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テーパリングとは
テーパリング(読み方:てーぱりんぐ)
テーパリングとは、量的緩和策を段階的に縮小させていくことをいいます。
英語「tapering」の日本語読みで、「先細り」や「徐々に減らしていく」という意味であることから、“量的緩和策の縮小”は“テーパリング”と呼ばれるようになりました。
そもそも量的緩和策とは何かと言うと、中央銀行が国債などの金融資産を直接買い入れて、市場に大量に資金を供給する金融政策のことです。
中央銀行は、景気が悪化したりすると、景気や物価を下支えするために政策金利の引き下げを実施しますが、政策金利を実質0%水準まで引き下げても景気回復しない場合、マイナス金利の導入や量的緩和策が行われます。
量的緩和策は、資金供給によって投資や消費などの経済活動を活発化させようとするもので、これによって景気回復を狙う目的があります。
そして景気回復してきたら、金融政策を正常化する必要があるので、これまで実施してきた量的緩和策の縮小を実施します。
具体的には、量的緩和策による金融資産の買い入れ額を徐々に減らしていくというものです。
この買い入れ額を徐々に減らしていくことを“テーパリング”といい、量的緩和策の“出口戦略”のひとつとなります。
最近では、米連邦準備制度理事会(FRB)が、11月の連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング開始を決定しています。
テーパリングが株価に与える影響
テーパリングが実施されると資金の供給量が減少するので、株式市場などに影響を与える可能性があります。
それではどのような影響が出るのかと言うと、テーパリングが実施されると「理論上は株価が下落する」ことになります。
テーパリングが実施されると、資金の供給量が減少することから金利が上昇します。
そして金利が上昇すると、株式の理論的価値を示す「割引現在価値」が低下し、現在の株価が割高と判断されるようになります。
割引現在価値とは簡単に言うと、将来的に受け取れる価値を、今現在の価値に換算して受け取れるとしたらいくらになるのかを表したものです。
そのため、割高となった保有株を売却する投資家も増えて、株価が下落するという流れになります。
ただし、これはあくまで“理論上”の話です。
実際のところは、テーパリングを開始する前に株価は様々な要因を織り込んで推移するので、テーパリング開始前の情報を既に織り込んでいれば大きな影響はないこともあります。
過去のテーパリングで株式市場はどう動いたか
テーパリングは過去にも実施されたことがあり、例えば前回は2014年1月からテーパリングが開始されました。
その時の株式市場については、当時のFRB議長であるバーナンキ氏が2013年5月に、突然テーパリングを示唆する発言をしたことで長期金利が急上昇し、株価は急落しました。
上記は日経225のチャートになりますが、2013年5月から6月にかけて急落、株式市場に大きな動揺が広がっているのがわかります。
しかし、その後はテーパリングを織り込んだ株価推移となっており、2013年12月には急落前の水準まで上昇しています。
更にテーパリング開始となった2014年も大きな混乱は見られず、比較的穏やかに推移しています。
テーパリングは株価にとってネガティブな要素にはなりますが、このように織り込んでしまえば大きな影響はないこともあります。