DMIとは、トレンドの「方向」と「強さ」を別々の線で示す指標です。J・W・ワイルダーが考案しました。
多くのテクニカル指標が上がるか下がるかを当てようとするのに対し、DMIは「そもそも、いまトレンドがあるのか」を判定できる数少ない指標です。
この性質があるため、他の指標を使う前の下調べとして機能します。
この記事でわかること
・ADXが方向を示さない理由
・レンジ相場の見分け方
・±DIのクロスの使い方
・他の指標との組み合わせ
DMIとは
DMI(読み方:ディーエムアイ)とはDirectional Movement Indexの略で、日本語では方向性指数と呼ばれます。

ADX → トレンドの強さを示す
役割が完全に分かれているのがDMIの特徴です。方向と強さを1本の線に混ぜていません。
4つの線
| 線 | 示すもの | 上がるとき |
|---|---|---|
| +DI | 上昇の勢い | 高値の切り上げが続くとき |
| −DI | 下落の勢い | 安値の切り下げが続くとき |
| ADX | トレンドの強さ | 上下どちらでも一方向に動くとき |
| ADXR | ADXをならしたもの | ADXより遅れて動く |
ADXRは当日のADXと一定期間前のADXの平均です。ADXの動きを滑らかにしたもので、表示されないツールもあります。
ADXは方向を示さない
ここがDMIで最も誤解されやすい点です。ADXが上昇していても、株価が上がっているとは限りません。
株価が一方向に力強く下落 → ADXは同じく上がる
株価が上下にもみ合う → ADXは下がる
つまりADXが高い=「はっきりした方向が出ている」という意味であって、その方向が上か下かは教えてくれません。
方向は+DIと−DIのどちらが上にあるかで判断します。この2つを分けて考えることがDMIを使う第一歩です。
ADXの水準の読み方
| ADX | 相場の状態 | とるべき戦略 |
|---|---|---|
| 20以下 | レンジ相場 | オシレーターで逆張り |
| 20〜25 | トレンドの発生期 | 方向を確認して待つ |
| 25〜40 | 明確なトレンド | トレンド系の指標で順張り |
| 40以上 | 非常に強いトレンド | 逆張りは避ける |
数値の目安は絶対ではありませんが、20〜25を境にレンジとトレンドを切り分けるという使い方が一般的です。
ADXが低くても上を向き始めたならトレンドが生まれつつあります。
逆にADXが高くても下を向いたなら、トレンドは終わりに向かっています。
レンジ相場を見分ける
DMIの最も実用的な使い方がこれです。他の指標を使う前の判定に使います。
| ADXの状態 | 機能する指標 | 機能しない指標 |
|---|---|---|
| 低い(レンジ) | RSI・ストキャスティクス・RCI | MACD・移動平均線のクロス |
| 高い(トレンド) | MACD・多重移動平均線・EMA | オシレーター全般(張り付く) |
RSIやストキャスティクスが「70を超えたのに下がらない」「30を割ったのに戻らない」のは、たいていADXが高い局面です。
指標が悪いのではなく、使う場面を間違えているだけです。DMIはその判定を担当します。
±DIのクロス

| 状態 | 意味 |
|---|---|
| +DIが−DIを上抜く | 上昇の勢いが優勢に転じた(買いサイン) |
| −DIが+DIを上抜く | 下落の勢いが優勢に転じた(売りサイン) |
| 2本の差が広がる | トレンドが強まっている |
| 2本の差が縮む | トレンドが弱まっている |
ただしクロスだけでは不十分です。ADXが低い状態でのクロスは、すぐに元に戻ってしまいます。
→ 方向が変わり、しかも勢いが伴っている
ADXとADXRの組み合わせ
ADXRを表示している場合、2本の位置関係でトレンドの段階がわかります。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| ADXがADXRを上抜く | トレンドが加速し始めた |
| ADXがADXRより上 | トレンドが継続している |
| ADXがADXRを下抜く | トレンドが弱まり始めた |
| 2本が絡み合う | 方向感がない。判断を保留する |
ADXRはADXをならしたものなので、移動平均線とその平均線の関係と同じように読めます。
順張りで持っている建玉を手仕舞う目安として、ADXがADXRを下抜けたタイミングを使う方法があります。利確の基準を機械的に決めたい場合に有効です。
計算のしくみ
細かい式を覚える必要はありませんが、何を材料にしているかを知ると読みやすくなります。
| 材料 | 内容 |
|---|---|
| +DM | 前日より高値がどれだけ切り上がったか |
| −DM | 前日より安値がどれだけ切り下がったか |
| TR(真の値幅) | その日の実質的な変動幅。窓を開けた分も含める |
ここで重要なのがTR(True Range)という考え方です。単純な「高値−安値」ではなく、前日終値から飛んだ分も値幅に含めます。
窓を開けて始まった日は、高値と安値の差が小さくても実際には大きく動いています。TRはそれを取りこぼしません。ボラティリティを測るATRという指標も、同じTRを使います。
設定値
| 期間 | 性質 |
|---|---|
| 14日 | 考案者が推奨した標準。最も使われている |
| 短くする | 反応は速いが、ADXが乱高下する |
| 長くする | 滑らかになるが、判定が遅れる |
RSIと同じ14日が標準です。どちらもワイルダーが考案した指標であるためです。
弱点と注意点
| 弱点 | 内容 |
|---|---|
| ① 遅れる | ADXが上がる頃にはトレンドが始まっている |
| ② 天井・底を示さない | 「強い」ことしかわからず、いつ終わるかは不明 |
| ③ 線が多い | 3〜4本あり、慣れるまで読み取りに時間がかかる |
| ④ 単独では売買できない | あくまで相場の状態を判定する道具 |
①は構造上避けられません。DMIは「トレンドを予測する」指標ではなく「トレンドが出ていることを確認する」指標です。
使うときの手順
この順番が重要です。DMIは最初に見る指標であって、最後に見る指標ではありません。
※ 本記事は指標の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
DMIに関するよくある質問
まとめ
DMIは「いま順張りすべきか、逆張りすべきかを教えてくれる指標」です。売買サインではなく、地図として使います。
この記事のまとめ
・ADXは上昇でも下落でも、勢いが強ければ上がる
・ADX 20以下はレンジ、25以上は明確なトレンド
・水準より「向き」を重視する
・レンジならオシレーター、トレンドなら順張り系を使う
・±DIのクロスはADXの上昇を伴うときに信頼できる
・TRは窓を開けた分も含めた実質的な値幅
・売買サインではなく、相場の状態を判定する道具
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