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大口とは
大口(読み方:おおぐち)
大口とは、まとまった注文や約定、またはそういう売買をする人のことをいいます。
明確な基準はありませんが、株価に影響を与えるような大きな数量・金額の取引を総称して「大口」と呼びます。
反対に、株価に影響がない小さい数量・金額の取引を「小口」といいます。
大口の代表格としては「機関投資家」があります。
機関投資家とは、保険会社や銀行、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など、大きな資金を使って株式等で運用を行う大口投資家のことです。
機関投資家などの大口の買いが入ると、株価は大きく動くこともあるので、投資をする上で「大口の有無」は注目されるポイントでもあります。
また、大口と似た言葉で「大口取引」というものもありますが、大口取引は取引所外取引において、一銘柄あたりの売買代金が5000万円を超えるものを指しており、一般的に大口と呼ばれる取引とは区別されます。
大口メモ
・株価に影響を与えるような大きな数量・金額の取引を総称して「大口」という
・反対に株価に影響がない小さい数量・金額の取引を「小口」という
・大口の代表格としては金融機関やGPIFなどの機関投資家がいる
・大口の買いが入ると株価が動くこともあるので、投資をする上で「大口の有無」は注目されるポイントとなっている
大口の見分け方
大口の取引は株価に影響を与えることも多いです。
そのため、大口の有無や動向は、ひとつの判断材料に使うことができます。
では、大口の有無や動向を見るにはどういう方法があるのでしょうか。
リアルタイムで確実に大口の動向を把握することはできませんが、以下のような情報を確認することで大口の有無や動向の予想をすることはできます。
・出来高
・歩み値
・大量保有報告書(変更報告書)
・空売り残高報告書
・投資部門別売買状況
1つずつ説明していきます。
出来高
出来高は売買が成立した数量のことです。
その日どれくらいの取引があったのかを示しています。
出来高は日々変動するものですが、材料などのニュースがない場合はそこまで大きく変動しません。
ですが、大口が参入している場合は、一気に買い集めたりするので出来高が急増することもあります。
そのため、何もない状態で出来高が急増した場合は、大口が参入している可能性があると考えることができます。
歩み値
歩み値とは、取引時間中に成立した売買の履歴を時系列で表したものです。
売買が成立する度に更新されていくので、リアルタイムでどういう売買が行われているのかを確認できます。
大口の注文は、小口の注文と比較して1回あたりの売買金額が大きくなるので、歩み値を確認することで大口の売買を察知したり、動向を探ることができます。
たとえば、複数回大きな買い注文が約定していく場合は、大口の買いが入っている可能性があると予想を立てることができます。
但し、歩み値は個々の約定データを個別で表示しているわけではありません。
また、大口でも小分けで売買することもあるので、正確なデータは確認できません。
この点も考慮して参考にするようにしましょう。
大量保有報告書(変更報告書)
株式取引には「5%ルール(大量保有報告制度)」というものがあり、同一銘柄の保有割合が5%を超えたときに「大量保有報告書」、その後に保有割合が1%以上増減した場合は「変更報告書」を提出する義務があります。
大量保有報告書には、保有者や保有目的、保有割合などが書かれています。
つまり、大口投資家が5%を超える株式を取得した場合、誰が保有して、どういう目的で投資をしたのか、またどれくらいの保有があるのかなどを把握することができます。
また、変更報告書によって保有割合の増減も確認することができるので、大口投資家の動向を把握することもできます。
但し、大量保有報告書(変更報告書)は事後報告となるので、実際に確認できるのは大口投資家が株を売買した後になります。
大口投資家の状況を確認するために有効ではありますが、タイムラグもあるのでこの点も踏まえた上で参考にするようにしましょう。
空売り残高報告書
空売り残高報告書とは、空売り残高を報告するために提出する書類のことです。
発行済株式総数の0.2%以上の空売り残高がある場合に提出する義務があり、空売り残高割合が0.5%以上になると「空売り残高に関する情報」として公表されます。
「空売り残高に関する情報」は、日本取引所グループのホームページなどで確認することができ、誰がどれくらいの空売りをしているのかが把握できます。
つまり、「空売り残高に関する情報」を確認することで、0.5%以上の空売りをしている大口がいるかどうかを確認することができます。
ただ、大量保有報告書(変更報告書)と同じように、空売り残高報告書も事後報告となるのでタイムラグが生じます。
この点も踏まえた上で参考にするようにしましょう。
投資部門別売買状況
投資部門別売買状況とは、簡単に言うと投資家別の売買状況をまとめたものです。
投資主体別売買動向とも呼ばれており、法人、個人、海外投資家、証券会社ごとに売り買いの状況が示されています。
投資部門別売買状況は、特定の銘柄に対する大口の有無ではなく、相場全体の動きを掴むために確認する情報となります。
国内の株式市場には多くの参加者が存在します。
その中で海外投資家の比率は6割以上を占めており、海外投資家の売買状況が買いに傾くと株価は上昇傾向、売りに傾くと下落傾向になりやすいので相場全体の動きを把握するときに役立ちます。
大口メモ
・ただ、出来高の増加や歩み値から予想を立てることはできる
・また、タイムラグはあるものの、大量保有報告書や空売り残高報告書から動向を読み取ることもできる
大口が株価に与える影響
大口は、まとまった注文を出したりするので、通常の注文よりも株価に与える影響は大きくなります。
また、機関投資家が参入する銘柄は、あらゆる情報から分析を行って、上昇余地があると判断した銘柄です。
簡単に言うと「プロが上がると予想した銘柄」となります。
そのため、目ぼしい材料がない銘柄に比べると期待値も高くなります。
一般的に機関投資家などの大口が参入すると、株価も同じ方向へ動くとされています。
具体的には、
・大口の買いが入ると株価も上がりやすい
・大口の売りが入ると株価も下がりやすい
大口の取引に連動した形で株価も動きやすい傾向にあります。
また、大口が株価に影響を与えるタイミングとして「大口の買い集め」や「大口によるふるい落とし」などがあります。
大口の買い集め
大口の買い集めとは、簡単に言うと少しずつ株を購入して、保有株数を増やしていく行為のことです。
機関投資家は、大きな資金を使って株を買うので、一銘柄あたりに投入する金額も大きくなりますが、株価にあまり影響を与えないように複数回に分けて買い集めていきます。
ですが、大口による買い注文は比較的大きいので、買い集めをしている期間は株価が上昇基調になることもあります。
また、一度にまとまった注文を出すこともあり、そういう場面では大きく株価が動くこともあります。
大口によるふるい落とし
ふるい落としとは、本格的な上昇局面に入る前に、売り圧力を弱めるために株価を急落させることです。
大口の買い集めからふるい落としまでの間で、株価は上昇基調になることも多いですが、株価を一段高させるためには売り圧力を極力減らす必要があります。
そのために行うのが「ふるい落とし」となります。
個人投資家などは逆指値を入れていたりもするので、大口による売り仕掛け(ふるい落とし)によって、そういう売り圧力になるポジションを排除することができます。
また、逆指値も絡むことから売りが売りを呼び、投げ売りを誘発することにもなります。
そうすると最終的に売り圧力が弱まり、値動きを軽くすることができます。
そして、大口によるふるい落としの後は、株価が大きく上昇する可能性があります。
但し、株価の急落はふるい落としだけでなく、下降トレンドへの転換サインの可能性もあります。
大口によるふるい落としの場合は株価の上昇が見込めますが、下降トレンドの場合はさらに株価が下落していく可能性が高いです。
そのため、大口によるふるい落としを狙って売買をする場合は「急落=ふるい落とし」という考えに固執せず、下降トレンドへの転換も視野に入れて投資判断をすることが大切です。
大口メモ
・一般的に大口が参入すると、その方向へ株価も動く傾向がある
・株価の影響を与えるタイミングとしては「買い集め」や「ふるい落とし」がある
・特にふるい落としのタイミングは株価が大きく動く可能性もあるので注目ポイントのひとつになる