約定とは、株式の売買注文が成立することをいいます。「やくじょう」と読みます。
注文を出しただけでは取引は成立していません。売りたい人と買いたい人の条件が一致して、はじめて約定します。
この記事では、成立の仕組みから実際にお金と株が動く受渡日までを解説します。
この記事でわかること
・約定日と受渡日の違い
・受渡日を意識すべき2つの場面
・注文が一部しか成立しないケース
・想定と違う価格で約定してしまう理由
目次
約定とは
約定(読み方:やくじょう)とは、証券取引所で売買注文が成立することです。「約定した」「約定価格」「約定代金」といった形で使われます。
② 取次 証券会社が取引所へ注文を送る
③ 約定 条件の合う相手の注文と結び付いて成立
④ 受渡 実際にお金と株が入れ替わる(2営業日後)
③の時点で価格と数量が確定します。ただし、この時点ではまだお金は動いていません。
約定に関する用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 約定価格 | 実際に成立した1株あたりの値段 |
| 約定代金 | 約定価格 × 株数。手数料の計算基準になる |
| 約定日 | 売買が成立した日 |
| 受渡日 | お金と株が実際に移動する日。約定日の2営業日後 |
| 失効 | 約定しないまま注文が無効になること |
約定を決める2つの原則
取引所では、注文が来た順にただ処理されるわけではありません。2つの原則で優先順位が決まります。
買い注文 → 高い値段を出した注文が優先
売り注文 → 安い値段を出した注文が優先
※ 成行注文は、いくらでもよいという意思表示なのですべての指値より優先されます
同じ値段の注文どうしなら → 先に出した注文が優先
この2つを覚えておくと、「板に自分の指値と同じ価格が並んでいるとき、自分は何番目か」が推測できます。
「1,000円の指値で買い注文を出した。株価が1,000円になったのに約定しない」
↓
同じ1,000円で先に並んでいる買い注文が大量にある場合、
その人たちが約定するまで自分の順番は来ません。
板の見方は板とはで解説しています。
板寄せとザラ場の違い
約定の仕組みは、時間帯によって2種類に分かれます。
| 方式 | いつ | 成立の仕方 |
|---|---|---|
| 板寄せ方式 | 寄り付き・引け | 溜まった注文をまとめて処理し、1つの価格を決める |
| ザラ場方式 | 寄り付きと引けの間 | 条件の合う注文どうしを1件ずつ結び付ける |
板寄せでは発注時刻の早さが価格に影響しません。8時に出しても8時59分に出しても、決まる始値は同じです。
約定日と受渡日
約定しても、その瞬間にお金が動くわけではありません。
月曜に約定 → 水曜が受渡日
金曜に約定 → 翌週火曜が受渡日(土日は営業日に数えない)
※ 2019年7月16日から、それまでの3営業日後(T+3)を短縮してT+2になりました
祝日が挟まるとさらに後ろへずれます。大型連休の前は、受渡日が1週間以上先になることもあります。
受渡日が効いてくる2つの場面
普段は意識しなくても問題ありませんが、次の2つの場面では受渡日が決定的に重要になります。
| 場面 | なぜ重要か |
|---|---|
| 配当・優待の権利取り | 株主名簿に載るのは受渡日。権利確定日の2営業日前までに買う必要がある |
| 年末の売買 | その年の損益に含めるには、年内に受渡が完了する日までに約定する必要がある |
※ 年間損益の集計方法や年末の最終売買日は、証券会社や口座区分によって扱いが異なる場合があります。詳細はご利用の証券会社にご確認ください。
1行目が実務でよく問題になります。「権利確定日に買えば優待がもらえる」というのは誤りです。2営業日前までに約定していなければ間に合いません。
一部約定という現象
注文した株数のうち、一部だけが成立することがあります。
その価格に売り注文が300株分しかなかった
↓
300株だけ約定し、残り700株は注文として残る
→ 手数料の体系によっては、分割して約定した回数分かかることもあります
一部約定が起きやすいのは売買代金の少ない銘柄です。板が薄いため、まとまった注文を一度に消化できません。
手数料の計算方法は証券会社によって異なるため、1日定額制か、約定ごとの課金かを確認しておいてください。
約定価格が想定と違う理由
| 原因 | 起きること |
|---|---|
| 成行注文を使った | 価格を指定していないため、板の状況次第で大きくずれる |
| 板が薄い | 数株の注文で価格が飛ぶ。1つの注文が複数の価格で約定することもある |
| 逆指値のトリガー | 指定価格は引き金であって約定価格ではない |
| 寄り付きで飛んだ | 前日終値から大きく離れて始値がついた |
1つの注文が複数の価格で約定した場合、取引報告書には平均約定価格が表示されることがあります。内訳は約定履歴で確認できます。
約定しないケース
指値が現在の株価から離れていて、その水準まで動かなかった
同じ価格に先に並んだ注文が多く、消化されなかった
値幅制限いっぱいで売買が偏り、比例配分で割り当てられた
重要な開示などで取引が一時停止された
約定しなかった注文は、有効期限が来れば自動的に失効します。翌日も同じ注文を出したい場合は、期限の設定を確認してください。
約定の確認方法
| 確認する場所 | わかること |
|---|---|
| 注文照会 | 約定済みか、まだ注文中か |
| 約定履歴 | 約定価格・株数・時刻の内訳 |
| 取引報告書 | 手数料や受渡金額まで含めた正式な記録 |
| 歩み値 | 市場全体で成立した約定が時系列で並ぶ |
取引所以外での約定
約定するのは証券取引所だけではありません。
取引所の時間外でも売買できる仕組みです。夜間取引にも対応しています。
SOR注文
取引所とPTSの価格を比較し、有利なほうへ自動的に注文を回す仕組みです。
→ どこで約定したかは約定履歴で確認できます。
SOR注文を利用している場合、取引所の板だけを見ていても自分の注文の状況がわからないことがあります。
約定と手数料
| 体系 | 特徴 |
|---|---|
| 約定ごとの手数料 | 約定代金に応じて課金される |
| 1日定額 | その日の約定代金の合計で決まる。回数が多い人に有利 |
| 手数料無料コース | 条件を満たせば国内株の売買手数料が0円になる証券会社もある |
※ 手数料の体系と条件は証券会社によって異なります。詳細は各社の説明をご確認ください。
※ 本記事は取引制度の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
約定に関するよくある質問
まとめ
約定は「注文が契約に変わる瞬間」です。そのあとに受渡という手続きが控えていることを覚えておいてください。
この記事のまとめ
・買いは高い値段、売りは安い値段が優先(価格優先)
・同じ値段なら先に出した注文が優先(時間優先)
・成行注文はすべての指値より優先される
・受渡日は約定日の2営業日後(2019年7月16日からT+2)
・優待の権利は権利確定日の2営業日前までに約定が必要
・板が薄いと一部約定や複数価格での約定が起きる
・約定した後の取り消しはできない










