配当金とは、企業が稼いだ利益の一部を株主に分配するお金です。株を持っているだけで受け取れます。

ここで多くの人が損をしています。NISA口座で株を持っていても、受取方法の設定を間違えると配当金に約20%の税金がかかります。非課税にするには「株式数比例配分方式」を選んでおく必要があります。

この記事では、受取方法の設定・税金の選び方・いつ振り込まれるかという実務の順番で解説します。銘柄選びの話ではなく、受け取る側の手続きが中心です。

この記事でわかること

・配当金の受取方法4つの違いと選び方
・NISAで非課税にするために必須の設定
・税金20.315%と、3つの課税方式の使い分け
・配当金がいつ振り込まれるか
・配当利回りと配当性向の見方
・減配リスクが高い銘柄の見分け方

配当金とは?まず結論から

配当金(読み方:はいとうきん)

企業が事業で稼いだ利益は、内部に蓄えるか株主に分配するかのどちらかに使われます。株主に分配される分が配当金です。1株あたりいくら出すかという形で決まります。

配当を受け取るには、権利確定日の2営業日前である権利付最終売買日の引けまで株を保有している必要があります。1日でも遅れるともらえません。

用語 意味
1株あたり配当金(DPS) 1株につきいくら出すか(例:30円)
配当利回り 1株あたり配当 ÷ 株価 × 100(%)
配当性向 1株あたり配当 ÷ EPS × 100(%)
期末配当・中間配当 年2回に分けて出す企業が多い
記念配当・特別配当 一時的な上乗せ。翌期は元に戻る

最後の行に注意してください。記念配当や特別配当が含まれた配当利回りは、そのままでは翌期に続きません。高利回りに見える銘柄は、内訳を確認する価値があります。

受取方法は4つある

配当金の受け取り方は証券会社で設定します。ここが最も実務的に重要な部分です。

方式 受け取り先 NISAで非課税
株式数比例配分方式 証券口座に自動入金 なる
登録配当金受領口座方式 指定した1つの銀行口座にまとめて ならない
個別銘柄指定方式 銘柄ごとに指定した銀行口座 ならない
配当金領収証方式 郵送される領収証を金融機関の窓口へ ならない
これが最大の落とし穴
NISA口座で株を買った
→ 受取方法が「配当金領収証方式」のまま
→ 配当金に20.315%の税金がかかる

NISAで配当を非課税にするには、株式数比例配分方式でなければなりません。この設定は口座単位で一括して適用されるため、一度確認しておけば済みます。証券会社の口座管理画面から変更できます。

もう1つの実務上の利点があります。株式数比例配分方式なら配当金が証券口座に自動で入るため、そのまま再投資に回せます。銀行に振り込まれる方式では、いちいち資金移動が必要になります。

逆に領収証方式は、郵送された領収証を持って金融機関の窓口へ行く必要があります。受け取り期限を過ぎると失効することがあるため、放置は避けてください。

配当金の税金と3つの課税方式

上場株式の配当金には20.315%の税金がかかります。内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です。

手取りの計算

配当30円 × 100株 = 3,000円
税金 3,000円 × 20.315% = 約609円
手取り 約2,391円(源泉徴収されるので自動的に差し引かれます)

この税金の扱いには3つの選択肢があります。選び方で手取りが変わるため、知っておく価値があります。

課税方式 特徴 向いている人
申告不要 源泉徴収で完結。確定申告しない 手間をかけたくない人
申告分離課税 株の譲渡損と損益通算できる 株で損失が出ている人
総合課税 配当控除が使える。累進税率 課税所得が低い人

※ 税務の取扱いは所得の状況や制度改正によって変わります。実際の判断は税務署または税理士にご確認ください。

使い分けの考え方はこうなります。株で損失が出た年は申告分離課税を選ぶと、配当から引かれた税金の一部が戻ってきます。損益通算によって課税対象が減るためです。

総合課税は配当控除という仕組みが使えます。ただし累進税率が適用されるため、課税所得が多い人は総合課税にすると逆に不利になります。所得水準によって有利・不利が入れ替わる点に注意してください。

配当利回りの計算と目安

配当金の水準を測る指標が配当利回りです。「投資した金額に対して年何%戻ってくるか」を表します。

配当利回りの計算式

配当利回り(%)= 1株あたり年間配当金 ÷ 株価 × 100
例:年間配当60円 ÷ 株価2,000円 × 100 = 配当利回り3.0%

配当利回り 位置づけ 見るべきポイント
1%未満 低配当・成長重視 利益を成長投資に回している
2〜3%台 標準的な水準 配当性向とあわせて見る
4〜5%台 高配当 継続性を確認する
6%超 超高配当 株価下落か一時的な特別配当を疑う

※ 業種や金利環境によって標準的な水準は変わります。目安としてお読みください。

ここに構造上の注意点があります。配当利回りは分母が株価なので、株価が下がるだけで自動的に上がります。業績が悪化して株価が半値になれば、配当が同じでも利回りは2倍に見えます。

したがって高利回り銘柄を見つけたら、「配当が増えたのか、株価が下がったのか」を必ず確認してください。チャートを1年分見れば判別できます。

また、証券会社の画面に表示される配当利回りは会社予想の年間配当をもとに計算されています。予想が修正されれば利回りも変わります。

増配・減配の発表が株価に効く仕組み

配当の変更は株価に直接影響します。金額そのものより、経営陣の姿勢を示すメッセージとして読まれるためです。

発表 意味 株価
増配 利益と資金に余裕がある。将来の見通しに自信 上がりやすい
据え置き 現状維持。市場予想との差で反応が変わる 中立
減配 業績悪化や資金需要。配当目的の株主が離れる 大きく下がる
無配転落 配当を出せない状態 急落することがある

減配のインパクトが大きいのは、配当を目的に保有していた株主が一斉に売るからです。高配当銘柄は配当を理由に買われているため、その理由が消えると保有する根拠がなくなります。

逆に企業側は減配を避けたがります。そのため近年は累進配当政策を掲げる企業が増えています。「減配せず、維持または増配する」と方針として宣言するものです。

配当方針の記載を確認する

・累進配当政策を明記している
・「配当性向○%を目標」と数値で示している
・DOE(株主資本配当率)を基準にしている
いずれも将来の配当が予測しやすくなる材料です。

方針が「業績に応じて決定します」だけの企業は、業績が下振れたときに減配される余地が大きいということです。決算資料や中期経営計画で確認できます。

配当金はいつ振り込まれるか

権利確定日に株を持っていても、すぐには入りません。

1

権利付最終売買日の引けまで保有
権利確定日の2営業日前

ここが唯一の条件です。この日を過ぎてから買っても対象外です。

2

権利確定日(基準日)
多くは3月末・9月末

株主名簿に記載されます。この時点で権利が確定します。

3

株主総会で配当が決議される
3月決算なら6月ごろ

期末配当は株主総会の決議事項です。ここで正式に金額が確定します。

4

支払開始日に振り込まれる
権利確定日から2〜3か月後が目安

株式数比例配分方式なら証券口座に自動入金されます。

つまり3月末の権利を取っても、実際に入金されるのは6月ごろです。資金計画を立てるときはこのタイムラグを見込んでおいてください。

正確な支払開始日は、企業の決算発表資料や配当に関する適時開示に記載されています。証券会社の取引画面でも確認できることが多くあります。

信用取引の配当落調整金

信用取引で権利確定日をまたぐと、配当に相当する金額のやりとりが発生します。これを配当落調整金といいます。

立場 配当落調整金 理由
信用買いの買い方 受け取る 配当の権利は現物の保有者にあるため、相当額を受け取る
信用売りの売り方 支払う 株を借りている側なので、配当相当額を負担する

ここが優待クロスの注意点になります。現物買いと信用売りを組み合わせると、受け取る配当と支払う配当落調整金がほぼ相殺されます。ただし税金の扱いが異なるため、完全に同額にはなりません。

あわせて逆日歩も発生します。制度信用で権利付最終売買日に売建すると最高料率が4倍になるため、優待や配当の価値を超える負担になることがあります。詳しくは買い方・売り方の記事で解説しています。

減配リスクが高い銘柄の見分け方

配当は約束されたものではありません。業績が悪化すれば減らされます(減配)。ゼロになることもあります(無配)。

確認する項目 危険なサイン
配当性向 100%超(利益を超えて配当している)
配当利回りが極端に高い 株価が大きく下がった結果である可能性
記念配当・特別配当の有無 一時的な上乗せなら翌期に消える
営業キャッシュフロー マイナスのまま配当を続けている
配当方針の記載 「業績に応じて」だけで具体性がない

1行目が最も分かりやすい指標です。配当性向が100%を超えていれば、稼いだ利益以上を配当に回しています。いわゆるタコ足配当の状態で、続けられません。

2行目も重要です。配当利回りは株価が下がれば自動的に上がります。利回り6%の銘柄が魅力的に見えても、株価が半分になった結果であれば、その配当自体が危ないというサインです。

逆に、配当方針として「配当性向○%を目標」「DOE(株主資本配当率)○%以上」と具体的に示している企業は、方針の予測がしやすくなります。配当利回りランキングを見るときは、利回りだけでなく配当性向とセットで確認してください。

配当金に関するよくある質問

NISAなら配当金は必ず非課税ですか?
受取方法を「株式数比例配分方式」にしている場合のみ非課税になります。登録配当金受領口座方式や配当金領収証方式のままだと20.315%が課税されます。証券会社の口座管理画面で設定を確認してください。
配当金はいつもらえますか?
権利確定日から2〜3か月後が目安です。期末配当は株主総会で決議されるため、3月決算企業なら6月ごろの支払いになります。正確な支払開始日は企業の開示資料で確認できます。
配当金の税金は何%ですか?
上場株式の配当金は20.315%です。所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計で、通常は源泉徴収されます。NISA口座で株式数比例配分方式にしていれば非課税です。
確定申告したほうが得ですか?
株で損失が出た年は申告分離課税を選ぶと損益通算ができ、配当から引かれた税金の一部が戻る場合があります。課税所得が低い人は総合課税で配当控除を使うほうが有利になることもあります。所得の状況によるため、税務署や税理士に確認してください。
権利確定日の直前に買えば配当がもらえますか?
権利確定日の2営業日前である権利付最終売買日の引けまで保有していれば受け取れます。ただし権利落ち日に配当の分だけ株価が下がるため、配当をもらってすぐ売っても差し引きで利益は出にくくなります。
配当利回りが高い銘柄を選べばいいのですか?
利回りだけでは判断できません。株価が下がった結果として利回りが上がっている場合や、配当性向が100%を超えている場合は減配リスクが高くなります。記念配当・特別配当が含まれていると翌期には利回りが下がります。
信用取引でも配当はもらえますか?
配当そのものは現物の保有者に支払われますが、信用買いの買い方は配当落調整金として相当額を受け取ります。信用売りの売り方は逆に支払う側になります。
配当金領収証を失くしたらどうなりますか?
受け取り期限を過ぎると失効する場合があります。再発行の可否は発行会社や株主名簿管理人の対応によります。こうした手間を避けるため、株式数比例配分方式にしておくのが実務的です。

まとめ

配当金は利益の分配ですが、受け取り方の設定で手取りが変わります。NISAを使うなら、まず受取方法が株式数比例配分方式になっているかを確認してください。

この記事のまとめ

・受取方法は4つ。NISAの非課税は株式数比例配分方式のみ
・税金は20.315%で通常は源泉徴収される
・株で損失が出た年は申告分離課税で損益通算できる
・入金は権利確定日から2〜3か月後
・信用売りの売り方は配当落調整金を支払う
・配当性向100%超は減配リスクが高い

あわせて読みたい:権利確定日とは配当性向とは配当利回りランキング株主優待とはNISAとはEPSとは買い方・売り方とは

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