代用有価証券とは

代用有価証券(読み方:だいようゆうかしょうけん)

代用有価証券とは、信用取引の担保として預ける株式等の有価証券のことです。

担保のことを「委託保証金」といいますが、委託保証金は現金だけでなく、一定の条件のもと株式などの有価証券を代用することができます。
現金の場合は額面100%が委託保証金となりますが、代用有価証券の場合は有価証券ごとに決められた掛け目(比率)を有価証券の時価に掛けて算出します。

計算方法は「代用有価証券の時価」×「有価証券ごとに決められた代用掛目」=「代用有価証券評価額(委託保証金)」

たとえば「時価100万円の株式 / 代用掛目80%」の場合は、委託保証金は80万円となります。

代用掛目については、市場の動向などによって、金融商品取引所や証券会社の判断により変更されることもあります。

代用有価証券メモ

・代用有価証券とは信用取引の担保(委託保証金)として預ける株式等の有価証券のこと
・代用有価証券による委託保証金は「代用有価証券の時価」×「有価証券ごとに決められた代用掛目」によって算出される

代用有価証券の種類と代用掛目

代用有価証券の対象になるのは上場株式や投資信託、国債や地方債といった債券など様々なものがあります。

しかし、実際に代用有価証券として利用できるのは証券会社が指定する有価証券となります。

A社では投資信託を代用有価証券として差し入れることができるけどB社ではできないということもあります。

そのため、ここでは以下の主要ネット証券の代用有価証券の種類と代用掛目について紹介していきます。

・SBI証券
・楽天証券
・マネックス証券
・GMOクリック証券
・auカブコム証券

SBI証券の代用有価証券

SBI証券で指定する代用有価証券と掛け目は以下の通りです。

・上場銘柄(ETFやREIT等含む):前営業日の最終価格(気配)の80%
・投資信託:前営業日の基準価額の80%

楽天証券の代用有価証券

楽天証券で指定する代用有価証券と掛け目は以下の通りです。

・上場銘柄(ETFやREIT等含む):前営業日の最終価格(気配)の80%
・投資信託:前営業日の基準価額の80%

マネックス証券の代用有価証券

マネックス証券で指定する代用有価証券と掛け目は以下の通りです。

・上場銘柄(ETFやREIT等含む):前営業日の最終価格(気配)の80%
※福岡・札幌各証券取引所上場銘柄の場合は50%
・ 投資信託(外国籍以外で、分配金受取コースの銘柄):前営業日の基準価額の80%
※公社債投資信託(当社取扱銘柄)の場合は85%

GMOクリック証券の代用有価証券

GMOクリック証券で指定する代用有価証券と掛け目は以下の通りです。

・上場銘柄(ETFやREIT等含む):前営業日の最終価格(気配)の80%

auカブコム証券の代用有価証券

auカブコム証券(旧:カブドットコム証券)で指定する代用有価証券と掛け目は以下の通りです。

・上場銘柄(ETFやREIT等含む):前営業日の最終価格(気配)の80%
・投資信託:前営業日の基準価額の80%

主要ネット証券では主に「上場銘柄」と「投資信託」を代用有価証券として利用できます。
しかしGMOクリック証券のように投資信託を代用有価証券にできないところもありますし、証券会社によって銘柄ごとに異なる掛け目を設定していることもあります

また、上場銘柄についてはその証券会社で取り扱いのある銘柄(市場)が対象です。
たとえば、楽天証券の場合は東京証券取引所(東証)と名古屋証券取引所(名証)の上場銘柄は対象ですが、札幌証券取引所(札証)や福岡証券取引所(福証)の上場銘柄は取り扱っていないので対象外となります。

ですから代用有価証券で信用取引を行う場合は証券会社でその都度確認するようにしましょう。

代用有価証券メモ

・主な代用有価証券は「上場銘柄」と「投資信託」がある
・代用有価証券の種類や掛け目は証券会社によって異なるケースもある

代用有価証券のメリット

代用有価証券は、現金の代わりに有価証券を代用して信用取引ができるメリットがあります。
これにより効率的な資産運用を行うことができます。

たとえば、以下のような保有資産があったとしましょう。

・株主優待や配当狙いで保有する株式
・想定外の値下がりによって塩漬け状態の株式
・長期投資目的で保有した投資信託

本来ならそのまま眠らせておくような資産ですが、代用有価証券として活用すれば信用取引ができるので、より効率的に資産運用を行うことができます。

この点は代用有価証券のメリットになるでしょう。

代用有価証券でも優待や配当はもらえる

代用有価証券は、委託保証金として株式等を証券会社に差し入れることになります。
そのため、株主優待や配当金はもらえるのか?という疑問を持つ方もいるでしょう。

この点については、通常の有価証券と同じように優待や配当はもらうことができます。

ですので、株主優待や配当金をもらいつつ、信用取引で資産を増やしていくこともできます。

貸株サービスを併用するとさらに効率アップ

証券会社によって信用取引口座と貸株サービスを併用することができます。

貸株サービスとは、保有している現物株式を貸し出すことで、貸株金利を受け取ることができるサービスです。
保有している株式を貸すだけで金利を受け取ることができるので、信用取引口座とあわせて利用することでさらに効率的な資産運用ができます。

但し、貸株サービスは証券会社によってルールが異なります。

松井証券などの一部証券会社では、信用取引の担保にしている株式も貸し出すことができます。
しかし、多くの貸株サービスは信用取引で利用していない株式を貸し出せるものです。
そのため、代用有価証券で目一杯の取引をしている場合などは貸株サービスを利用することはできませんし、貸株設定している株式は信用取引に利用できなくなるので信用余力等にも影響が出ることがあります。

代用有価証券のデメリット

代用有価証券のデメリットは以下の通りです。

・代用有価証券の時価で委託保証金が変動する
・NISA口座の保有資産は代用有価証券にできない
・代用有価証券として不適格とされる銘柄もある

代用有価証券の時価で委託保証金が変動する

代用有価証券を利用する場合、委託保証金は代用有価証券の時価をもとに算出されますが、これは日々変動する可能性があるものです。

つまり、代用有価証券の時価によって、委託保証金が減少する可能性もあります。

たとえば、時価200万円の株式を代用有価証券とした場合、委託保証金は以下のようになります。

時価200万円×代用掛目80%=委託保証金160万円

しかし翌日に株式の時価が180万円まで値下がりしてしまったら、

時価180万円×代用掛目80%=委託保証金144万円

160万円あった委託保証金が144万円まで減ってしまうことになります。

信用取引ではあらかじめ定められた「委託保証金率」を維持しなければなりませんが、委託保証金が減少すると委託保証金率は低下してしまうので維持できなくなる可能性があります。

そうなると信用取引している銘柄に含み損がない状態でも「追証」が発生してしまう可能性があります。

この点は代用有価証券を利用する大きなデメリットになると思います。

NISA口座の保有資産は代用有価証券にできない

代用有価証券は、長期投資のために購入した株式等を有効活用できるメリットがあります。

しかし、NISA口座で保有する株式や投資信託は代用有価証券として利用できません。

長期投資の場合、NISA口座を利用されている方も多いと思いますが、そういう方にとってはデメリットに感じられるかもしれません。

代用有価証券として不適格とされる銘柄もある

代用有価証券の代表例として「上場銘柄」があります。

上場銘柄とは、証券取引所に上場している株式やETF・REITのことですが、その中には代用有価証券として不適格とされる銘柄も存在しています。
ですので、塩漬け銘柄を代用有価証券として活用しようと思っても、その銘柄が不適格とされている場合は代用有価証券にはなりません。

また、各銘柄の売買動向により変更となるようなケースもあります。
全ての上場銘柄等が代用有価証券の対象になっているわけではないので、この点は各証券会社で確認するようにしましょう。

代用有価証券メモ

・保有資産を代用有価証券として利用すれば効率的な資産運用ができる
・一方で価格変動リスクがあるため、代用有価証券の値下がりにより追証や損失のリスクが高まることもある
・NISA口座で保有している有価証券は代用できない

代用有価証券に関してよくある質問

代用有価証券の評価額は、なぜ時価の100%ではないのですか?
担保にしている株自体の価格変動リスクをカバーするためです。多くの証券会社では「掛目(かけめ)」を80%に設定しています。
例えば、時価100万円の株を担保にする場合、担保としての価値は80万円と計算されます。
これにより、多少の株価下落があっても、すぐに担保不足に陥らないようなクッションを持たせています。
担保として預けている株の「配当金」や「株主優待」はどうなりますか?
すべて投資家本人の手元に届きます。 代用有価証券は、所有権を証券会社に移すわけではなく、あくまで「担保として差し入れている」状態です。そのため、権利確定日に保有していれば、通常通り配当金も優待も受け取ることができます。
代用有価証券を使った取引で最も怖いリスクは何ですか?
株価下落です。 信用取引で買っている銘柄が値下がりした際、同時に「担保(代用有価証券)」にしている銘柄も値下がりすると、保証金維持率が猛烈な勢いで低下します。現金で保証金を預けている場合よりも、追証が発生するスピードが格段に早いため、細心の注意が必要です。
どんな銘柄でも代用有価証券として認められますか?
基本的には東証などの取引所に上場している株式であれば可能ですが、一部例外があります。 整理銘柄(上場廃止予定)や、流動性が極端に低い銘柄、あるいは証券会社が独自に指定する「代用不適格銘柄」は、担保として認められないか、掛目が0%(価値なし)とされることがあります。
投資信託やETFも代用有価証券にできますか?
はい、多くの証券会社で可能です。 ただし、一般的な個別株の掛目が80%であるのに対し、投資信託は「60%〜80%」など、商品性によって低めに設定されている場合があります。お使いの証券会社のルールを事前に確認しておくのが無難です。
NISA口座で保有している株を、信用取引の代用有価証券に振替えることはできますか?
できません。 NISAは非課税の特別な口座であり、その中の資産を他の口座(特定口座や一般口座)で行う信用取引の担保にすることは制度上認められていません。代用有価証券として使いたい場合は、特定口座または一般口座で株を保有する必要があります。
担保に入れている株が「ストップ安」で売れなくなったらどうなりますか?
担保としての価値(評価額)はストップ安価格で計算され、維持率が急落します。 もしそのせいで追証が発生し、期限までに入金が間に合わない場合、証券会社は他の資産を強制決済するなどの措置をとります。代用有価証券そのものが売れない状況は、投資家にとって逃げ場がなくなる非常に危険な状態です。
代用有価証券を売却したいときは、一度「担保」から解除する手続きが必要ですか?
多くのネット証券では、担保に入れたまま直接「売却注文」を出すことができます。 売却が完了すると、その代金から諸経費を引いた額が「現金保証金」としてスライドされる仕組みになっています。ただし、維持率に余裕がない状態で売却しようとすると、計算上のエラーで注文が通らないこともあるため注意してください。
外国株(米国株など)を日本株の信用取引の代用有価証券にできますか?
原則として、日本国内の信用取引の担保にできるのは「国内上場資産(株・ETF・リート等)」に限られます。 米国株を担保にできるサービスを提供している証券会社も一部ありますが、一般的ではありません。主流はあくまで日本株です。
現金100万円と、代用評価額100万円(時価125万円の株)では、どちらが有利ですか?
資金効率面では「代用有価証券」ですが、安全性では圧倒的に「現金」です。 現金は価格が変動しませんが、代用株はそれ自体が値下がりして「担保割れ」を起こすリスクを常に孕んでいます。初心者の方は、保証金の一部を現金で持ち、余裕を持たせた運用を強くおすすめします。

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