PEGレシオとは、PERを利益の成長率で割った指標です。成長のスピードを加味して割安・割高を判断します。
PERが高くても、それ以上のスピードで利益が伸びているなら割高とは言えない。この考え方を1つの数字にしたものがPEGレシオです。
目安は1倍とされます。ただし、この指標には「成長率をどこから取るか」で答えが変わるという決定的な弱点があります。
この記事でわかること
・高PERでも割安と判断できる仕組み
・成長率の取り方で結果が変わるという弱点
・マイナスになった場合の読み方
・使ってはいけない業種と場面
・証券会社のツールでの確認方法
目次
PEGレシオとは
PEGレシオ(読み方:ぺぐれしお)は「Price Earnings Growth Ratio」の略です。PERを成長率で調整した指標と考えるとわかりやすくなります。
ここで成長率は「%」の数字をそのまま使います。30%なら0.3ではなく30として計算します。この点は間違えやすいので注意してください。
「1倍」という目安の意味
PEGレシオは、投資家のピーター・リンチが広めた指標として知られています。判断の基準は次のとおりです。
| PEGレシオ | 一般的な評価 |
|---|---|
| 0.5倍以下 | かなり割安とされる |
| 1倍前後 | 妥当な水準 |
| 2倍以上 | 割高とされる |
1倍が基準になる理由は単純です。「PERの倍率と、利益成長率の数字が釣り合っている状態」だからです。
PERが20倍の株なら、年20%で利益が伸びていれば妥当。PERが50倍なら、年50%で伸びていなければ説明がつかない——という考え方になります。
高PERでも割安と判断できる仕組み
PEGレシオの価値は、PERだけでは切り捨てられてしまう銘柄を拾えることにあります。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| PER | 10倍(一見すると割安) | 40倍(一見すると割高) |
| 利益成長率 | 5% | 40% |
| PEGレシオ | 2.0倍(割高) | 1.0倍(妥当) |
PERで見るとA社が割安ですが、PEGレシオでは評価が逆転します。
A社は成長が止まっているのに、PER10倍でも高い。B社は40倍でも、成長のスピードに見合っている。これがPEGレシオの読み方です。
グロース投資で使われることが多いのは、この特性のためです。
PEGレシオ最大の弱点は「成長率」
ここがこの指標を使ううえで最も重要な論点です。
計算式の分母である成長率には、決まった定義がありません。
| 使う成長率 | 性質 | 問題点 |
|---|---|---|
| 来期の予想成長率 | 最も一般的 | 1年だけの数字。ブレやすい |
| 過去3〜5年の実績 | 検証可能 | 将来を保証しない |
| アナリスト予想(複数年) | 中期的 | 予想する人によって数字が違う |
同じ銘柄でも、どの成長率を使うかでPEGレシオは2倍にも0.5倍にもなります。
過去5年の平均成長率 15%を使う → PEGレシオ 2.0倍(割高)
結論が正反対になります。だからPEGレシオを見るときは、必ず「どの成長率を使っているか」を確認してください。
PEGレシオがマイナスになる場合
実際の画面で「−1.5」のような表示を見ることがあります。原因は2つのどちらかです。
| 原因 | 意味 |
|---|---|
| 成長率がマイナス | 減益が予想されている |
| PERがマイナス | 赤字(純損失)の状態 |
どちらの場合も、PEGレシオの数値そのものには意味がありません。「割安」でも「割高」でもなく、この指標が使える状態にないというサインです。
マイナス表示を見たら、PEGレシオでの判断はあきらめて、赤字ならPSR、減益ならPBRやキャッシュフローで見るなど、別の指標に切り替えてください。
PEGレシオが向かない業種と場面
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| シクリカル銘柄 | 景気循環で利益が乱高下し、成長率が意味をなさない |
| 成熟した安定業種 | 成長率がほぼゼロだと、PEGレシオが極端に大きくなる |
| 金融・不動産 | 利益がバランスシートに左右され、成長率の連続性が弱い |
| 一時的な要因で急増益 | 成長率が跳ね上がり、実力以上に割安に見える |
4行目が最も危険です。資産売却や補助金などで一時的に利益が膨らむと、成長率が異常に高くなります。その年だけPEGレシオが0.2倍のような数値になり、極めて割安に見えてしまいます。
だからPEGレシオは単年ではなく、複数年の成長率で見るほうが安全です。
PERとPEGレシオの使い分け
| 対象 | 向いている指標 | 理由 |
|---|---|---|
| 安定した成熟企業 | PER | 成長率が小さく、PEGレシオが機能しない |
| 利益が伸びている企業 | PEGレシオ | 高PERの妥当性を判定できる |
| 赤字の企業 | PSR | PERもPEGレシオも計算できない |
| 設備投資の重い企業 | PCFR | 減価償却で利益が圧縮されている |
PEGレシオは万能ではなく、「利益が順調に伸びている企業」という限られた条件でだけ機能する指標です。
証券会社のツールで確認する
PEGレシオは、多くの証券会社の取引ツールで確認できます。銘柄の詳細画面にある「指標」タブのコンセンサス情報に掲載されているのが一般的です。

PER(予)やEPS(予)、BPS(予)、配当利回り(予)などと並んで表示されます。
ここで表示されるPEGレシオは、多くの場合「予想」ベースです。同じ画面に「過去5年増収比率」や「過去3年平均売上高成長率」も出ているので、予想と実績を見比べると、その数字が信じられるかどうかを判断できます。
スクリーニング機能でPEGレシオを条件に指定できるツールもありますが、抽出された銘柄はそのまま買うのではなく、成長率の中身を必ず確認してください。
PEGレシオを使うときの手順
| 手順 | 確認すること |
|---|---|
| ① 黒字で増益基調か | 赤字や減益ならPEGレシオは使えない |
| ② 成長率の出所を確認 | 来期予想か、過去実績か、何年分か |
| ③ 一時的な要因を除く | 資産売却などで利益が膨らんでいないか |
| ④ 複数年で見る | 単年の成長率は当てにならない |
| ⑤ 同業他社と比べる | 1倍という目安より、相対比較のほうが実用的 |
②を飛ばすと、この指標は使えません。PEGレシオは「PERという確定した数字を、不確実な成長率で割る指標」です。分母の信頼度が、そのまま結果の信頼度になります。
PEGレシオに関するよくある質問
まとめ
PEGレシオは「PERを成長率で割ることで、高PERの妥当性を測る指標」です。有効ですが、分母の信頼度がすべてを決めます。
この記事のまとめ
・成長率はパーセントの数字をそのまま使う(30%なら30)
・目安は1倍前後。0.5倍以下で割安、2倍以上で割高
・PER40倍でも成長率40%なら妥当、PER10倍でも成長率5%なら割高
・最大の弱点は成長率に決まった定義がないこと
・同じ銘柄でも成長率の取り方で0.5倍にも2.0倍にもなる
・マイナス表示は減益か赤字。指標が使える状態にないサイン
・シクリカル銘柄や成熟業種、一時的な急増益の年には向かない
・単年ではなく複数年の成長率で見るほうが安全
※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定の銘柄や投資判断を推奨するものではありません。
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