株のGUとは?10%以上の窓は3割が埋まらない|ギャップアップ実測

ギャップアップ(GU)とは、その日の始値が前日の高値を上回って寄り付き、チャートに空白ができることです。この空白を「窓(まど)」といいます。

窓が開くのは、取引所が閉まっているあいだに材料が出たときです。夜のうちに買いたい人が増えても、売買は翌朝9時まで成立しません。

そして実務上、最も注意すべき点があります。寄り付きで成行注文を出すと、いくらで買えるか分からないまま約定します。

この記事でわかること

・ギャップアップと「窓」の意味
・なぜ窓が開くのか(板寄せの仕組み)
・窓が開く4つのきっかけ
・窓の種類と、それぞれが示すもの
・窓埋めは必ず起きるのか
・1,118銘柄の実測:窓の大きさ別の窓埋めの確率
・寄り付きの成行注文が不利になる理由
・飛び乗る前に確認する3つのこと
・保有していた場合にどうするか

📌 下向きに窓が開く場合は ギャップダウンとは をご覧ください。逆指値が効かない仕組みなど、リスク管理の側を扱っています。

ギャップアップとは

ギャップアップ(読み方:ぎゃっぷあっぷ)は、前日の値動きの範囲を飛び越えて、上に離れて始まることです。

項目 内容
別名 窓を開ける/窓開け/ギャップ
状態 始値 > 前日の高値。ローソク足のあいだに空白ができる
意味するもの その価格帯で売買が成立していない
起きる時間 取引所が閉じているあいだ(夜間・週末)に材料が出たとき
反対 ギャップダウン(下に窓を開ける)

「その価格帯で売買が成立していない」という点が、あとで効いてきます。誰も買っていない=売りたい人も買いたい人も、そこに待機していない空白地帯だからです。

ギャップアップ率の求め方とGUスタート

ギャップアップ率は、寄り付きが前日の終値からどれだけ上で始まったかを%で表した数字です。ランキングやスクリーニングでは、一般にこの前日終値比が使われます。

計算式

ギャップアップ率(%)=(当日の始値 − 前日の終値)÷ 前日の終値 × 100

例
前日の終値 1,000円
前日の高値 1,020円
当日の始値 1,060円
ギャップアップ率 6.0%(60円 ÷ 1,000円)
チャート上の窓の幅 40円(始値1,060円 − 前日高値1,020円)

上の例のように、率は前日の終値と比べ、チャートの窓は前日の高値と比べます。始値が前日の終値より上でも、前日の高値を超えていなければ窓は開きません。

「GUスタート」「GU寄り」は、ギャップアップして寄り付いたことを指す株クラの言い方です。反対に下で始まれば「GDスタート」と言います。

なぜ窓が開くのか

ここを理解すると、寄り付きで何が起きているかが見えます。

① 15:30 大引け
取引所が閉まる。ここから翌朝まで売買できない
② 夜間に材料
好決算・上方修正・提携など。買いたい人が増える
③ 注文が積み上がる
売買は成立せず、買い注文だけが板に溜まる
④ 9:00 板寄せ
溜まった注文を一度にまとめて処理し、始値が決まる

始値は「買い注文と売り注文の数が釣り合う価格」で決まります。買いが圧倒的に多ければ、その価格は前日終値より大きく上に決まります。

つまり窓は、板寄せの結果として自動的にできるものです。誰かが意図的に飛ばしているわけではありません。

板寄せの詳しい仕組みは寄り付きとは、注文の溜まり方は気配とはで解説しています。

窓が開く4つのきっかけ

きっかけ 出るタイミング
好決算・上方修正 大引け後の15時以降に開示されることが多い
提携・買収・新製品の発表 同上。適時開示として夕方に出る
米国市場の急騰 日本時間の深夜〜早朝。全体が連れて上がる
週末・連休をまたぐニュース 土日に出た材料が、月曜の寄り付きに集中する

3行目と4行目は、個別の企業に何も起きていなくても窓が開くケースです。市場全体の要因なので、銘柄を調べても理由は見つかりません。

米国発の材料が週明けにまとめて効く例としてはジャクソンホール会議の解説もあわせてご覧ください。

窓の4つの種類

テクニカル分析では、窓が出た位置によって意味を分けます。

種類 出る場所 示すもの
コモンギャップ もみ合いの途中 意味は薄い。すぐ埋まりやすい
ブレイクアウェイ もみ合いを上に抜けた直後 トレンドの始まり。出来高を伴えば強い
ランナウェイ(measuring) 上昇トレンドの途中 勢いの継続。中間地点の目安とされる
イグゾースチョン 上昇の最終局面 力尽きる直前。天井のサインになりやすい

問題は、この4つを「その日のうちに」見分けるのが難しいことです。ランナウェイなのかイグゾースチョンなのかは、あとになってチャートを振り返って初めて分かります。

その場で使える手がかり

・すでに何日も上げ続けたあとの窓ほど、イグゾースチョンの可能性が上がる
・出来高が異常に膨らんだ窓は、天井付近であることが多い
・逆に長いもみ合いを抜けた最初の窓は、続きやすい

→ 出来高と価格帯別出来高を必ずセットで見る

窓埋めは必ず起きるのか

「窓は埋まる」という言葉をよく聞きます。結論から言えば、必ずではありません。

よく言われること 実際
窓は必ず埋まる 必ずではない。数年埋まらない窓もある
窓が開いたら空売りのチャンス 危険。そのまま上がり続けることがある
埋まるまで待てばよい 待つあいだ資金が拘束される。機会損失になる

ではなぜ「窓は埋まる」と言われるのか。窓の内側は、誰も売買していない空白地帯だからです。

抵抗になる注文がないため、いったん価格がそこに戻り始めると、するすると通過します。これが「埋まりやすい」ように見える理由です。

埋まりやすい窓・埋まりにくい窓

埋まりやすい
・材料が思惑や噂の段階だった
・出来高がさほど増えていない
・もみ合いの途中で開いた(コモンギャップ)

埋まりにくい
・業績そのものが変わる材料だった(上方修正・大型受注)
・出来高を大きく伴って上抜けた
・その後も高値圏で推移し、新しいしこりができた

要するに「株価が上がった理由が本物かどうか」で決まります。チャートの形だけでは判断できません。

窓の大きさで、埋まる確率はまったく違う

東証の1,118銘柄について、過去3年のギャップアップ114,859回を集計し、窓が何日で埋まったかを数えました。窓が埋まるとは、その後の安値が前日の高値まで下がることです。

窓の大きさ 当日に埋まった 5営業日以内 60営業日で
埋まらず
0〜2%
98,753回
79.3% 91.7% 2.6%
2〜5%
12,500回
55.8% 79.2% 7.9%
5〜10%
2,644回
30.0% 55.6% 22.0%
10%以上
962回
16.9% 42.7% 32.1%

※ 東証の1,118銘柄の日足(2023年9月〜2026年9月、Yahoo!ファイナンス)で集計。窓の大きさは前日の終値に対する始値の上昇率。始値・高値・安値・終値がすべて同じ日(売買が成立しなかった日やストップ高で張り付いた日)は除いています。

2%未満の小さな窓は、79.3%がその日のうちに埋まっています。ところが10%以上の窓では、当日に埋まったのは16.9%だけで、32.1%は60営業日(約3か月)たっても埋まりませんでした。

「窓は埋まる」という言葉が当てはまるのは、主に小さな窓です。大きく開いた窓を見て「どうせ埋まる」と空売りしたり、埋まるのを待ち続けたりするのは、確率の面からも分が悪いと言えます。どちらになりそうかは、上の章で見た「株価が上がった理由」で見極めます。

寄り付きの成行注文が不利になる理由

実務上、この記事で最も重要な章です。

ギャップアップしそうな銘柄に、朝の寄り付きで成行注文を出すとどうなるか。

注文の種類 寄り付きでの挙動
成行 必ず約定するが、いくらで買えるか分からない
指値 価格は決められるが、始値がそれより上なら約定しない

成行は板寄せで最優先で処理されます。つまり「いくらでもいいから買う」という意思表示です。

買い注文が殺到しているときに成行を出すのは、行列の中で「いくらでも払います」と言うのと同じです。

現実的な対処

・指値で上限を決める。約定しなければ縁がなかったと考える
・寄り付き直後の数分は見送る。値動きが最も荒い時間帯
・どうしても買うなら、寄り付き後に落ち着いてから
・ストップ高の場合、そもそも買えないことがある

→ 「買えなかった」は損ではない

飛び乗る前に確認する3つのこと

確認 見るもの
① 材料の中身 決算短信や適時開示の一次情報。一時的な利益か、本業の改善か
② すでに何日上げたか 上げ続けたあとの窓ほど終盤の可能性が上がる
③ 上に厚い壁はないか 価格帯別出来高。すぐ上に「しこり」があれば止まりやすい

③は見落とされがちですが有効です。窓を開けて上昇しても、その先に過去の含み損を抱えた投資家が大量にいれば、そこで売りが出て止まります。

保有していた場合にどうするか

すでに持っていた銘柄がギャップアップした場合の考え方です。

一部を利益確定する
半分売って残りを持つ。「全部売って後悔」も「全部持って後悔」も避けられる
損切りラインを引き上げる
窓の下限を目安にする。そこを割ったら勢いが失われた合図

窓を開けた日の安値は、明確な節目になります。そこを割り込むと「窓埋め」に向かう動きになりやすいため、損切りの基準として使いやすい水準です。

ギャップアップを空売りしてはいけない理由

「上がりすぎているから下がるはず」という発想は、この局面では特に危険です。

リスク 内容
損失に上限がない 買いは最大でも投資額まで。空売りは株価が上がり続けると青天井
踏み上げ 空売りの買い戻しが、さらに株価を押し上げる
逆日歩 株が不足すると1日あたりの費用が跳ね上がる
ストップ高で決済できない 買い戻したくても売り手がいない

窓埋めを狙った空売りは、勝率は高くても1回の負けが致命傷になりやすい戦い方です。仕組みは信用取引とはで解説しています。

ギャップアップに関するよくある質問

保有株がギャップアップしたらどうすればよいですか?
一部を利益確定して残りを持つという方法が現実的です。全部売って後悔する事態も、全部持って後悔する事態も避けられます。あわせて損切りラインを引き上げてください。窓を開けた日の安値は明確な節目になり、そこを割り込むと窓埋めに向かう動きになりやすいため、基準として使いやすい水準です。

まとめ

ギャップアップは「市場が閉じているあいだに溜まった注文が、朝に一度に噴き出した跡」です。

この記事のまとめ

・始値が前日の高値を上回り、チャートに窓(空白)ができること
・窓が開くのは、取引所が閉じているあいだに材料が出るため
・始値は板寄せで「買いと売りが釣り合う価格」として決まる
・きっかけは決算・上方修正・提携・米国市場・週末のニュース
・窓は4種類。出来高が異常に多い窓は天井付近のことが多い
・🔴 窓は必ず埋まるわけではない。業績が変わる材料なら埋まりにくい
・🔴 寄り付きの成行注文は、いくらで買えるか分からない
・指値で上限を決め、約定しなければ見送る
・飛び乗る前に「材料の中身」「何日上げたか」「上のしこり」を確認
・窓埋め狙いの空売りは、損失に上限がなく危険

※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定の銘柄や投資判断を推奨するものではありません。テクニカル指標は将来の株価を保証するものではありません。

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→ 株のGDとは?逆指値でも狙った値段で売れない理由

開いた窓が何日で埋まるかを、日経平均の325回で実測しています。
→ 窓開け・窓埋めとは?325回を実測してわかった埋まる確率

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→ 寄り付きとは?始値が決まる板寄せの仕組みと注文の出し方

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