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FRBとは

FRB(読み方:えふあーるびー)

 

FRBとは、米国の中央銀行制度であるFED(連邦準備制度・FRS)の最高意思決定機関のことです。英語の「Federal Reserve Board」の略称で、日本語で「連邦準備理事会」と呼ばれます。

米国の中央銀行と言えば、厳密にはFED(連邦準備制度・FRS)を指しますが、その中心的な機関がFRBとなっているため、FRBを中央銀行として指していることが多いです。

このFRBは「雇用の最大化」と「物価の安定」を主な目的とした機関で、これらの目的を果たすために米国の金融政策の策定などを行っています。

金融政策の策定というのは、金利の引き上げや引き下げ、量的緩和などをどのようにして行っていくかを定めることです。この金融政策は年8回のFOMCで決定することになりますが、米国の金融政策はマーケットへの影響も大きいことから、FRBの動向は世界中で注目されています。

FRBは7名の理事から構成されており、その中から1名がFRB議長、2名が金融政策担当と銀行監督担当としてFRB副議長に任命されます。2024年4月時点のFRB議長はジェローム・パウエル氏が務めています。

FED(連邦準備制度・FRS)とは

FED(読み方:ふぇっど)


FEDとは、米国の中央銀行制度のことです。英語の「Federal Reserve System」の略称で、日本語で「連邦準備制度」と呼ばれます。

一般的に連邦準備制度は「Federal」の部分を略して「FED」と呼ばれることが多いですが、「Federal Reserve System」の頭文字をとって「FRS」と表記されることもあります。

FRBとFEDの違いについては、FEDは米国の中央銀行の「制度」そのものを指しており、FRB(連邦準備理事会)や連邦準備銀行(FRB)、FOMC(連邦公開市場委員会)などの組織で構成されています。

一方でFRBは米国の中央銀行制度の中の構成組織のひとつとなります。
FEDの最高意思決定機関という重要な組織であり、金融政策の策定や実施、12地区の連邦準備銀行(地区連銀)の監督を担い、日本における日本銀行に相当する機関となります。

連邦準備銀行(FRB)とは

連邦準備銀行(読み方:れんぽうじゅんびぎんこう)


連邦準備銀行とは、米国の中央銀行制度の構成組織のひとつで、米国の12の地区に置かれる銀行のことです。

わかりやすく言うと、地区ごとに置かれる中央銀行のことで、決定された金融政策の実施や、米ドル紙幣(連邦準備券)の発行などを行っています。

12の連邦準備銀行は以下の通りです。

  • ボストン連邦準備銀行
  • ニューヨーク連邦準備銀行
  • フィラデルフィア連邦準備銀行
  • クリーブランド連邦準備銀行
  • リッチモンド連邦準備銀行
  • アトランタ連邦準備銀行
  • シカゴ連邦準備銀行
  • セントルイス連邦準備銀行
  • ミネアポリス連邦準備銀行
  • カンザスシティ連邦準備銀行
  • ダラス連邦準備銀行
  • サンフランシスコ連邦準備銀行

米国は州の独立性が強く、ひとつの州に中央銀行を置くと、その州の力が強くなってしまうため、各地区ごとに中央銀行の役割を持つ連邦準備銀行が置かれています。そして、これらの連邦準備銀行がFRBが決定した金融政策を各地で実施しています。

FRB(連邦準備理事会)はこの連邦準備銀行を統括する役割もあります。
また、連邦準備銀行は英語で「Federal Reserve Bank」となることから、略して「FRB」と表現されることもあるので、連邦準備理事会と混同しないように注意しましょう。

FOMC(連邦公開市場委員会)とは

FOMC(読み方:えふおーえむしー)


FOMCとは、アメリカの金融政策を決定する会合のことで、日本における「日銀金融政策決定会合」や、EUにおける「ECB政策理事会」にあたるものです。
「Federal Open Maket Committee」の略称で、日本語で「連邦公開市場委員会」と呼ばれます。

「FRB(連邦準備理事会)」が定期的に開催するもので、メンバーはFRBの理事全員と12地区の連邦準備銀行総裁5名で構成されています。FOMCの委員長はFRB議長が務め、副委員長はニューヨーク連邦準備銀行総裁が務めます。連邦準備銀行総裁4名については、ニューヨーク連邦準備銀行を除く11行の中から持ち回りで任にあたります。

米国の金融政策はマーケットへの影響も大きいため、金融政策を決定するFOMCは重要イベントのひとつとして世界中で注目されています。

FRBが相場に与える影響とは

FRBは、米国の景気動向を見極めながら、金融政策によって景気変動の調整などを行い、雇用の最大化、物価の安定、安定した経済成長の実現を目指します。

米国の金融政策は、米国経済はもちろん、世界経済にも大きな影響を与えることもあるため、非常に重要なものとなっています。

それでは実際にどのような金融政策を実施しているか、またその金融政策によって株価や為替にはどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。

利上げ・利下げ

FRB(連邦準備理事会)は、米国の中央銀行として、利上げや利下げを実施して経済・物価・雇用などを調整することがあります。利上げとは、政策金利を引き上げることをいい、利下げとは、政策金利を引き下げることをいいます。

例えば、FRBが金利を引き上げると、銀行の貸出金利が上昇し、企業の設備投資や個人の住宅購入などが抑制されます。その結果、経済活動が冷え込み、物価上昇圧力が弱まります。

企業の設備投資縮小は「事業活動の鈍化」に、個人の消費縮小は「企業業績の悪化」に直結するので、それらを懸念して売りが出やすくなり、株価の下落要因になることがあります。
また、金利上昇により米ドルの価値が上がり、外国為替市場でドルが買われやすくなります。

一方、FRBが金利を引き下げると、銀行の貸出金利が低下し、企業や個人の借入コストが下がるため、消費や投資が促進され、経済活動が活発化します。これにより、物価上昇圧力が高まります。

株価については、利上げとは逆に経済活動が活発化するので、将来の企業業績の回復に期待した買いが入りやすくなり、株価の上昇要因になることがあります。
同時に、金利低下によって米ドルの価値が下がり、外国為替市場でドルが売られやすくなります。

FRBは、このような金利調整を通じて、経済成長のスピードをコントロールしています。経済成長が速すぎれば金利を引き上げ、景気後退のリスクがある場合には金利を引き下げることで、「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの目標の達成を目指しているのです。

量的緩和(QE)・量的引き締め(QT)

FRBは、金融政策の一環として量的緩和(QE、Quantitative Easing)を実施することがあります。

量的緩和とは、中央銀行が国債などの資産を大量に購入することで、市場に資金を供給し、長期金利を引き下げる政策です。
これにより、低金利を通じた経済活性化や資産価格の上昇を目指します。

一方、量的緩和の対義語である量的引き締め(QT、Quantitative Tightening)は、景気の過熱やインフレを抑制するために実施されます。

量的引き締めでは、中央銀行が保有する資産を売却または償還期限を迎えた資産の再投資を停止することで、市場から資金を吸収します。
この結果、長期金利が上昇し、経済活動が抑制されることが期待されます。

FRBは、経済状況を見極めながら、量的緩和と量的引き締めを適切に使い分けることで、金融市場の安定と持続的な経済成長の実現を目指しています。量的緩和は主に金融危機後の経済回復期に用いられ、量的引き締めは経済が安定し、インフレリスクが高まった際に実施される傾向にあります。

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