騰落レシオとは、値上がりした銘柄数と値下がりした銘柄数の比率から、相場の過熱感を測るテクニカル指標です。
使い方には偏りがあります。この指標は「天井を当てる」より「底を探る」ほうが機能します。
その理由と、実際の水準の読み方をこの記事で整理します。
この記事でわかること
・120%・70%という目安の意味
・売られ過ぎのほうが当たりやすい理由
・6日と25日の使い分け
・単独では使えない理由
目次
騰落レシオとは
株価指数は値がさ株の影響を強く受けます。一部の大型株が上がれば、多くの銘柄が下がっていても指数はプラスになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 測るもの | 相場の広がり(何銘柄が上がったか) |
| 対象 | 通常は東証プライム市場の全銘柄 |
| 期間 | 25日が最も一般的(6日を使うこともある) |
| 使い方 | 逆張り(売られ過ぎで買い、買われ過ぎで警戒) |
指数が「どれだけ上がったか」を示すのに対し、騰落レシオは「どれだけ多くの銘柄が上がったか」を示します。この違いが指標としての価値です。
計算方法
| 状態 | 計算結果 |
|---|---|
| 値上がりと値下がりが同数 | 100% |
| 値上がりのほうが多い | 100%を超える |
| 値下がりのほうが多い | 100%を下回る |
25日という期間には意味があります。1か月の営業日数にほぼ相当するため、短期のノイズをならしつつ、直近の傾向を捉えられます。
水準の目安
| 騰落レシオ | 判断 | 相場の状態 |
|---|---|---|
| 140%以上 | 極端な買われ過ぎ | 短期的な反落に警戒 |
| 120%以上 | 買われ過ぎ | 利益確定が出やすい |
| 100%前後 | 中立 | — |
| 70%以下 | 売られ過ぎ | 反発の目安とされる |
| 60%台以下 | 極端な売られ過ぎ | 暴落局面。滅多に出ない水準 |
※ 目安は経験則であり、必ずこの水準で反転するというものではありません
売られ過ぎのほうが当たりやすい
ここがこの記事で最も重要な部分です。騰落レシオは上下で機能の仕方が違います。
→ 70%割れが発生しやすい
→ シグナルとして機能しやすい
→ 120%に届きにくい
→ 天井を示さないことが多い
パニックは一斉に起きますが、楽観は順番に広がります。この非対称性があるため、騰落レシオは「底を探る道具」として使うのが実務的です。
強い上昇相場では、120%を超えたまま何週間も上がり続けることがあります。「買われ過ぎだから売る」という判断は、上昇相場では機会損失になりがちです。
2024年8月5日の事例
直近で最も分かりやすい局面が、2024年8月5日の急落です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付 | 2024年8月5日 |
| 東証プライムの25日騰落レシオ | 76.7%(80%を割り込んだ) |
| 意味 | 売られ過ぎとされる70%台に接近した |
※ 出典:各種報道(2024年8月5日時点)
70%を割り込む場面は、数年に一度しか訪れません。だからこそシグナルとしての価値がありますが、同時に「そこからさらに下がることもある」という点も忘れないでください。売られ過ぎは、底を保証するものではありません。
6日騰落レシオとの違い
| 6日騰落レシオ | 25日騰落レシオ | |
|---|---|---|
| 期間 | 約1週間 | 約1か月 |
| 動きの速さ | 激しく上下する | なめらか |
| だましの多さ | 多い | 少ない |
| 用途 | 短期売買のタイミング | 相場全体の過熱感(標準) |
一般に「騰落レシオ」といえば25日のものを指します。ニュースや証券会社のツールで表示されるのも通常は25日です。
他の指標と組み合わせる
騰落レシオ単独での判断は危険です。複数の指標が同時に極端な水準を示したときこそ、信頼性が高まります。
| 組み合わせる指標 | 見るポイント |
|---|---|
| 移動平均線からの乖離率 | 25日移動平均から大きく下方に離れているか |
| VIX指数 | 恐怖の度合い。急騰していれば売られ過ぎを裏づける |
| 信用評価損益率 | 個人投資家の含み損の大きさ |
| 出来高 | 急増していれば投げ売りが出ている可能性 |
騰落レシオが効かない場面
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| 個別銘柄の判断 | 市場全体の指標なので個別株には使えない |
| 強いトレンドが続く相場 | 極端な水準に張り付いたまま推移する |
| 一部の大型株だけが動く相場 | 指数と騰落レシオが逆方向を示す |
| 構造的な下落局面 | 70%を割っても下げ続けることがある |
「指数は上がっているのに騰落レシオが低い」という状態は要注意です。一部の大型株が指数を押し上げているだけで、実際には多くの銘柄が下げている——上昇の裾野が狭い相場を意味します。
どこで確認するか
| 場所 | 特徴 |
|---|---|
| 証券会社のツール | 市況情報のページに掲載されることが多い |
| 株式情報サイト | 日次で更新。過去のチャートも見られる |
| 経済ニュース | 極端な水準になったときに記事になる |
毎日見る必要はありません。相場が大きく崩れたときに確認して、「どこまで売られたか」を測る用途で十分です。
騰落レシオを使うときの注意点
70%を割ったからといって、そこが底とは限りません。危機的な局面では60%台まで下げ、さらに株価が下落することもあります。
市場全体の需給を測る指標です。保有銘柄が売られ過ぎかどうかの判断には使えません。個別ならRSIなど別の指標を使ってください。
120%を超えても上がり続けることがあります。買われ過ぎのシグナルとして使うと、上昇相場を取り逃がします。
一般的には東証プライム市場が対象です。グロース市場を対象にした数値とは水準が異なります。どの市場の数字かを確認してください。
※ 本記事は指標の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
騰落レシオに関するよくある質問
まとめ
騰落レシオは「どれだけ多くの銘柄が売られたか」を測る道具です。天井当てには向きませんが、パニックの度合いを数値で確認できる点に価値があります。
この記事のまとめ
・一般的には25日、対象は東証プライム全銘柄
・120%以上で買われ過ぎ、70%以下で売られ過ぎ
・下落局面のほうがシグナルとして機能しやすい
・2024年8月5日は76.7%まで低下した
・個別銘柄には使えない。市場全体の指標
・単独ではなくVIXや乖離率と組み合わせる











