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信用取引とは

信用取引(読み方:しんようとりひき)

 

信用取引とは、簡単に紹介すると「自己資金以上の取引ができる制度」のことです。

証券会社に現金や保有株を担保(保証金)として預けることで、証券会社から必要な資金を借りて株を買ったり、株を借りてその株を売ったりすることができます。
証券会社によって多少の違いはありますが、担保(保証金)の約3倍までお取引が可能となります。

信用取引は証券会社から資金や株を借りているので、取引手数料のほかに「金利」や「貸株料」など信用取引コストもかかります。この点もあわせて覚えておきましょう。

また、信用取引には2種類あり、それぞれ異なる点もいくつかあります。

・制度信用取引
・一般信用取引

2つの違いはこの後詳しく紹介するので、ここでは簡単に紹介したいと思います。

制度信用取引は、証券取引所の規則で返済期限等が決められている信用取引のことです。

一般信用取引は、証券会社が返済期限等を自由に決められる信用取引のことです。
「一日信用取引」「短期信用取引」「無期限信用取引」など、期限によって呼称が異なることもありますが、制度信用取引以外のものは全て「一般信用取引」に該当します。

 

信用取引メモ

・信用取引は担保を預けて証券会社から資金や株を借りて行う取引
・自己資金以上の取引ができる
・信用取引を行う場合、「金利」や「貸株料」などのコストがかかる
・信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」がある

 

制度信用取引と一般信用取引の違い

制度信用取引と一般信用取引の違いは「取引所が決めたもの」か「証券会社が決めたもの」かという違いがあります。

それでは具体的にどのようなところに違いがあるのか確認していきましょう。

・返済期限
・銘柄できる銘柄
・信用取引コスト

返済期限

制度信用取引の場合は最長6ヶ月という返済期限が設けられています。
これは証券取引所の規則によって決められているものなので、どこの証券会社で取引しても同じです。

一般信用取引の場合は各証券会社が主体となって返済期限を決めています。
そのため、証券会社によって様々な一般信用取引の取り扱いがあります。

例)

・無期限信用取引
・いちにち信用取引
・短期信用取引

期限が定められていない「無期限信用取引」、デイトレに適した「いちにち信用取引」、スイングトレードに適した「短期信用取引」などがあります。

この点は制度信用取引と一般信用取引の大きな違いになるでしょう。

取引できる銘柄

制度信用取引と一般信用取引では、取引できる銘柄にも違いがあります。

制度信用取引の対象銘柄は、証券取引所が指定した銘柄となります。
買い建て(株を買う取引)と売り建て(株を売る取引)ができる銘柄を「貸借銘柄」といい、買い建てのみできる銘柄を「信用銘柄」や「貸借融資銘柄」といいます。

一般信用取引は上場している全銘柄が対象となります。
ただ、あくまでも対象であって、必ずしも全銘柄で一般信用取引が使えるとは限りません。
各証券会社で選定した銘柄となりますので、一部例外となる銘柄もあります。
そのため実際に取り扱いがあるかどうかは、各証券会社で確認する必要があります。

信用取引コスト

制度信用取引と一般信用取引では信用取引コストに違いもあります。

たとえば、制度信用取引の場合は「逆日歩」が発生することもあります。

逆日歩とは、証券金融会社で売り建てに必要な貸株が不足したときに発生するもので、売り建てしている人が支払わなければならない取引コストになります。

つまり、制度信用取引の場合は取引コストが増加する可能性があります。

しかし、一般信用取引の場合は逆日歩がかかることはありません
この点は制度信用取引と一般信用取引の大きな違いになると思います。

他には金利や貸株料などにも違いがあります。
証券会社によって異なるので一概には言えませんが、制度信用取引よりも一般信用取引の方が金利等は高いです。

この点も2つの大きな違いになるでしょう。

信用取引のメリット

信用取引には以下のようなメリットがあります。

・自己資金以上の取引(レバレッジ効果)
・下落局面でも利益を狙える
・株主優待のタダ取り
・同じ銘柄を何度も売買できる

自己資金以上の取引(レバレッジ効果)

現物取引では、自己資金以上のお取引はできません。
自己資金が50万円なら取引できる上限は50万円となります。

信用取引の場合は、証券会社に担保として資金を預けることで、約3倍まで取引が可能になります。
つまり、自己資金が50万円なら、約150万円の取引ができるようになるのです。

取引できる金額が3倍になれば狙える利益も3倍になりますから、この点は信用取引の大きなメリットになるでしょう。

下落局面でも利益を狙える

現物取引の場合は「買い⇒売り」の取引しかできませんので、上昇局面でしか利益を得るチャンスはないです。

信用取引の場合は「売り建て」ができるので下落局面でも利益を狙うことができます。

いわゆる空売りのことですが、証券会社から株を借りて売却し、下落したところで買い戻すことによってその差額を利益として得ることができます。
つまり、信用取引は株価が「上昇している時」と「下落している時」、ともに利益が狙うことができるのでチャンスを増やすことができます。

この点も信用取引のメリットになるでしょう。

株主優待のタダ取り

株主優待のタダ取りとは、「現物取引の買い」と「信用取引の売り」(クロス取引)を活用して、お得に株主優待を獲得することをいいます。

株主優待を獲得するには現物株式を保有している必要がありますが、権利落ち日以降は株価が下落することも多く、結果的に損失が生まれることも多いです。
そこで信用取引の売りを併用し、下落の損失をカバーする形で、結果的に取引手数料(信用取引コスト含む)のみで株主優待を獲得することができます。

信用取引を活用することで、リスクを回避しながら株主優待を獲得できる点もメリットの1つになります。

同じ銘柄を何度も売買できる

信用取引は同じ銘柄を当日何度でも繰り返し売買できるのでデイトレに向いています。

現物取引の場合は「同じ銘柄」を「当日」、「同一資金」で何度も繰り返し売買することはできません。
これは現物取引での差金決済取引が禁止されているためです。

デイトレをする方にとってはこの点も大きなメリットになると思います。

 

信用取引メモ

・信用取引はレバレッジ効果により自己資金以上の取引ができる
・信用取引は売り建てもできるので下落でも利益を得るチャンスがある
・信用取引を活用することで株主優待をお得に獲得できる
・信用取引は同じ銘柄を何度も売買できるのでデイトレにも向いている

 

信用取引のデメリット

信用取引には以下のようなデメリットもあります。

・大きな損失を被る可能性がある
・信用取引コストがかかる

大きな損失を被る可能性がある

信用取引はレバレッジ効果により大きな利益を狙えるメリットがあります。
しかし、予想に反して株価が動いてしまうと大きな損失を被る可能性もあるわけです。

現物取引の場合は「最大損失額=投資額」となりますが、信用取引の場合は投資額(保証金)以上の損失が生じることもあります。

極端にいえば借金を背負ってしまうリスクもあるのです。

この点は信用取引における最大のデメリットであり、注意点となります。

信用取引コストがかかる

信用取引では、売買手数料のほかに信用取引コストがかかります。

主な信用取引コストは以下のようなものがあります。

・金利
・貸株料
・逆日歩

金利は信用取引で株を買うときにかかるコストです。
信用取引で株を買う場合、証券会社から資金を借りて取引をするので、その分の金利を支払う必要があります。

貸株料は空売りするときにかかるコストです。
空売りをする場合、証券会社から株を借りて売り建てすることになります。
最終的に市場で買い戻して株を返却するのですが、その間、株を借りたことに対しての貸株料というものが発生します。

制度信用取引で空売りをする場合は逆日歩がかかることもあります
空売りする場合はこの点も考慮して取引をするようにしましょう。

また、上記の費用以外にも、費用がかかるケースもあります。

例)主に一日信用取引の空売りでかかる費用
・楽天証券の特別空売り銘柄:特別空売り料
・SBI証券のHYPER空売り:HYPER料

通常の信用取引では空売りできない新興市場銘柄などの中から、各証券会社が選定して特別に空売りできるようにした銘柄などにかかります。

信用取引を行う場合は、このあたりについても把握しておくようにしましょう。

 

信用取引メモ

・信用取引は大きな損失が生じることもあるので注意が必要
・信用取引は「金利」「貸株料」「逆日歩」といったコストがかかる

 

信用取引による株価への影響

信用取引に関することで、株価に影響を与えるものがいくつかります。

・信用残高
・増担保規制

信用残高

信用残高とは、未決済の信用取引情報のことで、現在の信用買いや信用売りが入っている量がわかる数値のことです。信用買いの数字を表したものを「信用買残」、信用売りの数字を表したものを「信用売残」などといいます。

信用残高は銘柄ごとに確認することができます。

たとえば、とある銘柄の信用残高が「信用買残100,000」「信用売残1,000」となっていたとしましょう。

上記のケースでは、信用買残が非常に大きいというのがわかります。
つまり、それだけその銘柄を買っている人が多く、現時点では買い需要が高いというのがわかります。

しかし、これは逆を言えば、潜在的な売り圧力が強まっていることにもなります。

制度信用取引の場合は返済期限が決まっているので、いずれは決済して返済しなければなりません。
将来の決済は潜在的な売り圧力となりますから、信用買いが多ければ多いほど、潜在的な売り圧力が強まっていくことにもなります。

そうなると上値が抑えられる原因にもなりますし、いずれ株価が大きく下がる可能性もあります。

信用取引を行う場合もそうですが、信用取引を行わない場合も、この点は覚えておくようにしましょう。

ただ、信用買残単体(または信用売残単体)で判断することはできません。
信用売残とのバランスや信用倍率、現在の株価など総合的に見て判断するようにしましょう。

増担保規制

増担保規制とは、信用取引に関する規制のひとつです。

信用取引は一定の担保(保証金)を預けて取引を行いますが、増担保規制が行われると通常より多くの担保(保証金)が必要になってしまいます。

具体的に数字出して説明すると、

今までA銘柄(150万円)を買うのに50万円あれば良かったけど、今度からは75万円必要になります。

そのため、増担保規制が実施されると、新規の買い需要が低下してしまうので株価の下落につながることもあります。

このように信用取引に関することで株価に影響を与えることはいくつかありますので、これらの情報もしっかりと把握しておくようにしましょう。

増担保規制については「増担保規制とは何か?わかりやすく解説」で詳しく紹介しています。

 

信用取引メモ

・信用残高は上値を抑える原因にもなり得る
・信用残高により今後の株価を予測することができる
・相場の過熱感により増担保規制(信用規制)が実施されることがある
・増担保規制実施されると株価が逆行することもある

 

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