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インサイダー取引とは

インサイダー取引(読み方:いんさいだーとりひき)

 

インサイダー取引とは、上場会社の会社関係者がその立場から重要事実を知って、その重要事実が公表される前にその会社の株式を売買することをいいます。
「内部者取引」と呼ぶこともあります。

重要事実とは「自社株買い」や「自然災害による損失」、「業績予想の修正」などの重要な情報のことで、わかりやすく言うと「株価に影響を与えるような情報」のことです。

インサイダー取引が行われると、一般投資家は不利な立場となってしまい、株式市場の公正性が損なわれてしまいます。
そのため、金融商品取引法によりインサイダー取引は規制されています。これを「インサイダー取引規制」といいます。

インサイダー取引規制に違反した場合は罰則も設けられているので、インサイダー取引規制の対象者に該当する場合は注意する必要があります。

 

インサイダー取引規制の基本情報

インサイダー取引規制の基本情報として、以下の要点を説明していきます。

・インサイダー取引規制の対象者とは
・インサイダー取引規制の重要事実とは
・インサイダー取引規制の罰則とは

インサイダー取引規制の対象者とは

インサイダー取引規制の対象者は次のとおりです。

(1)上場会社の役員等(親会社・子会社含む)
「役員や社員はもちろん、パートやアルバイトなども含む」
(2)上場会社等の帳簿を閲覧できる者
「総株主の議決権の3%以上を有する株主など」
(3)上場会社に対して法令上の権限を有する者
「許認可権限を有する公務員など」
(4)上場会社と契約締結、契約交渉中の者
「公認会計士や顧問弁護士、取引先など」
(5)(2)又は(4)が法人である場合、その法人の他の役員等
「職務上で重要事実を知り得る者など」

また、元会社関係者(退職等で上場会社を離れた場合など)は、会社関係者でなくなったあとも1年間は対象者となります。

他には、直接的な会社関係者じゃなくても、会社関係者から重要事実を伝えられた「第一次情報受領者」はインサイダー取引規制の対象になります。

「上場会社に勤めていないから大丈夫」と思っていても、家族や友人などに会社関係者がいると「第一次情報受領者」になりやすいので覚えておきましょう。

なお、第一次情報受領者から情報を伝えられた場合は「第二次情報受領者」となり規制対象外となります。
ですが、状況によっては「第一次情報受領者」に該当するようなケースもありますので、取引する際は注意が必要となります。

インサイダー取引規制の重要事実とは

インサイダー取引の重要事実とは、冒頭でも説明したように「株価に影響を与えるような情報」のことです。その上場会社だけでなく親会社や子会社の情報も含まれます。

具体的には、以下の4つに分類されています。

・決定事実
・発生事実
・決算に関する事実
・その他

決定事実

決定事実とは、会社が行うと決定した事項や、公表されている事項に関して行わないと決定した事項のことです。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

増資
減資
自社株買い
株式分割
株式交換
合併
事業譲渡
提携

などがあります。

発生事実

発生事実とは、会社の意思に関係なく発生してしまった事実のことです。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・災害による損害
・主要株主の異動
・上場廃止
・訴訟の提起等
・行政庁による処分

などがあります。

決算に関する事実

決算に関する事実とは、直近で公表された予想値と比較して、一定の差が生じた時の数値のことです。
具体的には、売上高や営業利益、純利益などのことで、「業績予想や配当予想の修正等」が該当します。

その他

その他は上記に該当せず、上場会社の運営等に関する重要な事実で、投資家の投資判断に著しい影響を及ぼすものとなります。

重要事実の公表とは

インサイダー取引規制の対象になるのは、重要事実が公表される前に株式を売買した場合です。
重要事実が公表された後は会社関係者等でも株式の売買は可能です。

重要事実の公表については、以下のように定義されています。

・2つ以上の報道機関に対して公開され、12時間経過したこと
・TDnet等により公衆の縦覧に供されたこと
・有価証券届出書等に記載し、公衆の縦覧に供されたこと

上記のいずれかに該当すれば「公表された」ことになるので、株式の売買が可能となります。

インサイダー取引規制の罰則

インサイダー取引規制違反に該当すると、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、法人については5億円以下の罰金刑が科せられます。

また、違反者に対して金銭的負担を課す課徴金制度もあります。
「重要事実公表後2週間の最高値×買付等数量」から「重要事実公表前に買付け等した株券等の価格×買付等数量」を控除する方法等により算出された金額が課徴金となります。

このようにインサイダー取引は厳しい罰則が設けられているので、くれぐれもインサイダー取引に該当しないように注意しましょう。

なお、インサイダー取引規制違反は、インサイダー取引によって利益を得た場合はもちろんですが、利益が出ていない(または損失を出した)場合や、購入はしたが売却していない場合でも該当するので注意しましょう。

 

インサイダー取引の事例

インサイダー事件として、最も有名な事件は「村上ファンド事件」でしょう。

村上ファンド事件は、2006年に村上ファンドがニッポン放送株でインサイダー取引をしたとして、代表である村上世彰氏が逮捕された事件です。

この事件では、ニッポン放送株を大量に保有する村上ファンドの村上世彰氏が、ライブドアにニッポン放送やフジテレビ等の支配を持ちかけてニッポン放送株の取得を勧誘し、最終的にニッポン放送株を市場で高値で売り抜けて巨額の利益を上げたことからインサイダー取引とみなされたものです。

事件当時は多くのメディアでも取り上げられており、現在もなお、インサイダー取引といえば「村上ファンド事件」という人が多いです。

最終的に有罪判決となり、懲役2年、執行猶予3年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円が確定しました。

インサイダー取引に該当するおそれがある場合は、取引自体を控えたり、インサイダー取引に該当しないように細心の注意を払うようにしましょう。

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