こちらの記事はYoutube【ZAi探の解説動画チャンネル】でも公開中!!
よかったらチャンネル登録お願いします。

貸借銘柄とは

貸借銘柄(読み方:たいしゃくめいがら)

 

貸借銘柄とは、制度信用取引ができる銘柄の中で信用取引の売り建てが可能な銘柄のことをいいます。
つまり簡単にいうと「空売りができる銘柄」です。

証券取引所や証券金融会社が設定している選定基準を満たしている銘柄が貸借銘柄となります。
ちなみに制度信用取引において空売りができず、買い建てのみが可能な銘柄のことは「貸借融資銘柄」といいます。
貸借融資銘柄は「信用銘柄」と呼ばれる場合もあります。

信用取引は仕組みとして、証券会社が投資家に資金や株式を貸し付けることで成り立っています。
ですが証券会社も資金や持ち株に限度があるため、株数などが不足する場合は証券会社が証券金融会社から借りてまかなっています。

この「証券会社が証券金融会社から借りる」という行為ができるのが貸借銘柄です。
貸借融資銘柄の場合、この「証券会社が証券金融会社から借りる」事ができないため、株券を調達することができないので売り建て(空売り)をすることができません。

 

貸借銘柄メモ

・制度信用取引可能な銘柄で信用取引の売り建てができるのが貸借銘柄
・簡単にいうと貸借銘柄は空売りができる銘柄
・買い建てのみが可能な銘柄のことは「貸借融資銘柄」という

貸借銘柄になる条件や基準

貸借銘柄は証券取引所や証券金融会社が選定基準を定めています。

貸借銘柄の選定基準は以下の通りです。

条件 貸借銘柄選定基準
流通株式の数 2万単位以上
株主数 1,700人以上
売買高
及び
値付率等

直近6か月間において

・月平均100単位以上
・80%以上

企業業績 直前事業年度において

・当期純利益が正である(連結財務諸表提出会社の場合は親会社株主に帰属する当期純利益金額が正である)
・利益剰余金が負でないこと

その他

以下に該当しないこと

・上場廃止見込み
・上場廃止の猶予期間
・監理銘柄、整理銘柄、特設注意市場銘柄に指定された銘柄
・規制銘柄
・その他制度信用銘柄、貸借銘柄として適当でないと認められる銘柄等
・貸株調達可能量からみて貸借銘柄として適当でないと認められる銘柄

選定時期 Ⅰ.定期選定(既上場銘柄を対象に決算期ごとに行う選定)

・決算期の5か月目の月の初日

定期選定の時期は、上記の選定の日から次に到来する決算期の末日まで延長される場合がある。

Ⅱ.早期選定(新規上場銘柄を対象)

1.他市場経由上場銘柄=上場日
2.直接上場銘柄=上場後最初の約定値段が決定された日の5営業日後

早期選定の時期は、上記の選定の日から6か月間延長される場合がある。

備考 早期選定における直接一部上場銘柄は、その他の基準について審査する。

上記の基準は2019年12月時点のものです。
貸借銘柄の選定基準は変更する場合もあります。

 

貸借銘柄メモ

・貸借銘柄の選定基準は証券取引所や証券金融会社が定めている
・流通株式数や株主数、最低限の企業業績などが求められる
・貸借銘柄の選定基準は変更する場合もある

 

貸借銘柄のメリット・デメリット

貸借銘柄を売買する上で、投資家が得られるメリットとデメリットを紹介します。

 

貸借銘柄のメリット

まずはメリットは以下の通りです。

  • 空売りができる
  • 流動性が増す
  • 銘柄の信頼性が高い

ひとつずつ簡単に説明します。

 

空売りができる

貸借銘柄による一番のメリットはやはり空売りができることでしょう。
買い建てでは株価の上昇でしか利益は見込めませんが、空売りをすることで株価の下落局面においても利益を得る事が可能です。

流動性が増す

株式の流動性が高まる点も貸借銘柄であることのメリットです。

これは取引において空売りという選択肢が増えることで、流動性が増し値動きが安定化します。
このあたりは次項の「貸借銘柄の株価の動向」にてもう少し詳しく解説します。

銘柄の信頼性が高い

最後に、銘柄の信頼性が高いこともメリットのひとつでしょう。

貸借銘柄に選定されているということは証券取引所と証券金融会社のチェックが通った企業ということです。
そのため、その銘柄はある程度の信頼性がある優良な企業と考えても良いでしょう。

 

貸借銘柄のデメリット

続いて、貸借銘柄のデメリットは以下の通りです。

  • 逆日歩が発生する可能性がある
  • 銘柄の選択肢が少ない

こちらもそれぞれ説明します。

逆日歩が発生する可能性がある

逆日歩が発生する可能性があるのはデメリットのひとつです。

逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、簡単にいうと信用取引の売り方(空売りをしている人)が支払う事になるコストです。
信用取引の売り残高が、信用買い残高を上回った場合に売り方に発生する可能性がある品貸料となります。

逆日歩はいつ発生するのか、発生した場合の金額がどのくらいなのかが事前にはわからないといった怖さがあります。
空売りをする場合、逆日歩については理解して備えておくべきでしょう。

銘柄の選択肢が少ない

そもそも貸借銘柄が少ないので、銘柄の選択肢が限定されているのはデメリットといえるでしょう。

繰り返しになりますが、貸借銘柄になるには証券取引所と証券金融会社の選定基準をクリアする必要があります。
そのため、東証一部の銘柄は八割以上が貸借銘柄となっていますが、東証二部では三割程度、マザーズやJASDAQの銘柄は二割以下しか貸借銘柄がありません。

 

貸借銘柄メモ

・貸借銘柄のメリットは「空売りができる」「流動性があがる」「銘柄の信頼性が高い」
・貸借銘柄のデメリットは「逆日歩の可能性」「貸借銘柄が少なく選択肢が限定される」

 

貸借銘柄の株価の動向

理論上、貸借銘柄だから株価が上がりやすい、もしくは上がりにくいということはありません。

例えば今まで貸借融資銘柄(空売りができない銘柄)だった企業が貸借銘柄になったからといって、直接的にその事が原因として株価の上下はないでしょう。
ですが、空売りができる事により取引の流動性が高まり、結果として株価の変動の仕方が変わる場合はあります。

例えば貸借銘柄は上がらない、上がりにくいと思われていることも多々あります。
これは「空売りによって株価の上昇が抑えられてしまう」といった考えからです。

確かに貸借銘柄となることで株価の急伸時に空売りが入り、上値が抑えられて値動きが緩やかになることはあるでしょう。
ですが、反対に株価の暴落局面では空売りの買戻しが入り、下落スピードが遅くなるといった特徴もあります。
株価の動きに安定性が増すとも言えるので、投機性が薄まり安全な取引が可能です。

また、信用取引の買い残や売り残は将来的に反対売買によって決済されます。
そのため、買い残は将来の売り圧力、売り残は将来の買い圧力になるともいえます。
信用残高がどちらか片方に偏っている場合には注意が必要です。
「空売りの踏み上げ」といった言葉も聞いたことがある方はいるかもしれませんが、空売りの買戻しを巻き込みながら株価が急伸するような場合もあります。

 

貸借銘柄メモ

・「貸借銘柄だから」という理由で株価に影響が出ることはない
・空売りができることで結果として値動きが変わることはある
・信用取引残高は将来的に反対売買で決済されるので注意しておくと良い

 

貸借銘柄のよくある質問

貸借銘柄ではないのに信用売り残がある銘柄はどういうこと?
どうやって空売りをしているのか?
一般信用の空売りが入っている状態です。
貸借銘柄とは制度信用の売り建てができる銘柄です。
貸借銘柄でなくても、一般信用なら空売りができます。
一般信用とは?
信用取引には制度信用と一般信用の2種類あります。
制度信用と一般信用では返済期限と金利、品貸料、返済期限がそれぞれ違います。
空売り可能な銘柄数も違い、貸借銘柄以外の株でも一般信用なら空売りが可能な場合が多々あります。
ただし全ての銘柄が空売りできるわけではなく、あくまで証券会社毎に一般信用が用意されている銘柄は違います。
また、一般信用の場合は逆日歩が発生しませんが、変わりに金利が高い場合が多いので注意も必要です。
税金は貸借銘柄と一般信用では変わりはありません。

貸借銘柄一覧

貸借銘柄の一覧は以下のページで紹介しています。

スポンサーリンク
おすすめの記事