RSIとは、一定期間の値動きのうち「上昇分がどれくらいの割合を占めるか」を0〜100で示す指標です。相対力指数ともいいます。

70以上で買われすぎ、30以下で売られすぎ——と説明されますが、この目安がまったく効かなくなる場面があります。

さらにRSIには計算方式が2種類あり、証券会社によって表示される数値が違います。その理由まで解説します。

この記事でわかること

・RSIが計算しているもの
・70と30が効かなくなる場面
・ツールによって数値が違う理由
・ダイバージェンスの見方
・他のオシレーターとの使い分け

RSIとは

RSI(読み方:アールエスアイ)とはRelative Strength Indexの略で、DMIと同じくJ・W・ワイルダーが考案しました。

RSIの考え方
値上がり幅の合計
──────────────────
値上がり幅の合計 + 値下がり幅の合計
× 100
値動き全体のうち、上昇が占める割合を出している

すべての日が上昇なら100、すべて下落なら0になります。だから必ず0〜100の範囲に収まります。

MACDとの決定的な違い
MACDは株価の絶対額に依存するため銘柄間で比較できませんが、RSIは0〜100に正規化されているため、株価5,000円の銘柄と500円の銘柄を同じ基準で比べられます。

実際に計算してみる

5日間の値動きで考えてみます。

前日比 区分
1日目 +30円 値上がり
2日目 +20円 値上がり
3日目 −10円 値下がり
4日目 +25円 値上がり
5日目 −15円 値下がり
値上がり幅の合計 = 30 + 20 + 25 = 75円
値下がり幅の合計 = 10 + 15 = 25円
RSI = 75 ÷ (75 + 25) × 100 = 75

ここで注目してほしいのは、上昇した日が3日、下落した日が2日なのに、RSIは75と高めに出ている点です。

RSIは日数ではなく値幅で計算するためです。日数だけを見るサイコロジカルラインとの違いがここにあります。

計算方式が2種類ある

ここが実務でつまずく点です。RSIには2つの計算方式があります。

  ワイルダー式 カトラー式
平均の取り方 指数移動平均 単純移動平均
位置づけ 元祖(考案者本人の方式) 後から作られた簡易版
動き方 なめらか 上下に激しく動く
採用例 TradingView など 楽天証券 など

つまり同じ銘柄・同じ日付・同じ期間設定でも、使うツールが違えばRSIの数値は一致しません。

「RSIが30を割った」が食い違う理由
カトラー式のほうが激しく動くため、先に30を割ることがあります。SNSなどで数値が食い違うのは、多くの場合この違いによるものです。自分のツールがどちらを採用しているか確認しておいてください。

設定値

期間 性質
14日 考案者が推奨した標準。最も使われている
9日 反応が速い。短期売買向き。だましも増える
22日・25日 なめらか。中期の判断向き

短期と長期の2本を同時に表示するツールもあります。まずは14日の1本から始めて構いません。

基本の見方

RSIが高い水準の買われすぎと、低い水準の売られすぎを示したチャート
上段が株価、下段がRSI。高い位置と低い位置が株価の天底と対応している
RSI 状態 一般的な解釈
70〜80以上 買われすぎ 上昇の勢いが強すぎる
50前後 中立 上昇と下落が拮抗している
20〜30以下 売られすぎ 下落の勢いが強すぎる

50という中央値も重要です。50を上回っている間は上昇基調、下回っている間は下降基調と読むこともできます。

70・30が効かなくなる場面

RSI最大の落とし穴です。強いトレンドが出ると、RSIは高い(低い)水準に張り付いたまま動かなくなります。

強い上昇相場で起きること
① 連日ほぼ上昇し、値下がり幅がほとんど発生しない
② 計算式の分母がほぼ「値上がり幅」だけになる
RSIが80以上に張り付く
④ 「買われすぎ」で売ると、そこからさらに上昇する

計算式を見れば当然の結果です。下げる日がなければ、RSIは構造的に100へ近づきます。

相場 RSIの挙動 逆張りの有効性
レンジ相場 30〜70を行き来する 機能する
強いトレンド 高値(安値)圏に張り付く 機能しない

つまりRSIはレンジ相場専用の指標と考えるのが安全です。トレンドが出ているかどうかは、DMIのADXなどで先に判定してください。

トレンド相場でRSIを使う方法

「トレンド相場では使えない」で終わりにする必要はありません。見る水準を変えれば使えます。

相場 RSIが動く範囲 注目する水準
レンジ 30〜70 70で売り、30で買い
上昇トレンド 40〜80あたり 40〜50まで下がったら押し目
下降トレンド 20〜60あたり 50〜60まで戻ったら戻り売り

上昇トレンドではRSIが30まで落ちてくること自体が滅多にありません。30を待っていると、押し目を1度も拾えないまま上昇が終わります。

そこで「トレンドが出ているときは50付近を押し目の目安にする」という考え方が使えます。押し目買いの判断材料になります。

前提を忘れないこと
この使い方はトレンドが継続することが前提です。トレンドが終わっていれば、それは押し目ではなく下落の始まりです。必ず損切り水準を決めてから使ってください。

ダイバージェンス

株価とRSIの動きが逆になる現象です。張り付き問題への対処としても使えます。

株価が高値を更新する一方でRSIが切り下がるダイバージェンスの場面
株価は上昇(赤矢印)だがRSIは切り下がっている(青矢印)
株価 RSI 解釈
高値を更新 前の高値に届かない 上昇の勢いが衰えている
安値を更新 前の安値を割らない 下落の勢いが衰えている

「株価は上がっているが、上げ方が鈍っている」という状態です。数値の水準ではなく、形の比較で判断するのがポイントです。

ただしダイバージェンスが出てもそのまま上昇が続くことは珍しくありません。単独の売買根拠にはしないでください。

他のオシレーターとの使い分け

RSIと似た指標は複数あります。何を見ているかが少しずつ違います。

指標 計算しているもの 性質
RSI 値動きに占める上昇分の割合 値幅を反映する
ストキャスティクス 高値〜安値の中での終値の位置 反応が最も速い
RCI 日付と価格の順位の相関 値幅を無視し、時間を重視
サイコロジカルライン 上昇した日数の割合 値幅を完全に無視する

同系統の指標を並べても似た結論しか出ません。組み合わせるなら、トレンド系の指標と組み合わせてください。

よくある3つの失敗

失敗 何が起きているか
① 70で機械的に売る 強いトレンドでは張り付く。上昇の初期で降りてしまう
② 30で機械的に買う 下落トレンドでは20以下が続く。落ちるナイフをつかむ
③ 数値だけを他人と比べる 計算方式が違えば数値も違う。同じ土俵で話していない

②はジャンピングキャッチと並んで損失が大きくなりやすいパターンです。売られすぎは「安い」という意味ではありません。

使うときの手順

① トレンドの有無を先に確認 トレンド相場ならRSIは使わない
② 50の上下を見る いま買い方と売り方のどちらが優勢か
③ 70・30は「注意信号」として扱う 売買サインではない
④ 反転を確認してから動く 張り付きから抜けたことを確かめる
⑤ 損切りを決めておく 張り付きは想定より長く続く

③が実務上いちばん重要です。RSIは「そろそろ危ない」と教えてくれるだけで、いつ反転するかは教えてくれません。

※ 本記事は指標の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

RSIに関するよくある質問

RSIが70を超えたら売るべきですか?
機械的に売るのは危険です。強い上昇トレンドではRSIが80以上に張り付いたまま株価が上がり続けることがあります。70超えは「買われすぎの領域に入った」という注意信号として扱い、実際に反転を確認してから判断してください。
証券会社によってRSIの数値が違うのはなぜですか?
計算方式が2種類あるためです。指数移動平均を使うワイルダー式と、単純移動平均を使うカトラー式があり、ツールによって採用が異なります。カトラー式のほうが上下に激しく動くため、同じ日でも数値が食い違います。
期間は14日のままでいいですか?
まずは14日で構いません。考案者が推奨した標準的な設定で、最も多くの投資家が使っています。短くすると反応は速くなりますが、だましも同時に増えます。
RSIが30以下なら買い時ですか?
下落トレンドでは20以下に張り付いたまま下がり続けることがあります。売られすぎは「株価が安い」という意味ではなく「下げの勢いが強い」という意味です。反転を確認してから動いてください。
ダイバージェンスは信頼できますか?
勢いの衰えを示す有力な手がかりですが、単独では不十分です。強い相場では何度もダイバージェンスが出たまま上昇が続くことがあります。他のサインと重なったときの補強材料として使ってください。
RSIとストキャスティクスはどちらがいいですか?
目的によります。ストキャスティクスのほうが反応が速い分だましも多く、RSIのほうが落ち着いた動きになります。どちらも同じオシレーター系なので、両方を並べても似た結論しか得られません。
50はどう使えばいいですか?
中立の水準として、相場の基調を判断するのに使えます。50を上回っている間は買い方が優勢、下回っている間は売り方が優勢と読みます。70・30より安定した判断材料になります。
銘柄が違ってもRSIは比較できますか?
できます。RSIは0〜100に正規化されているため、株価の水準が違う銘柄同士でも同じ基準で比べられます。MACDのように絶対額に依存する指標にはない利点です。

まとめ

RSIは「値動きのうち上昇がどれだけを占めるかを測る指標」です。レンジ相場でこそ力を発揮します。

この記事のまとめ

・値動き全体に占める上昇分の割合を0〜100で示す
・70以上で買われすぎ、30以下で売られすぎが目安
・50は買い方と売り方の分岐点
・計算方式が2種類あり、ツールで数値が違う
・強いトレンドでは高値圏に張り付いて機能しない
・レンジ相場で使う指標と考えるのが安全
・ダイバージェンスは勢いの衰えを示す
・0〜100なので銘柄をまたいだ比較ができる

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