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逆日歩とは
逆日歩(読み方:ぎゃくひぶ)
逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、簡単にいうと信用取引の売り方(空売りをしている人)が支払う事になるコストのことです。
信用売りの残高が信用買いの残高を上回った場合に発生する可能性があります。
逆日歩が発生するかどうかは、毎営業日の取引が終了した後に売買を差し引いてわかります。
また、逆日歩の価格は取引翌営業日に行われる入札によって決定する仕組みです。
そのため逆日歩が発生するか、また発生した場合はコストがいくらになるかは前もってわからないという怖さがあります。
信用取引の売り建て(空売り)をする場合は覚えておきたいましょう。
逆日歩メモ
・信用売りの残高が信用買いの残高を上回った場合に発生する可能性がある
・逆日歩発生の有無、発生した場合の金額は前もってわからない
逆日歩の仕組み
制度信用取引の空売りができる銘柄の事を貸借銘柄といいます。
信用取引は仕組みとして、証券会社が投資家に資金や株式を貸し付けることで成り立っています。
ですが証券会社も資金や持ち株に限度があるため、株数などが不足する場合は証券会社が証券金融会社などから借りてまかなっています。
特定の銘柄で空売りをする人が多くなり、信用売り残高が信用買い残高を上回る「売り長(うりなが)」の状態が続き、証券金融会社でも不足する株を手当できない場合に逆日歩が発生します。
このコストは売り長の状態を招いている売り方が負担し、買い方が受け取る仕組みとなっています。
ちなみに買い方が売り方に支払う金利を日歩と呼びます。
株不足となった場合は反対に売り方が買い方に金利を払うことになるので、逆日歩と呼ばれています。
逆日歩メモ
・買い方が売り方に支払う金利を日歩という
・反対に売り方が買い方に金利を払う場合を逆日歩という
逆日歩の計算方法
逆日歩の算出方法は以下の通りです。
品貸料とは、簡単に言うと逆日歩となった銘柄の1株あたりの金額のことです。
この金額は日々、証券金融会社から「1日、1株あたり○円」という表記で発表がされます。
建数というのは、自身が株を空売りした枚数のことです。
新規建受渡日から決済受渡日の前日までの日数とは、簡単に言うと空売りをしている日数のことです。
ただし、逆日歩の計算は受け渡し日ベースで計算されます。
株取引の受け渡しは2営業日後となるので、例として1日に空売りして2日に決済をした場合は3日が新規建受渡日、4日が決済受渡日となります。
この場合は3日から4日の前日までの数ということで、1日分となります。
注意点として、品貸の日数は土日祝日もカウントされます。
例として、3月2日(月曜日)に空売りの注文をして、翌日の3日(火曜日)に買戻し注文をして空売りを決済したとします。
株取引の受け渡しは2営業日後なので、この例の場合が空売りが受け渡されるのは4日(水曜日)で、買い戻しが受け渡されるのは5日(木曜日)となります。
この時、証券金融会社から発表される受け渡しまでに発生した逆日歩が「1日、1株あたり10円」だとしましょう。
この場合は1株あたり10円の逆日歩となるので、自身が例えば300株空売りをしている場合は10円×300株×1日分=3000円となります。
このように、逆日歩の計算は「受け渡し日」を基準として計算されます。
先ほども書きましたが、注意点として品貸の日数は土日祝日もカウントされます。
つまり、土日祝日は受け渡しがおこなわれないのにも関わらず、品貸の日数としてはカウントされてその分の逆日歩が発生してしまうのです。
例えば上記と同じ銘柄を3月4日(水曜日)に空売りの注文をして、翌日の5日(木曜日)に買戻し注文をして空売りを決済したとします。
その場合は受け渡しベースで見た場合、空売りが受け渡されるのは6日(金曜日)で、買い戻しが受け渡されるのは9日(月曜日)となります。
同じく逆日歩が「1日、1株あたり10円」だとしても、今回の場合は新規建受渡日から決済受渡日までの日数が6日(金)~9日(月)となり三日分の逆日歩を支払わなくてはなりません。
300株空売りしている場合は10円×300株×3日分=9000円となります。
大型連休中などはかなりの日数の逆日歩を支払わなくてはならないケースも想定されるため、取引のタイミングには十分注意しましょう。
また、優待クロスの際のクロス取引時にも逆日歩は発生するので、制度信用取引を利用して優待タダ取りをする場合はご注意下さい。
逆日歩メモ
・逆日歩の計算は受け渡し日ベースで計算される
・品貸の日数は土日祝日もカウントされるので注意が必要
逆日歩の満額とは
逆日歩の満額とは、証券金融会社の株不足により逆日歩となっていたものが貸株の返済などによって解消した状態のことです。
満額になると逆日歩は発生せず、信用取引の売り方が負担すべきコストはなくなります。
そもそも逆日歩になると証券会社は株不足の状態を解消するために、翌営業日の10時までに融資の追加申込と貸株の返済申込を受け付けます。
これで株不足が解消すると満額になり、逆日歩が発生しない状態となります。
ちなみに上記の追加申込などをしても株不足が解消しない場合、証券金融会社は株式を調達するために品貸しの申し込みを受け付ける『入札』というものを実施します。
このときの株式調達コストが『逆日歩』となります。
そのため、『入札』をすると株不足は解消しますが、入札を実施したときは「満額」とは呼びません。
つまり『満額』とは入札前に株不足が解消することであり、『満額』となると株不足が解消しているので逆日歩が発生しなくなるということです。
逆日歩メモ
・逆日歩の計算は受け渡し日ベースで計算される
・品貸の日数は土日祝日もカウントされるので注意が必要
逆日歩に買いなしとは
株式取引に関する格言はいくつもありますが、その中に「逆日歩に買いなし」という格言があります。
これはどういう意味かというと、逆日歩は空売りが増加しているので発生します。
つまり多くの人が株価の下落を予測して、もしくは期待している状況ということです。
そのため、下げ始めたら急スピードで下げる可能性もあるので、逆日歩銘柄は買わないほうが良いという格言となります。
ただし、実は「逆日歩に売りなし」という相場格言もあります。
これは逆日歩に買いなしとはまったく逆の格言で、逆日歩の継続期間が長くなると売り方は逆日歩の出費がかさみ、たまらず買い戻しを開始して株価が上がるという意味の格言となります。
また、逆日歩が発生すると買い方はその逆日歩の料金を手にすることができます。
ベテラン投資家などはあえて逆日歩の銘柄を保有し続けたり、あえて逆日歩銘柄を買ったりする場合もあります。
まったく反対の意味の格言があり結局株価は状況次第となりそうですが、それでも「逆日歩に売りなし」が通用するのは短期間と見る向きが多い印象です。
長期的に見た場合、逆日歩銘柄は多くの人が下がると予測しているので無難にいくなら買い控えるのが良いでしょう。