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新NISAとは
新NISA(読み方:しんにーさ)
新NISAとは、2024年から開始される新しいNISA制度のことです。
そもそもNISA制度とは何かと言うと、2014年から開始された少額投資における非課税制度のことです。
簡単に言えば、一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託で得られる利益に対して、本来はかかるはずの税金がかからなくなる制度のことです。
以前よりNISA制度の見直しは行われており、令和2年度税制改正では、2023年で終了する一般NISAの口座開設可能期間を5年間延長し、新NISAとして2階建ての制度へ変更、つみたてNISAについては現行の制度を維持しつつ、口座開設可能期間を5年延長する予定となっていました。
しかし2022年12月16日に公表された「令和5年度税制改正大綱」によると、NISAの抜本的拡充・恒久化を行う旨が記載されており、現行のNISA制度や従来の新NISA制度案から大幅に拡充する予定となっています。
それでは具体的にどういった変更点があったのか、新NISA制度の変更点について説明していきます。
新NISA制度の変更点とは
大きな変更点としては、以下のようなものが挙げられます。
・NISA制度の恒久化
・非課税保有期間の無期限化
・非課税投資枠の引き上げ
・つみたて投資と株式投資の併用が可能に
順を追って説明していきます。
NISA制度の恒久化
現行のNISA制度は、口座開設可能期間(投資可能期間)が一般NISAで2023年まで、つみたてNISAが2042年までと決まっています。
そのため、非課税で投資できる期間が年々短くなっていくという問題点がありました。
例えば、2019年から一般NISAを利用した場合、投資可能期間は5年間となりますが、2020年から一般NISAを利用した場合、投資可能期間は4年間となります。
つまり遅く始めた人はNISAの恩恵をあまり受けられない形になります。
しかし新NISA制度では、口座開設可能期間(投資可能期間)の期限を設けず、恒久化となる予定なので、投資開始時期などに関わらず、平等にNISA制度を利用できるようになります。
非課税保有期間の無期限化
非課税保有期間の無期限化も大きな変更点のひとつとなります。
現行のNISA制度は、一般NISAで最長5年間、つみたてNISAで最長20年間という非課税保有期間が設けられています。
非課税保有期間経過後は、課税口座に移管して運用を継続するか、売却して換金する必要があります。
一般NISAにおいては、手続きを行うことでロールオーバー(翌年の非課税投資枠へ移管)できるので、非課税で運用を継続できますが、一般NISAの投資可能期間は2023年までとなっており、それ以降はロールオーバーもできなくなります。
しかし新NISA制度では、若年期から高齢期に至るまで、長期・積立・分散投資による継続的な資産形成を行えるよう、非課税保有期間が無期限化されるため、ロールオーバーの手続きを行う必要もなくなりますし、これまで以上に長期的な運用が可能となります。
非課税投資枠の引き上げ
現在の非課税投資枠は、つみたてNISAで年間40万円、一般NISAで年間120万円が上限となっています。
新NISA制度ではこの投資枠が引き上げられ、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円になります。
つみたて投資枠は、一定の投資信託を対象とする長期・積立・分散投資の枠のことで、現行のつみたてNISAの役割を引き継ぐ部分です。
成長投資枠は、上場株式への投資が可能な現行の一般NISAの役割を引き継ぐ部分となります。
つまり、つみたて投資については現在の3倍、株式投資については2倍まで投資枠が引き上げられます。
どちらも大幅に投資枠がアップしていますが、更に2つの投資枠は併用も可能になるので、合計で年間360万円の投資枠が設けられていることになります。
また、最大投資枠についても、つみたてNISAは最大800万円、一般NISAは最大600万円が上限となっていましたが、新NISAでは生涯非課税投資枠として1800万円が付与されます。
生涯非課税投資枠は、つみたて投資枠として1800万円を全て利用することはできますが、成長投資枠での利用は1800万円のうち1200万円(現行の2倍)までなっています。
例えば、生涯非課税投資枠1800万円を全てつみたて投資枠として使うこともできますし、つみたて投資枠で600万円、成長投資枠で1200万円といった使い方もできます。
新NISAの生涯非課税投資枠は、つみたて投資枠と成長投資枠の総額とはなるものの、現在の制度よりも大幅にアップいるのがわかります。
つみたて投資と株式投資の併用が可能に
現行のNISA制度は「つみたてNISA」と「一般NISA」で完全に分けられているため、NISA口座を使って、つみたて投資と株式投資を同時に行うことができませんでした。
しかし新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の二階建てタイプとなっており、つみたて投資と株式投資の併用が可能になります。
普段はつみたて投資を行い、相場が上昇局面の時のみ株式投資も併用といった使い方ができたり、現行のNISA制度と比較して投資の幅が広がる制度になっています。
現行NISAと新NISAの比較
現行NISAと新NISAをわかりやすくまとめると、以下のようになります。
現行NISA | 新NISA | |||
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
口座開設可能期間 (投資可能期間) |
2042年まで | 2023年まで | 恒久化 | |
非課税保有期間 | 最長20年間 | 最長5年間 | 無期限 | |
非課税投資枠 (年間) |
40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税投資枠 (最大) |
800万円 | 600万円 | 1800万円 (成長投資枠は最大1200万円まで) |
|
併用の可否 | 併用不可 | 併用可能 |
現行NISAを利用している場合はどうなる?
既に一般NISAやつみたてNISAを利用している場合でも、新NISAの投資枠は新たに付与されます。
つまり新NISA制度は全ての人が平等に利用することができます。
例えば、現行のNISA制度を利用して、既に上限投資枠を利用している場合でも、年間120万円と240万円の枠が使えますし、生涯非課税限度額も1800万円が付与されます。
それでは現行のNISAはどうなってしまうのかと言うと、現行の一般NISAやつみたてNISAについては、令和5年末で買付を終了することとなります。
そして令和5年末まで買付した保有分については、新NISAの非課税限度額の外枠で、現行の取扱いを継続する形となっています。
そのためNISAの利用を検討している場合、新制度が開始される前に始めた方が少しお得にNISAを利用できます。
例えば、2023年に一般NISAを始めた場合、一般NISA枠で120万円使えるので、新NISAの生涯非課税投資枠1800万円とあわせて、1920万円の非課税枠を使えることになります。
なお、当記事は2022年12月時点の情報となっており、今後新たにNISA制度の内容が変更になる可能性もあります。
実際にNISAの利用を検討する場合は最新情報をご確認ください。