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SOR注文とは
SOR注文(読み方:えすおーあーるちゅうもん)
SOR注文とは、複数の市場から最良の市場を選択して注文を執行する方法のことです。
SORは「Smart-Order Routing(スマート・オーダー・ルーティング)」の略称となります。
株式取引は「東京証券取引所(東証)」などの取引所のほかに、「PTS(私設取引システム)」や「ダークプール」などで行われることもあります。
通常はそのうち1つの市場に注文を出すため、その市場の価格で売買が成立します。
ですが、株式の価格形成は市場ごとに行われるため、「株価」や「気配」に違いが出ることがあります。
例えば、東証では株価5,000円なのに、PTSでは4,995円といったように差が出ることがあります。
SOR注文を利用した場合、その違いを自動的に判断し、最良気配のある市場(条件の良い市場)で注文を執行してくれます。
つまり、1つの市場のみで注文を執行する場合よりも、有利な条件で売買できる可能性があるわけです。
但し、必ずしも有利な条件で約定するとは限りません。
株価は常に動いているので、わずかな時間差で、結果的に最良気配で約定しないこともあります。
そういうところも理解した上でSOR注文を利用するようにしましょう。
なお、SOR注文を利用できる証券会社では、基本的にデフォルト設定でSOR注文が選択されています。
SOR注文メモ
・SORは「Smart-Order Routing(スマート・オーダー・ルーティング)」の略称
・SOR注文を利用することで、有利な条件で売買できる可能性がある
SOR注文とPTSの違い
SOR注文の複数市場にはPTSも含まれますが、一般的なPTS取引とは区別されます。
SOR注文は、複数の市場から最良の市場を選択して注文を執行する仕組みのことです。
取引時間は、東証立会時間と同じで「9:00~11:30、12:30~15:00」となります。
一方でPTS取引は、PTS市場のみに直接注文を出す取引を指しています。
取引時間は証券会社によって異なりますが、大まかに言うと「8:20~23:59」まで取引可能です。
また、SOR注文を利用できるが、PTS取引は利用できない証券会社もあります。
そのため、2つは違うものとして、理解しておくようにしましょう。
SOR注文のメリット
SOR注文のメリットとして、次の点があります。
・有利な条件で売買できる可能性がある
・手数料が安くなる可能性がある
1つずつ説明していきます。
有利な条件で売買できる可能性がある
SOR注文は、証券取引所だけでなく、PTSやダークプールなどの複数の市場の中から、最良の市場を自動的に判断して注文を出してくれます。
そのため、特定の市場のみに注文を出すよりも、有利な条件で売買できる可能性があります。
例えば、100株の買い注文を出したときに「東証の最良気配が5,000円」「PTSの最良気配が4,980円」だった場合はPTSで約定されます。
つまり、東証のみで注文をするよりも「2,000円(差額20円×100株)」安く株を購入できたことになります。
このように有利な条件で売買できる点は、SOR注文の大きなメリットになるでしょう。
手数料が安くなる可能性がある
SOR注文を利用することで、証券取引所のみに注文を出すときよりも手数料が安くなる可能性もあります。
証券会社によって手数料形態は異なるので一概には言えませんが、SBI証券の場合はPTSで約定が成立すれば「PTS手数料」が適用されます。
約定代金 | PTS手数料 | 取引所手数料 |
~5万円 | 51円 | 55円 |
~10万円 | 94円 | 99円 |
~20万円 | 110円 | 115円 |
~50万円 | 261円 | 275円 |
~100万円 | 508円 | 535円 |
約定代金に加えて、手数料も安くなるので、よりコストを削減できるというメリットがあります。
SOR注文のデメリット
SOR注文にはメリットがある一方で次のようなデメリットもあります。
・逆指値注文や執行条件付注文は利用できない
・有利な条件で取引できるとは限らない
1つずつ説明していきます。
逆指値注文や執行条件付注文は利用できない
株式取引にはさまざまな注文方法がありますが、SOR注文では「逆指値注文」や「執行条件付注文」は利用できません。
そのため、損切りのために「逆指値注文」を行う場合や、寄付にのみ成行注文を執行する、引けにのみ指値注文を執行するなどの「執行条件付注文」を行う場合は、証券取引所のみに注文を出すことになります。
状況に応じて注文方法を使い分けている方も多いと思いますが、そういう方にとってはこの点はデメリットになるかもしれません。
なお、SOR注文では通常の「成行注文」と「指値注文」のみ利用可能となります。
有利な条件で売買できるとは限らない
SOR注文のメリットとして「有利な条件で売買できる」というものがあります。
ただ、これは約束されたものではなく、状況次第で最も有利な条件で約定しないこともあります。
冒頭で説明したように、株価は常に変動しているため、わずかな時間差で価格変動が起こることもあるからです。
SOR注文を利用する上で、この点は理解しておくようにしましょう。
SOR注文を利用できる証券会社
SOR注文を利用できる証券会社は増えてきましたが、全ての証券会社でSOR注文を利用できるわけではありません。
SOR注文を利用できる証券会社は次の通りです。
・SBI証券
・楽天証券
・マネックス証券
・SBIネオモバイル証券
・LINE証券
上記はSOR注文を採用している一部の証券会社です。
基本的に複数市場から最良市場を選ぶ点は同じですが、対象市場に違いがあったりもします。
主要ネット証券の「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」の対象市場を確認してみましょう。
SBI証券のSOR注文
SBI証券の場合、SOR注文の対象市場は次の3市場となります。
・当社優先市場
・ジャパンネクストPTS
・SBBO-X(ダークプール)
当社優先市場は、複数の取引所に上場している銘柄の場合、最も売買高が多い市場として選定しています。
例えば、東証と名証に上場している銘柄があった場合、東証の売買高が100万株、名証が1万株であれば「東証」が選定されます。
SBBO-Xとは、SBIプライム証券が提供するマッチングシステムのことです。
SBBO-X利用者(SBI証券利用者とSBI証券の提携会社)の注文をシステムによりマッチングを行い、立会外市場(ToSTNeT)で約定させる取引のことです(いわゆる「ダークプール」のこと)。
SBI証券の提携会社は、HFT業者2社となっています(2020年8月時点)。
SBBO-Xを利用するには、利用条件を満たした上で申込をする必要があります。
利用条件を満たしていない、申込をしていない場合は「当社優先市場」と「ジャパンネクストPTS」のみがSOR注文の対象市場となります。
また、SBBO-Xは現物取引のみ対象となっています。
楽天証券のSOR注文
楽天証券の場合、SOR注文の対象市場は次の4市場となります。
・東京証券取引所
・チャイエックスPTS
・ジャパンネクストPTS
・Kai-X(ダークプール)
Kai-Xとは、チャイエックス・ジャパン株式会社が提供するマッチングシステムのことです。
Kai-X利用者(楽天証券利用者や取引参加者)の注文をシステムによりマッチングを行い、立会外市場(ToSTNeT)で約定させる取引のことです(いわゆる「ダークプール」のこと)。
取引参加者は、クレディスイス証券、ドイツ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券、岡三証券、楽天証券となっています(2020年9月時点)
Kai-Xを利用するには、利用条件を満たした上で申込をする必要があります。
利用条件を満たしていない、申込をしていない場合は「Kai-X」を除く3市場が対象市場となります。
また、Kai-Xは現物取引のみ対象となっています。
マネックス証券のSOR注文
マネックス証券の場合、SOR注文の対象市場は次の3市場となります。
・東京証券取引所
・ジャパンネクストPTS
・ダークプール
マネックス証券のダークプールは、マネックス証券が運営するマッチングシステムとなります。
ダークプール利用者(マネックス証券利用者と機関投資家)の注文をシステムによりマッチングを行い、立会外市場(ToSTNeT)で約定させる取引のことです。
マネックス証券が運営するダークプールは、外資系ブローカー(機関投資家)が1社参加しています(2020年10月時点)。
ダークプールを利用するには、信用取引口座、または先物・オプション取引口座を開設済みであることが条件となります。
また、ダークプールは現物取引のみ対象となっています。
「信用取引口座」または「先物・オプション取引口座」を開設していない場合や、信用取引の場合は「東京証券取引所」と「ジャパンネクストPTS」のみが対象市場となります。