
7164 全国保証 78.27
2477 手間いらず 70.48
8772 アサックス 69.53
6620 宮越HLDG 65.35
8697 日本取引所グループ 54.97
4684 オービック 53.72
8918 ランド 53.23
6037 ファーストロジック 51.86
6861 キーエンス 50.31
8595 ジャフコ グループ 50.14

売上高営業利益率が低い企業10社

(単位:%)

銘柄コード 企業名 利益率
4587 ペプチドリーム -85.51
3686 ディー・エル・イー -73.80
1435 TATERU -51.36
8617 光世証券 -50.16
5721 エス・サイエンス -48.49
2198 アイ・ケイ・ケイ -45.52
6191 エアトリ -42.34
2432 ディー・エヌ・エー -37.63
3667 enish -36.77
8706 極東証券 -31.73
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