特別決議とは

特別決議(読み方:とくべつけつぎ)

特別決議とは、ひと言でいうと株主総会決議の一種です。

株主総会*の決議は、その要件の違いによって決議の種類が次のように分けられています。
※株式会社の最高意思決定機関

普通決議
・特別決議
・特殊決議
・総株主の同意

各決議によって定足数(決議の実施に必要な人数)と重要性の高さが異なります。

株主総会における重要性の高さ
普通決議 < 特別決議 < 特殊決議 < 総株主の同意

最も重要性が高い決定事項は全員の同意が必要になります。

特別決議は議決権の過半数を持つ株主が出席し、会社の定款の変更や取締役・監査役の解任・会社の解散・合併などを、出席した株主の3分の2以上で可決となる決議です。

わかりやすくいうと、出席した議決権を持つ株主の3分の2以上の賛成によって成立する決議ということです。

特別決議 英語では
Special resolutionまたはSpecial Provisions(Extraordinary resolutionとも)

特別決議メモ

・特別決議は株主総会の一種
・特別決議とは、議決権を持つ出席した株主の3分の2以上で可決する決議のこと

特別決議事項と要件

特別決議を要する事項(特別決議が必要な事項)は比較的重要なものが多いです。
会社の定款の変更や解散など、会社法によって定められている特別決議事項をまとめると以下の通りです。

特別決議事項

定款の変更
事業の全部の譲渡
事業の重要な一部の譲渡
事業の全部の譲受け
事業の全部の賃貸
事後設立
累積投票により選任された取締役の解任
監査役の解任
役員等の会社に対する損害賠償責任の一部免除
資本金の額の減少
株式併合
募集株式の事項の決定
募集株式の事項の決定の委任
株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合
募集株式の割当て(第三者割当増資
解散
解散した会社の継続
譲渡制限株式を会社が買取る際の買取事項の決定および指定買取人の指定
株主との合意による自己株式の有償取得の場合の取得事項の決定
全部取得条項付種類株式の取得に関する決定
会社法第5編(組織変更*・合併・会社分割・株式交換及び株式移転)の規定により総会決議を要する場合
⇒消滅株式会社等の吸収合併契約等の承認等
⇒存続株式会社等の吸収合併契約等の承認等
⇒消滅株式会社等の新設合併契約等の承認
※組織変更は総株主の同意が必要

上記特別決議事項は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席した株主の3分の2以上で可決されるものです。
ご覧のように、定款の変更等のM&Aを行う際には特別決議の承認が必要だということも理解していただけたかと思います。

ちなみに、「募集株式の割当て(第三者割当増資)」については、取締役会が設置されている株式会社の場合、取締役会の決議で良いとされています。

取締役会とは?
取締役会とは、わかりやすくいうと株式会社の業務執行における意思決定等を行う組織のこと(会社法改定により必ずしも設置する必要がなくなった)

ただ、取締役会を設置している非公開会社、つまり株式譲渡制限のある会社の場合は、株主総会の特別決議により委任を受けた取締役会の決議で定めるものとされています。

会社法による特別決議の議決要件と定足数

冒頭でも少し触れましたが、特別決議の議決要件や定足数は会社法(会社法309条2項)によって定められています。

議決要件 議決権を持つ出席した株主の3分の2以上の賛成が必要
定足数 議決権を持つ株主の過半数の出席

また、株主総会のように、投資主総会(投資法人における投資主の総会)においても普通決議事項や特別決議事項があります。

投資主総会における特別決議事項も、規約の変更や合併・解散等があり、議決権の3分の2以上を以って決議されるものです。

特例有限会社における要件

特例有限会社*における特別決議の要件は、総株主の半数以上で議決権の4分の3以上と定められています。(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)

会社法施行以前(2006年5月1日以前)に有限会社だった会社

特別決議メモ

・特別決議事項は定款の変更や株式併合、解散などがある
・議決要件は議決権を持つ出席した株主の3分の2以上の賛成
・定足数は議決権を持つ株主の過半数の出席
・特例有限会社における特別決議の要件は総株主の半数以上で議決権の4分の3以上

特別決議の拒否権

特別決議で可決されても、株式の3分の1を所有している株主には拒否権があります。
拒否権が行使された場合、可決された事項であっても承認が覆るほど強い権利になります。

株主総会における特別決議は出席議決権の3分の2以上の賛成が必要ですが、逆にいえば3分の1を握っていれば特別決議を阻止することができるということです。

また、株式の3分の1を持っていなくても、拒否権を発動する方法があります。

それが黄金株です。

黄金株とは?
拒否権付きの株式のことで、株主総会の決議事項において拒否権を行使できる株式

代理人による議決権行使

特別決議に限らずですが、株主が何らかの事情で株主総会に参加できない場合、代理人によって議決権を行使することができます。
⇒ 委任状を発行していれば株主ではなくとも株主総会に参加することが可能(代理権を証明する書面を株式会社へ提出)

特別決議メモ

・株式の3分の1を有する株主には拒否権の行使が可能
・拒否権は株主総会の決議事項で承認を覆すことが可能なほど強力
・株式の3分の1を持っていなくても黄金株(拒否権付株式)で拒否権同等の行使力がある
・委任状があれば代理人による議決権行使が可能

特別決議と普通決議の違い

株主総会における特別決議と普通決議では重要性の高さが違うということは、ここまでの中でも触れてきました。
重要性の高さの違いとは、扱う事項の重要度が違うということです。

具体的には、

・議決要件
・定足数
・事項

上記3つ、それぞれ特別決議と普通決議では異なります。

普通決議における事項が重要ではないということではありませんが、普通決議と比べてより重要度の高い事項における株主総会は特別決議となります。

それぞれの違いは具体的に次のようになっています。

【定足数】
違い:なし(特別決議・普通決議どちらも議決権を持つ株主の過半数の出席)

【定款の変更に関して】
特別決議:定足数の変更は可能(但し、3分の1までの軽減)
普通決議:定足数の変更や排除が可能

【議決要件】
特別決議:出席する株主の議決権の3分の2
普通決議:出席する株主の議決権の過半数

【定款の変更に関して】
特別決議:変更可能
普通決議:変更不可

特別決議メモ

・特別決議と普通決議の違いは定足数、議決要件における定款の変更可否

特別決議に関してよくある質問

なぜ「普通決議(過半数)」ではなく、わざわざ「特別決議」が必要なのですか?
会社の根本的なあり方を変える決定において、少数株主が不当な不利益を被るのを防ぐためです。 合併や定款変更など、会社の性格をガラリと変えてしまうような重要事項を、単なる「過半数」で決めてしまうのはリスクが高いという考えに基づいています。より重い合意(3分の2)を求めることで、慎重な経営判断を促しています。
特別決議の成立要件にある「定足数」とは何ですか?
議決権を行使できる株主が、最低限どのくらい出席(または委任状提出)している必要があるかという「議事の成立ライン」です。 原則として、議決権の「過半数」を持つ株主が出席している必要があります。ただし、定款で定めることにより、この定足数を「3分の1」まで引き下げることが一般的です。
特別決議における「3分の2以上」の計算は、全株主が対象ですか?
いいえ、「その場に出席した株主(議決権を行使した株主)」の議決権合計が分母になります。 全株主の3分の2ではないため、欠席者が多い総会では、比較的少ない持ち株数でも特別決議を成立させることが可能になります。
投資家がよく口にする「33.4%の壁」にはどんな意味がありますか?
「特別決議を単独で阻止できる(拒否権)」という意味です。 特別決議には「3分の2(約66.7%)」以上の賛成が必要なため、逆に「3分の1超(33.4%以上)」を持っていれば、会社側が出してきた合併や定款変更などの提案をすべて否決できます。買収防衛や経営への影響力を保つための戦略的な重要ラインです。
特別決議が必要な「具体的な例」を教えてください。
主に以下のような「会社の土台」に関わる事項です。
定款の変更(社名変更や事業目的の追加など)
合併、事業譲渡、会社分割(M&A関連)
解散(会社を畳む)
株式併合(複数の株を1株にまとめる)
全部取得条項付種類株式の取得(非公開化の際によく使われる手法)
資本金の額を減らす「減資」は、常に特別決議が必要ですか?
原則として特別決議が必要ですが、例外があります。 例えば、欠損金の補填(赤字を埋める)を目的とした減資などの場合は、普通決議で済むことがあります。資本金の減少が株主の地位に直接的なダメージを与えないケースでは、要件が緩和されています。
自分の持っている株が勝手に「併合」されて端株(1株未満)になりそうです。特別決議で防げますか?
株式併合は特別決議事項です。もし特定の株主を追い出す目的(スクイーズアウト)で行われる場合、3分の1超の議決権を持つ株主がいれば阻止できます。逆に、3分の2以上の賛成が取られてしまうと、少数株主は反対しても最終的に現金化され、株主の地位を失うことになります。
特別決議で賛成が得られなかった場合、その会社はどうなりますか?
提案された議案は「否決」となり、実行できません。 例えば、M&A(合併)が特別決議で否決された場合、経営陣が描いていた成長戦略は白紙に戻ります。これは「経営陣への不信任」と見なされることが多く、株価の急落や、場合によっては現経営陣の退陣につながることもあります。
特別決議よりもさらに条件が厳しい「特殊決議」があるというのは本当ですか?
はい、存在します。 例えば、非公開会社において「株主ごとに異なる権利(配当など)」を定める場合や、公開会社から非公開会社へ移行する際の定款変更などは、議決権の「4分の3以上」の賛成など、通常の特別決議よりもさらに高いハードルが設定されています。
議決権の「3分の2」を1人で持っている会社に、投資するリスクはありますか?
「オーナーの独裁を止められない」というリスクがあります。 1人で3分の2を握っている場合、株主総会の特別決議事項をすべて自分だけで決定できてしまいます。少数株主の意見が通りにくく、自分たちに不都合な定款変更や合併が強行されるリスクがあるため、ガバナンスの観点からは注意が必要です。

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