日証金とは

日証金(読み方:にっしょうきん)

日証金とは「日本証券金融株式会社」のことです。
一般的には日証金と呼ばれることが多いですが、証券金融会社と呼ぶこともあります。

証券金融会社とは、信用取引に必要な資金や株式を貸し付ける「貸借取引」を主な業務としている会社の総称となります。
以前は「大阪証券金融(大証金)」や「中部証券金融(中証金)」の証券金融会社がありましたが、現在は「日証金」のみが現存しています。

つまり、日本で唯一「貸借取引」を行える会社が日証金ということになります。

また、日証金は東証1部に上場している会社でもあります。
銘柄コードは【8511】で直近の株価は500円前後で推移しています(2020/7/20時点情報)。

貸借取引とは

貸借取引についてもう少し詳しく説明していきます。

貸借取引とは、証券会社に対して、制度信用取引に必要な資金や株式を貸し付ける取引のことをいいます。
信用取引には「一般信用取引」と「制度信用取引」の2種類ありますが、貸借取引の対象は「制度信用取引」のみとなります。

投資家が制度信用取引を行う場合、証券会社から資金や株式を借りて取引を行います。
証券会社は資金繰りが良い場合は自己資金で融資したり、保有株式を貸し出すこともあります。
また、証券会社内で同一銘柄の信用売りと信用買いがある場合はそれらを相殺して処理することもあります。

相殺というのは、いわゆる「店内食い合い」のことで、たとえば、とある投資家が100株の信用買いを行い、その株式を100株の信用売りする投資家に貸し出しをするといった形です。

ですが、証券会社が独自に貸し出しを行うのも限界があります。
そういうときに貸借取引によって資金や株式を貸し付けてもらうことになります。

もしも貸借取引がなければ「証券会社によって信用取引ができない」ということにもなりかねません。

つまり、貸借取引は制度信用取引を支える重要な役割を担っているといえます。

但し、日証金による貸借取引も無限に行われるわけではありません。
貸し付ける株式が不足しそうになると注意喚起が出されたり、不足した場合は貸借取引の申込停止措置(売り禁)が取られたりします。

日証金メモ

・日証金とは「日本証券金融株式会社」のことで、日本で唯一現存している証券金融会社のこと
・証券金融会社とは、証券会社に対して、制度信用取引に必要な資金や株式を貸し付ける「貸借取引」を行う会社のこと
・日証金は制度信用取引を支える重要な役割を担っているといえる

日証金が主に行うこと

日証金が主に行うことは「貸借取引」となりますが、それに関連して、他にも以下のようなことを行っています。

・貸借取引残高の公表
・注意喚起
・貸借取引の申込制限または停止措置

また、貸借取引のほかには、「コムストックローン」という個人向けの証券担保ローンも提供しています。

それでは、1つずつ説明していきます。

日証金貸借取引残高の公表

日証金は、毎営業日ごとに「貸借取引残高」を公表しています。

貸借取引残高は、以下の時間で速報値と確報値が公表されます。

・速報値「当日19:00~21:00頃」
・確報値「翌日11:00~16:00頃」

「貸借取引残高」というのは、いわゆる「融資残高」と「貸株残高」のことですが、これは信用取引の取り組み状況を見るための重要な指標となります。

融資残高は信用買い、貸株残高は信用売りを表しているので、どちらが多いかで将来の売り圧力・買い圧力を予測することができます。

但し、貸借取引は「制度信用取引のみ」の数値となっていますし、必ずしも貸借取引が行われるとは限りません。
そのため、信用取引全体の数値とは多少異なるものとなっています。

ですが、速報性もあるため、日々の信用取引の動向をを把握するためには欠かせない指標となります。

信用取引の取り組み状況を見るための指標として、貸借取引残高とは別に「信用取引残高」というものもあります。

これは証券取引所が毎週第2営業日の「16:30~17:00頃」に公表しているもので、信用取引全体の残高を表したものです。

「貸借取引残高」と比較して速報性はないものの、より正確な信用取引残高を把握することができます。

注意喚起

日証金は、貸借取引によって資金や株式の貸し付けを行っていますが、貸し付ける株式も無限にあるわけではありません。
信用売り(空売り)の増加などによって、特定の銘柄の株式が不足してしまうこともあります。

そのため、株式が不足するおそれがある場合は「注意喚起」を行うことがあります。
貸株注意喚起」とも呼ばれるものですが、証券会社や投資家に注意を促す目的で行われるものです。

対象になった銘柄を「貸株注意喚起銘柄」といい、そういう銘柄になると「逆日歩」が発生しやすくなったり、「信用取引規制」の対象になりやすくなります。

そのため、警戒感から株価に影響を及ぼすこともあります。
ただ、注意喚起はあくまでも注意を促すものであり、注意喚起の段階で取引に直接的な影響を与えるものではありません。

貸借取引の申込制限または停止措置

貸借取引の申込制限または停止措置とは、信用取引規制のひとつで、いわゆる「売り禁」のことです。
信用売り(空売り)の増加などによって、貸借取引に必要な株式が不足したときに行われる措置となります。

売り禁になると、新規の信用売りができなくなったり、信用買いを「現引き」で決済できなくなったりします。

信用売りができなくなったり、現引きができなくなるので、当然取引にも影響を与えることになります。

このように日証金は制度信用取引を支える重要な役割があり、さらに取引や株価へ大きな影響を与える存在でもあります。

日証金のコムストックローン(証券担保ローン)

コムストックローンとは、日証金が提供している個人向けのオンライン型証券担保ローンのことです。
証券担保ローンは、コムストックローンのほかに、個人・企業向けの「訪問型証券担保ローン・セレクト」もあります。

コムストックローンは、株式などの有価証券を担保にして借り入れができるローンとなります。

株式を担保に入れても、株主の権利を失うことはなく、「配当金」や「株主優待」などは受け取ることができます。

また、担保を売却してそれを返済に充てることもできるので、「一時的にお金が必要になったが、株価の値上がりが見込めるのでまだ売却したくない」という場合など、コムストックローンは活用できるかもしれません。

日証金メモ

・日証金が公表する貸借取引残高は信用取引の取り組み状況を見る重要な指標となる
・貸借取引に必要な株が不足するおそれがある場合は「注意喚起」が行われる
・実際に株不足になると貸借取引の申込制限または停止措置がとられる
・貸借取引以外に株式等を担保にした証券担保ローン「コムストックローン」も提供している

日証金に関してよくある質問

信用取引の「制度信用」と日証金にはどんな関係がありますか?
非常に密接です。日証金が株や資金を貸し出すのは、原則として「制度信用取引」のみです。「一般信用取引」は証券会社が自前で株や資金を用意するため、日証金は関与しません。つまり、日証金のデータを見ることは、市場の主流である「制度信用」の需給を追うことと同義です。
日証金が毎日発表するデータは、なぜ重要なのですか?
「情報の早さ」が最大の理由です。東京証券取引所が発表する「信用残統計」は週に1回(火曜日)ですが、日証金は毎営業日の夕方に、その日の貸借状況(貸借取引残高)を公表します。相場が急動いている時、いま現在「空売り」が急増しているのか、それとも「買い」が投げられているのかを日次で把握できる唯一の指標です。
「逆日歩(ぎゃくひぶ)」と日証金の関係を教えてください。
逆日歩は日証金の中で決まります。空売りが殺到して日証金内の株が不足すると、日証金は他から株を借りてくる必要があります。この時に発生する「株のレンタル料(品貸料)」が逆日歩です。日証金の「貸借倍率」が 1.0倍を大きく割り込んでいる銘柄は、翌営業日に高額な逆日歩が発生するリスクがあるため、空売り勢には警戒が必要です。
貸借取引の「融資」と「貸株」という言葉が分かりにくいです。
日証金の視点で考えるとシンプルです。
融資: 日証金が証券会社に「お金」を貸すこと(個人投資家が「買い」を入れた時)。
貸株: 日証金が証券会社に「株」を貸すこと(個人投資家が「空売り」を入れた時)。 これらの残高のバランスを見て、相場の傾きを判断します。
日証金のデータで「貸借倍率」を見る時の注意点は?
日証金の倍率はあくまで「日証金を経由した分」だけの数字です。市場全体の需給を表す「東証の倍率」とは数値が異なります。しかし、日証金で「貸株」が急増している銘柄は、市場全体でも空売りが溜まっている可能性が極めて高いため、需給の先行指標として活用されます。
「日証金残(にっしょうきんざん)」が急減した時は何を意味しますか?
ポジションの解消、つまり「決済」が進んだことを意味します。急騰していた銘柄の残高が急減すれば「祭りの終わり」を示唆し、逆にじり安だった銘柄の残高が急減すれば「投げ売りが一巡して底を打った」可能性を示唆します。
逆日歩を避けるために、日証金のサイトのどこを見ればいいですか?
「貸借取引状況」のページにある「株不足」の項目をチェックしてください。融資(買い)よりも貸株(売り)が上回る「株不足」が発生していると、逆日歩が発生するカウントダウンが始まっているサインです。
初心者が日証金を意識するメリットは?
「プロが仕掛けている場所」が見えるようになることです。日証金のデータで不自然な貸株の増加や逆日歩の継続を見つけることで、「いまこの銘柄で何かが起きている」という異変をいち早く察知し、不用意な高値掴みや踏み上げによる大損を避けることができます。

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