特買いとは、買い注文に大きく偏ったときに表示される「特別買い気配」のことです。読み方は「とくがい」で、反対は特売り(とくうり)です。
板に「特」の文字が出ている間、その銘柄は売買が成立していません。取引所が反対注文を待っている状態です。
この気配は3分ごとに値段を切り上げていき、最終的にストップ高で止まります。その流れを板で追いながら解説します。
この記事でわかること
・板でどう見えるのか
・3分ごとに切り上がる仕組み
・ストップ高までの流れ
・連買いとの違い
目次
特買いとは
特買いとは買いの「特別気配」のことです。特別買い気配ともいいます。
更新値幅を超えないと売買が成立しないときに表示される気配
→ 一度売買を止めて、反対注文を呼び込む
買いが偏れば特買い、売りが偏れば特売りです。株価が一瞬で飛ぶのを防ぐための制度であり、異常事態ではありません。
前提となる「更新値幅」
証券取引所には「直前の価格から一定の範囲内なら、そのまま次の売買を成立させる」というルールがあります。この範囲を更新値幅といいます。
| 直前の価格(気配値段) | 更新値幅(上下) |
|---|---|
| 200円未満 | 5円 |
| 500円未満 | 8円 |
| 700円未満 | 10円 |
| 1,000円未満 | 15円 |
| 1,500円未満 | 30円 |
| 2,000円未満 | 40円 |
| 3,000円未満 | 50円 |
| 5,000円未満 | 70円 |
| 7,000円未満 | 100円 |
| 10,000円未満 | 150円 |
※ 東京証券取引所の定めによる。1万円以上の価格帯についても段階的に定められています。
直前の約定値段が150円なら更新値幅は5円なので、145円〜155円の範囲内なら即座に売買が成立します。この範囲を超える場合に特別気配が出ます。
板で見る:通常ならどう約定するか
直前の約定値段が150円(更新値幅5円)で、次のような板だったとします。
| 売気配 | 気配値 | 買気配 |
|---|---|---|
| 100 | 162 | |
| 100 | 161 | |
| 100 | 160 | |
| 100 | 159 | |
| 100 | 158 | |
| 150 | 100 | |
| 149 | 100 | |
| 148 | 100 | |
| 147 | 100 |
ここに成行の買い注文500株が入りました。制限がなければ、安い売り注文から順に約定します。
150円から162円まで、一瞬で12円上昇してしまう
しかも更新値幅の範囲である155円までに、売り注文が1つもありません。この場合は約定させずに特別気配を表示します。
板で見る:特別気配が表示される
更新値幅の上限である155円に、買い注文500株が「特 500」として表示されます。
| 売気配 | 気配値 | 買気配 |
|---|---|---|
| 100 | 162 | |
| 100 | 161 | |
| 100 | 160 | |
| 100 | 159 | |
| 100 | 158 | |
| 155 | 特 500 | |
| 150 | 100 | |
| 149 | 100 |
これは「155円で500株買いたい人がいます。売ってくれる人はいませんか」という呼びかけです。
ここで155円に売り注文500株が入れば、その場で約定して通常の売買に戻ります。
3分ごとに気配が切り上がる
反対注文が入らない場合、特別気配は3分間隔で更新値幅ずつ値段を切り上げていきます。
| 経過 | 気配値 | 状況 |
|---|---|---|
| 表示 | 155円 | 売り注文を待つ |
| 3分後 | 160円 | 売り注文がなければ切り上げ |
| 6分後 | 165円 | さらに切り上げ |
| … | … | 売り注文が出るまで繰り返す |
特売りの場合は逆に、3分ごとに値段が引き下げられていきます。
値段には1日で動ける上限(制限値幅)があります。そこに到達すると、それ以上は切り上がりません。それがストップ高です。
ストップ高までの流れ
特買いが解消されないまま切り上がり続けると、最終的に制限値幅の上限に到達します。
② 3分ごとに気配が切り上がる
③ 制限値幅の上限に到達=ストップ高
④ そこでも売り注文が足りなければ、買えないまま引ける
⑤ 大引けまで残った場合は比例配分で割り当てられる
⑤の比例配分とは、売り注文の株数を、証券会社ごとの注文量に応じて分配する仕組みです。注文を出しても買えないことがあります。
詳しくはストップ高で解説しています。
特買いと連買いの違い
| 特買い(特別気配) | 連買い(連続約定気配) | |
|---|---|---|
| 約定の有無 | 約定せずに止まる | 約定しながら到達する |
| きっかけ | 注文が一方に偏った | 大口注文・注文の殺到 |
| 基準 | 更新値幅を超える | 更新値幅の2倍を超える |
| 周知の時間 | 3分間隔 | 約1分 |
| 値段の更新 | 段階的に更新する | 更新しない |
| 板の表示 | 特 / S | 連 / K |
覚え方はシンプルです。売買が止まっているのが特買い、動きながら急いでいるのが連買いです。
連続約定気配は1分待って決着しなければ特別気配に切り替わります。詳しくは連買いをご覧ください。
特買いが出やすい場面
特別気配は注文が一方向に集中したときに出ます。典型的な場面は決まっています。
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| TOBの発表 | 買付価格まで一気に買われる。売り手が出てこない |
| 大幅な上方修正 | 前提が変わり、売る理由がなくなる |
| 好材料が出た翌朝 | 夜間に注文が積み上がった状態で寄り付きを迎える |
| 板が薄い小型株 | 少ない注文量でも更新値幅を超えてしまう |
| 連日のストップ高 | 値がつかないまま気配だけが切り上がっていく |
とくにTOBの発表後は、買付価格という明確な目標があるため売り手が現れにくく、何日も特買いが続くことがあります。
寄り付きの特別気配は仕組みが違う
朝の9時前に表示される特別気配は、日中のものとは別の仕組みです。
| 寄り付き前 | ザラバ中 | |
|---|---|---|
| 売買の方法 | 板寄せ | ザラバ方式 |
| 気配の意味 | 始値が決まらない状態 | 売買が一時停止した状態 |
| 解消したとき | その値段が始値になる | 通常の売買に戻る |
好材料が出た翌朝に特買いのまま始値がつかないことがありますが、これは「まだ始値が決まっていない」という意味です。寄り付きで詳しく解説しています。
大引け前は扱いが変わる
2024年11月5日の取引時間延伸により、クロージング・オークションが導入されました。
15:25〜15:30 プレ・クロージング(注文の受付のみ・売買は成立しない)
15:30 板寄せで終値が決まる
このときの値幅はザラバでの最終値段における更新値幅の2倍までとされています。引け際は日中より大きく動く余地があるということです。
特買いを見たときの注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| ① 買える保証はない | 売り注文が出なければ約定しない。ストップ高なら比例配分になる |
| ② 成行注文が危険 | 気配が切り上がった値段で約定する。想定より高くなる |
| ③ 解消後に急落する | 売り注文が一気に出ると、寄った直後に下げることがある |
| ④ 持っていても売れない | 特売りの場合、売りたくても約定しない |
③は「寄り天」と呼ばれる典型的な動きです。特買いで買い上がった直後が、その日の高値になることは珍しくありません。
気配が出ている銘柄に飛び乗る場合は、成行注文ではなく上限を決めた指値を使ってください。
※ 本記事は制度の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
特買いに関するよくある質問
まとめ
特買いは「買いたい人が多すぎて売買を止めている状態」です。3分ごとに値段を上げながら、売ってくれる人を探しています。
この記事のまとめ
・更新値幅の範囲内に反対注文がないと表示される
・表示中は売買が成立していない
・反対注文がなければ3分間隔で気配が切り上がる
・制限値幅の上限まで行くとストップ高
・連買いは約定しながら動く点が違う
・寄り付き前の特別気配は板寄せの仕組み
・解消直後に急落する「寄り天」に注意










