株式交換とは

株式交換(読み方:かぶしきこうかん)

株式交換とは、企業再編手法のひとつで、ある企業を100%子会社化(完全子会社化)するために行うものです。

わかりやすく説明すると、対象企業(100%子会社になる会社)の発行済株式を別の法人(100%親会社にある会社)がすべて取得します。
この時に「親会社になるA社の株式」と「子会社になるB社の株式」を交換して100%子会社化するものを株式交換といいます。

具体的には、A社はB社の株主に対して自社の株式を交付し、B社の株主は対象企業の株式をA社に引き渡します。
これによりA社はB社の株式を100%取得することができ、100%子会社化することができるのです。

なお、株式交換により100%親会社になる会社を完全親会社、100%子会社になる会社を完全子会社といいます。

株式交換比率について

株式交換比率とは、株式交換を行うときの「親会社の株式」と「子会社の株式」の比率を指しています。

具体的に説明すると、子会社の株式1株に対して、親会社の株式を1株割り当てるといった比率のことです。
この場合は「1:1」の比率となります。

しかし株式交換を行う時は必ずしも「1:1」になるわけではありません。
企業価値はそれぞれ異なるものとなっているので、「1:0.5」といったように子会社の株式1株に対して、親会社の株式0.5株というような株式交換になることもあります。

この比率については、事前に取り交わされた株式交換契約によって決められた株式交換比率によって交換されます。

株式交換メモ

・株式交換とは企業再編手法のひとつである
・親会社と子会社の株式を交換して100%子会社化するために行われるもの
・株式交換は必ずしも「1:1」で行われるものではなく、株式交換契約によって決められた株式交換比率によって交換される

株式交換と株式移転の違い

株式交換とよく比較されるもので「株式移転」というものがあります。

株式移転とは、新たに株式会社を設立して、その会社に自社の株式をすべて取得させることをいいます。
持株会社(ホールディングカンパニー)を設立する時に利用されます。

すべての株式を取得する点は同じなので、一見同じものに見えるかもしれません。

しかし2つには違う点も色々とあります。

たとえば、株式を取得する会社が「既存会社」であるか、「新たに設立した会社」であるかという点です。
株式交換の場合は既存の会社が他社を100%子会社化するために行うものです。
しかし株式移転の場合は新たに株式会社を設立する必要があります。

また、株式交換はグループ内の子会社を完全子会社化して連携強化の為に行われたり、企業買収などに使うことができます。
しかし株式移転で買収をすることは難しく、主に持株会社(ホールディングカンパニー)を設立する際に用いられるものです。

このように2つは異なるものとなっていますから、それぞれを区別できるように覚えておくようにしましょう。

株式交換メモ

・株式交換は既存の会社が行うもの
・株式移転は新たに株式会社を設立して行うもの
・株式交換は他社を買収する際に使われるが、株式移転ではそれが難しい

株式交換のメリット・デメリット

株式交換には、以下のように様々なメリットやデメリットがあります。

・資金不要で100%子会社化できる
・株式の売却により利益を得られる、または現金化が難しくなる
・会社を存続させることができる

資金不要で100%子会社化できる

株式交換におけるメリットは、親会社であれば資金不要で100%子会社化できるところです。

株式交換は、自社の株式と対象会社の株式を交換して100%子会社化にします。
本来であれば株式を取得するためにある程度の資金が必要となりますが、株式交換の場合は自社の株式を割り当てるので資金不要で100%子会社化を実現できます。
この点は親会社の大きなメリットになると思います。

株式の売却により利益を得られる、または現金化が難しくなる

株主の観点としては、株式の売却で利益を得られる点などが挙げられます。
たとえば、親会社が上場企業で子会社が非上場企業であった場合は、上場企業の株式を取得できるのでそれらを売却することで利益を得られる可能性があります。

ただ、子会社が上場企業で親会社が非上場企業の場合は、非上場企業の株式を取得することになるので売却が難しくなるというデメリットが生じてしまいます。

会社を存続させることができる

企業再編時に「合併」という手段をとられることもあります。
合併とは2つ以上の会社を統合することで、2つ以上の法人格を1つの法人格にすることです。
つまり、もともとの会社は消滅することになります。

そうなると会社名の変更や人員削減などで、取引先や従業員に混乱をきたす恐れなどもあります。
しかし株式交換の場合は100%子会社にはなるものの、会社そのものは存続しているので従来通りのままで済ませることができます。

株式交換メモ

・株式を取得する費用がなくても100%子会社化ができるメリットがある
・株主は株式で売却益を得られる可能性があるものの、逆に株式の現金化が難しくなってしまうケースもある
・株式交換は合併とは違い、会社を存続させることができる

株式交換による株価の動向

株式交換による株価の動向は、株式交換比率やプレミアムの支払いの有無などによっても変わります。

一時的に下落してすぐに回復するケースもあれば、逆に上昇するケースもあります。
ただ、全体的にみると短期的には下落傾向であることが多いです。

それでは、直近株式交換を発表した銘柄をいくつか確認してみましょう。

まずは2019年12月26日に「株式会社家族亭及び株式会社サンローリーとの株式交換契約締結(簡易株式交換)に関するお知らせ」を発表した【8163】SRSホールディングスです。

SRSホールディングスの場合は発表日直後に株価の上昇が見られました。
ちなみに今回の発表はSRSホールディングスを完全親会社とする株式交換となっています。

次に2020年1月21日に「創イノベーション株式会社との簡易株式交換に関する基本合意書締結のお知らせ」を発表した【2667】イメージワンです。

イメージワンの場合は発表日直後から株価の下落が見られました。
SRSホールディングスと同じように、完全親会社とする株式交換であるものの、株価の動向は異なるものとなっています。

このように株式交換による株価の動向は、当事会社によって全く異なる動きになります。

株式交換メモ

・株式交換による株価の動向は当事会社によって異なる
・株式交換比率やプレミアムの有無などによっても大きく変わる
・全体的にみると下落傾向になることが多い

株式交換に関してよくある質問

株式交換の発表情報はどこで確認できますか?
東京証券取引所の適時開示情報、株探の「株式交換・移転情報」、Yahoo!ファイナンスの個別銘柄ページ(ニュースタブ)、企業のIRページで確認できます。発表が出ると株価が大きく動くことが多いので、アラート設定がおすすめです。
自分の保有株が株式交換の対象になった場合、どう対応すればいいですか?
基本的に自動的に親会社の株式に交換されます(現金選択権がある場合を除く)。株主総会で承認された後、交換比率に基づいて新株が交付されます。交換前に売却するか、保有して親会社株主になるかを検討しましょう。非上場親会社の場合、流動性が低下するリスクがあります。
株式交換に税金はかかりますか?
基本的に課税繰延べ(非課税扱い)になることが多く、交換時の譲渡所得税はかかりません。ただし、親会社株を売却した時に譲渡益税(20.315%)が発生します。現金交付がある場合や特定の条件では課税される可能性があるので、税理士や証券会社に相談するのが確実です。
株式交換と合併の違いは何ですか?(実践的な視点で)
株式交換は子会社が法人格を維持し、独立運営が可能。一方合併は子会社が消滅し、親会社に吸収されるため、契約・許認可の引き継ぎが必要になります。株式交換の方が手続きがシンプルで、グループ内再編に適しています。
株式交換は株主総会の承認が必要ですか?
はい、両社で株主総会の特別決議が必要です(議決権の3分の2以上)。ただし、簡易株式交換(親会社が子会社株式の90%以上保有の場合)や略式株式交換(一定条件で子会社側の総会省略可能)で手続きが簡略化されるケースもあります。
最近の株式交換のトレンドはありますか?
2020年代は事業再編・グループ内整理を目的とした株式交換が増えています。特に上場企業間の完全子会社化や、持株会社体制への移行で活用されています。一方、敵対的買収防衛としての利用は減少し、友好的なM&Aの一環としてポジティブに捉えられる傾向です。
株式交換比率が不利だと感じたらどうすればいいですか?
株主総会で反対可能ですが、少数株主では影響力が小さいです。比率に不満がある場合、株式買取請求権(公正価格での買取請求)を行使できます。買取価格が不服なら裁判で争うことも可能ですが、手間とコストがかかるので事前の情報収集が重要です。
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