
株の情報をYouTubeで学ぶとき、最初に確認すべきなのは「登録者数」でも「実績」でもなく、投資助言業の登録があるかどうかです。
無登録で個別銘柄の売買を助言することは金融商品取引法違反であり、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科されます。法人の場合は5億円以下の罰金です。
この記事では、個別のチャンネル名を挙げるのではなく、自分で見分けるための基準を整理します。チャンネルは入れ替わりますが、基準は変わらないからです。
この記事でわかること
・登録の有無を自分で確認する方法
・危険なチャンネルに共通する7つの特徴
・SNS型投資詐欺の実際の被害額
・「無料」の動画がどこで収益化しているか
・YouTubeで学べることと学べないこと
目次
株YouTubeは何を学ぶのに向いているか
最初に、使いどころをはっきりさせておきます。
| 向いていること | 向いていないこと |
|---|---|
| 用語や制度の全体像をつかむ | 買う銘柄を決める |
| 証券会社のツールの操作を見る | 売買のタイミングを決める |
| 決算書の読み方を手を動かして学ぶ | 正確な数値やデータの確認 |
| 相場の空気感を知る | 税金・制度の最終確認 |
動画は「入口」としては優秀ですが、「判断」には向きません。数値や制度は公式の一次情報で確認する、という使い分けが前提になります。
投資助言業の登録が必要になる境界線
ここが最も重要な論点です。投資について語ること自体は自由ですが、一線を越えると登録が必要になります。
… 「◯◯を今の株価で買うべき」という水準
② 対価性があること
… 有料会員・サロン・情報商材など、お金を受け取っている
この2つがそろうと、投資助言・代理業の登録が必要になる
逆に言えば、一般的な相場解説や、無料で公開されている情報の紹介であれば登録は不要とされています。境界はグレーですが、「有料の場で個別銘柄の売り時・買い時を教える」形は、登録が必要になる可能性が高いと考えてください。
無登録で行った場合の罰則は軽くありません。
| 対象 | 罰則 |
|---|---|
| 個人 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり) |
| 法人 | 5億円以下の罰金 |
※ 令和7年6月1日以降は「懲役」が「拘禁刑」に改められています。
登録の有無を自分で確認する方法
調べ方は決まっています。2つのリストを見るだけです。
| 確認するもの | わかること |
|---|---|
| 金融庁の免許・登録業者一覧 | その業者が正式に登録されているか |
| 金融庁の「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等」 | 警告書が出されている先かどうか |
金融庁(および財務局)は平成22年1月以降、無登録で金融商品取引業を行っている者に警告書を発出し、その名称を公表しています。有料サービスに申し込む前に、この2つを確認するだけで大半のトラブルは避けられます。
登録業者であれば、登録番号(「関東財務局長(金商)第◯◯号」など)を必ず表示しています。逆に、有料サービスを提供しているのに登録番号がどこにも書かれていない場合は、それ自体が危険信号です。
危険なチャンネルに共通する7つの特徴
実際に見分けるときのチェックリストです。
| 特徴 | なぜ危険か |
|---|---|
| ① LINEやDMへ誘導する | 最大の危険信号。公開の場から外れると記録が残らない |
| ② 利益額のスクリーンショットを多用する | 画像はいくらでも加工できる。損失は表示されない |
| ③ 「必ず」「確実に」「絶対」と言う | 断定的判断の提供は法令で禁止されている |
| ④ 期限を切って申込みを急がせる | 考える時間を与えないための手法 |
| ⑤ リスクやデメリットを語らない | まともな解説なら必ず注意点に触れる |
| ⑥ 出典を示さない | 数字の根拠が確認できない |
| ⑦ 有料サービスがあるのに登録番号がない | 無登録営業の可能性がある |
①だけは例外なく避けてください。YouTubeのコメント欄や概要欄からLINEへ誘導する手口は、後述する投資詐欺の典型的な入口です。
SNS型投資詐欺の被害は年間1,274億円
これは印象論ではなく、警察庁が公表している数字です。
| 項目 | 2025年(確定値) | 前年比 |
|---|---|---|
| 認知件数 | 9,538件 | +48.7% |
| 被害額 | 1,274.7億円 | +46.3% |
| DMがきっかけ | 3,576件 | — |
| 広告がきっかけ | 3,760件 | — |
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」
DM経由と広告経由を合わせると、全体の約8割を占めます。つまり被害のほとんどは「向こうから接触してくる」ところから始まっています。
動画そのものが詐欺でなくても、コメント欄になりすましアカウントが湧き、LINEへ誘導するというケースもあります。チャンネルが信頼できるかどうかと、その周辺が安全かどうかは別問題です。
信頼できるチャンネルに共通する特徴
逆側のチェックリストです。
| 特徴 | 確認のしかた |
|---|---|
| 数字に出典がついている | 画面や概要欄に出典元が示されているか |
| デメリットを必ず語る | 1本の動画に注意点の章があるか |
| 間違いを訂正している | 過去動画の訂正や補足が出ているか |
| 制度変更に追随している | 古い制度のまま解説していないか |
| 断定を避けている | 「上がります」ではなく「上がりやすい傾向」と言うか |
| 個別銘柄の推奨に踏み込まない | 事例として扱うか、推奨として扱うかの違い |
最も効くのは3行目の「訂正しているか」です。長く続けていれば必ず間違えます。訂正が一度もないチャンネルは、間違えていないのではなく、検証していない可能性があります。
制度の解説は特に古くなりやすい
株の動画で最も注意すべきなのが、制度と税金の解説です。数年前の動画がそのまま再生され続けるためです。
| こう言っていたら古い | 現在は |
|---|---|
| 「東証一部」「マザーズ」「JASDAQ」 | 2022年4月にプライム・スタンダード・グロースへ再編 |
| 「つみたてNISAは年40万円まで」 | 2023年末で終了。NISAのつみたて投資枠は年120万円 |
| 「取引は15時まで」 | 2024年11月5日から15時30分まで |
| 「国内株の手数料は◯◯円」 | 主要ネット証券は条件つきで0円(2023年秋〜) |
| 「LINE証券」「SBIネオモバイル証券」 | どちらもサービス終了済み |
投稿日を必ず確認してください。YouTubeは古い動画でも再生数が伸び続けるため、検索上位に出てくる動画が最新とは限りません。
「無料」の動画がどこで収益化しているか
無料で見られる以上、どこかに収益源があります。それを知っておくと、内容の偏りが読めます。
| 収益源 | 起きやすい偏り |
|---|---|
| 広告収入 | 再生数が取れる煽り気味のタイトルになりやすい |
| 証券会社の紹介(アフィリエイト) | 特定の会社を勧める内容に寄りやすい |
| 企業案件・タイアップ | 表示義務がある。PR表記の有無を確認する |
| 有料サロン・情報商材 | 登録の有無を最優先で確認する |
誤解しないでほしいのは、収益化そのものは悪いことではないという点です。問題になるのは、収益源を隠している場合と、無登録で助言している場合だけです。
初心者が見るべき順番
いきなり銘柄の話から入ると、判断の軸がないまま人の意見に流されます。
①〜⑤を理解していれば、⑥の動画を見ても「この人の前提は自分と違う」と判断できるようになります。それが、情報に振り回されなくなるということです。
株YouTuberに関するよくある質問
まとめ
株YouTubeの選び方は、「誰が言っているか」ではなく「どう言っているか」で判断するのが基本です。話し方と根拠の示し方に、信頼性はほぼすべて表れます。
この記事のまとめ
・無登録なら個人は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、法人は5億円以下
・金融庁の登録業者一覧と無登録業者の警告リストで確認できる
・LINEやDMへの誘導は最大の危険信号
・2025年のSNS型投資詐欺は9,538件・1,274.7億円(警察庁)
・DM経由と広告経由で全体の約8割
・「必ず」「確実に」という断定的判断の提供は法令で禁止されている
・制度と税金の解説は古くなりやすい。投稿日と用語を確認する
・個別銘柄の話を見るのは、基礎を理解してからでよい
※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定のチャンネルやサービスを推奨・非推奨するものではありません。法令の適用については個別の事案ごとに判断が必要です。
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