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分別管理とは
分別管理(読み方:ぶんべつかんり)
分別管理とは、簡単に言うと証券会社などが「投資家から預かった資産」と「自社で保有する資産」を分けて管理することです。
わかりやすく言うと、万一「証券会社などが経営破綻した場合」でも、預かった資産を確実に投資家に返還できるように資産を管理する方法となります。
分別管理は、法律で定められた管理方法となっており、証券会社などには分別管理が義務付けられています。
株式投資を行う上で「もしも証券会社が破綻したら資産はどうなるのか?」という不安があるかもしれませんが、この分別管理によって預かり資産は保全される仕組みとなっています。
そのため、万一証券会社が破綻した場合でも資産は投資家に返還されます。
過去に証券会社が倒産した事例もありますが、その時も分別管理が行われていたため、全て投資家に返還されました。
但し、信用取引や先物取引、FX(外国為替証拠金取引)などに関わる資産の一部は、法律上は分別管理の対象外になる場合もあります。
また、分別管理は「証券会社が破綻した場合でも顧客資産を保護する」ものであって、有価証券の評価損や株式の上場廃止、発行者自体のデフォルト(債務不履行)による損失を保護するものではありません。
分別管理メモ
・分別管理を行うことで万一の事態が起きても「顧客資産」は保護される
・分別管理は法律で定められた管理方法で、証券会社などには分別管理が義務付けられている
・但し、信用取引などに関わる資産の一部は、分別管理の対象外になる場合もある
分別管理の方法
顧客資産は帳簿によって「何が誰のものか」を直ちに判別できるよう管理されています。
有価証券の管理方法については、国内株式や投資信託、国内債券は「証券保管振替機構」に預託されており、証券会社の保有する資産と区別して管理されています。
外国株式や外国債券などの外国証券は国内及び海外の保管機関で混同して保管されています。
金銭の分別管理については、返還しなければならない金銭に相当する金額を信託銀行等に信託されています。
これを「顧客分別金」といいます。
信用取引は、未決済建玉に係る評価益は分別管理の対象にはなりませんが、委託保証金や代用有価証券は分別管理の対象となります。
代用有価証券は、時価相当額を「顧客分別金」として信託されます。
なお、信託銀行も分別管理が義務付けられているので、万一破綻しても信託財産には影響はありません。
分別管理と日本投資者保護基金
分別管理がしっかりと行われている限り、証券会社が破綻しても、基本的に資産に影響はありません。
ですが、証券会社が分別管理を怠っていた場合など、資産が円滑に返還されないことも考えられます。
そういう事態に備えて「日本投資者保護基金」というものがあります。
日本投資者保護基金とは、先ほど説明したように証券会社が資産を円滑に返還できないような場合に、返還できない顧客資産について、一人当たり上限1000万円まで補償を行う基金となります(1000万円を超える部分は一般債権者として証券会社へ返還請求することになります)。
国内で第一種金融商品取引業を営む証券会社には、日本投資者保護基金へ加入することが金融商品取引法で義務付けられています。
このように証券会社が行う「分別管理」と、「日本投資者保護基金」の二重の制度で資産は保護されているため、証券会社の破綻によって全ての資産を失ってしまうということはありません。
但し、日本投資者保護基金も全ての取引に関わる資産を補償してくれるわけではありません。
保護する対象と保護の対象外があります。
日本投資者保護基金が保護する対象
保護の対象 |
国内外の株式 |
国内外の債券 |
国内外の投資信託 |
信用取引の委託保証金及び代用有価証券 |
国内取引所の有価証券先物取引や有価証券オプション取引に係る証拠金 |
国内取引所の株価指数証拠金取引に係る証拠金 |
保護の対象外 |
有価証券店頭デリバティブ取引(有価証券先物、オプション、CFD取引を取引所市場外であって相対で行う取引) |
海外取引所の有価証券市場デリバティブ取引(外国の取引所で行われる有価証券先物、オプション、CFD取引) |
取引所の通貨関連取引(東京金融取引所の「くりっく365取引」など) |
外国為替証拠金取引(FX取引) |
信託受益権、組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約などに基づく権利のような第二種金融商品取引業の金融商品に該当するものの取引 |
分別管理と同様に「未決済建玉に係る評価益」は保護の対象外に含まれます。
また、有価証券の評価損や上場廃止による損失なども保護の対象外となります。
日本投資者保護基金が補償するのは、分別管理義務が課されている資産のうち、証券会社が破綻した際に返還できない損失のみとなります。