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債務の株式化とは

債務の株式化(読み方:さいむのかぶしきか)

 

債務の株式化とは、事業再生の手法の一つで債務と株式を交換することを指します。
英語では「DES」と称されます。

▼DESの意味
「Debt Equity Swap:デット・エクイティ・スワップ」を略したもの
Debt:債務:有利子負債(利息を付けて返済しないといけない負債=債券や銀行借入金等)
Equity:資本金・出資金・自己資本を意味する
Swap:交換の意味

一般的には金融機関が経営不振企業の支援目的で利用され、債務超過の解消や有利子負債を削減させ、財務体質の大幅な改善を図るものです。(中小企業の場合は相続税対策として行われるケースもあるようです)

債務の株式化の仕組み

経営不振・債務超過等で苦境に立つ企業に対し、債務の交換で株式を発行することによって企業の再生を図るのが債務の株式化(DES)です。

その仕組みは、債務者(企業)は借入金を返済しなくてよくなる代わりに、債権者(銀行など金融機関)に株式を発行します。

債権者は企業の経営権を握ることができ、債権者が株主になることで企業の財務体質が改善されるというのが基本的な仕組みとなっています。

債務の株式化の手続き

具体的には、債務超過等による業績悪化・経営不振の企業が借金(銀行など金融機関から借りているお金)を返済できないとなると、

現物出資法(債権者が債券の現物出資によって株式化)

または

現金振替法(債権者が金銭の出資によって株式取得⇒その資金を債務弁済に充てる)

という方法で債務の株式化が行われる運びとなり、一般的には現物出資法が用いられます。(現物出資による第三者割当増資

債権の現物出資を前提としているため、現金振替法「擬似DES」とも呼ばれています。

債務の株式化は、例えば親会社が苦境に立たされた子会社(債務超過等で)を救済するために行われることもあります。(貸付金を子会社の株式にして、子会社の借入金を資本へ振り替える)

 

債務の株式化メモ

・債務の株式化とは、事業再生の手法の一つで債務と株式を交換することを指す
・債務の株式化の英語「Debt Equity Swap」を略して「DES」とも呼ばれる
・債務の株式化は債権者が株主になることで企業の財務体質が改善されるというのが基本的な仕組み
・債務の株式化の手続き方法は現物出資法が一般的(他に現金振替法がある)

 

債務の株式化のメリット・デメリット

債務の株式化におけるメリット・デメリットを、債務者(企業)・債権者(銀行など金融機関)それぞれの観点で次のように考えられます。

債務者(企業)側のメリット=経営者のメリットということでもあり、その点では債務における利息負担の軽減はキャッシュフロー改善にも繋がります。

財務体質が改善される点においても、債務が株式となる=自己資本比率が高まるということになります。

ただ、増資が行われることによって債権者数が減り、株主の数が増えるという状況が起こることになります。そうなると配当金を踏まえても、企業側にとってはその分のコストの存在は大きなものと考えられます。(株式の希薄化

一方、債権者側のメリットですが、いわゆる債権放棄にならないで済むことや、株主となることで企業側の経営者に対して解任要求を行使することも可能となります。

他には経営再建後の配当金等は利息を受け取るよりも大きな期待ができるというものです。

ただ、債務の株式化は慎重に検討して行わないと、そもそも手の施しようがない等の状態で債務の株式化を行うと、結果として問題の先送りにしかならないといった可能性もあるというのは事前段階で注意が必要となります。

ちなみに投資家の中には、倒産の先延ばし・一時的であったとしても倒産リスクが解消されるのは大きいと捉える方もいるようです。

ざっと債務者側・債権者側のメリット・デメリットについて触れましたが、それぞれまとめると以下表のようになります。

対象 メリット
債務者
債務超過の解消、財務体質の改善・健全化
有利子負債が減る
対外的信用の向上
デメリット
債権者の経営参画による干渉
資本金増加に伴う法人税等の負担
支払配当の増加(株式の希薄化)
債権者
メリット
債権放棄回避
経営参画による関与
企業再建後にキャピタルゲイン(売却益)やインカムゲイン(配当収入)が可能
デメリット
利息収入がなくなる
非公開株式の場合、株式の処分が困難
事業再生の見込みが低いことによる根本的解決にならないケース

債務の株式化による株価の動向

上場企業において、債務の株式化を行う企業は業績が悪いというのが一般的です。

債務の株式化を利用しようとしている=その企業へ投資するのは高リスクだということをまず認識しておいたほうが良いでしょう。

投資家観点で重要と言えるのは、株式を保有している企業が債務の株式化を公表したら、株式の希薄化に注意するべきだと考えられます。

また、新たに株主となる人の素性調査というわけではありませんが、ある程度は調べたりするのが好ましいでしょう。

債務の株式化によって債権者側の誰かが債務者(企業)側の新たな株主となるわけです。
例えば飲食店でオーナーが変わると味が変わるというケースがありますが、客足や売上に大きく関係するように、経営に大きく関与すればその企業の株価への影響も考えられるためです。

 

債務の株式化メモ

・投資家が債務の株式化が行われた企業の株式を保有している場合、株式の希薄化や新たな株主のことは要チェック
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